みなさん、こんにちは。
現在絶賛開発中の
マンガアプリ+WEB「コミックDAYS」
のリーダーを務めております
ヤングマガジンのムラマツです。
さて、
いろいろ大変なマンガアプリ開発過程を
赤裸々にリアルタイムで報じていくこの連載も
早くも第3回。
なのですが……まずはこちらのツイートをご覧ください。
た…確かに………!
ヤンマガ編集部イジリが楽しくなってしまって、
「マンガアプリ開発の悲喜こもごもをお伝えする」
という連載の主旨から
大きく逸脱していたことに気づきました。
……危ない危ない。
Twitter、ありがたいですね。
3回目の今日はもう少しネジを巻いて、
アナログな職場で職人的な仕事に勤しんでいた私が、
なぜマンガアプリ開発を手がけることになったのか、
話していきたいと思います。
2016年9月~『食糧人類』1巻 発売前夜
さて、
ヤングマガジン編集部に異動して2年が経過した2016年。
私は、9月に1巻が発売する『食糧人類』に、
並々ならぬ期待を寄せていました。
前所属部署である「月刊少年ライバル」で、
同じ蔵石ユウ先生・イナベカズ先生のコンビによる
『アポカリプスの砦』がヒットしたこともあります。
が、それだけではなく『アポカリプス~』は、
私がマンガ業界に感じていた
「息詰まり」を払拭してくれた特別な作品
でもあったからです。
2014年~『アポカリプスの砦』に起きたこと
「月刊少年ライバル」で連載開始した
『アポカリプスの砦』は1巻初版13000部でスタートし、
2回ほど重版がかかったものの、
4巻初版が1万2000部程度に止まっていました。
1巻からの落ち幅が小さいのが救いなものの、
厳しい状況が続いていたのですが、
これは半ば覚悟していたことでもありました。
というのも、当時のマンガの売れ方について、
私は以下のようなイメージを持っていました。
同心円状になっている部分が「マンガ業界」です。
周囲は柵に囲まれています。その中心から作品を世に出します。
A=「めちゃくちゃマンガが好き」な人たちが全員買って15000部くらい。
B=「相当マンガが好き」な人たちが全員買って5万部くらい。
C=「かなりマンガが好き」な人たち全員が買って20万部。
そのくらいの数字になって初めて作品が「マンガ業界」の外を出て
D=「普通にマンガが好き」な人たちに届き、20万部以上の部数になる。
(もちろん作品によって売れ方の質が違うので超ざっくりとしたイメージですが)
A→B→Cと熱が中心から外に広がっていって
初めてD=ライトユーザーに届くというイメージです。
『アポカリプス~』は
Dの「普通のマンガ好きの人たち」に
「普通に楽しんでもらいたい」という思いで
作家さんと作っていたマンガで、
それがためにB~Cの壁を突破できずにいました。
B~Cを突破するには
「書店さんのプッシュ」が必要不可欠でしたが、
『アポカリプス〜』は
それを得られるタイプでの作品ではなかったのです。
雑誌の力が強かった頃は、
雑誌の媒体力で直接Dに作品が届けられていました。
が、雑誌の媒体力が弱まった結果
(「月刊少年ライバル」は2014年に休刊)、
Dに作品を届ける機能を
書店さんが果たすようになっていました。
そうなると、
書店さんのプッシュを受けられないタイプの作品は
Dに届けることができず、
当時の私はイチ編集者として、
その状況に息詰まりを感じていたのでした。
そんな時に、
ローンチしたのがマンガアプリ「マンガボックス」でした。
Dに直接作品を届けられることを期待した私は、
本誌の休刊という事情もあり
『アポカリプス~』を「マンガボックス」に移籍することを決意しました。
結果、『アポカリプス~』は
B、Cを飛び越え直接Dに届きました。
それまでのペースとは桁違いのペースで作品が売れていきました。
全国の書店さんに問い合わせの電話が多数入り、
突然訪れた状況に販売部も書店員さんも戸惑っていました。
Twitterで検索をすると、全国の中学生や高校生を始め、
明らかに「マンガボックス」で
初めて『アポカリプス~』を知った読者たちが
作品の感想をつぶやいていました。
また販売部数における電子書籍の比率の高さも特徴的でした。
それは、私のみならず社内でも聞いたことのないタイプの売れ方であり、
そこまで私が感じていた息詰まりが払拭された瞬間でもありました。
2016年9月~ 『食糧人類』に起きたこと
その記憶も新しい中で
「同じコンビでこの題材、
この仕上がりであれば、
もう一度 直接Dに届けることができる!」
と私は考えていました。
当時よりも電子書店の売り上げが伸びていることも、
電子比率が高かった前作を考えると追い風になるだろうと考えていました。
そして「マンガボックス」で伸びた『アポカリプスの砦』同様に、
マンガアプリである「eヤンマガ」連載作品でした。
『アポカリプス~』と同じような売れ方してほしいな~!
とドキドキとしながら発売日を待っていました。
その結果………
編集部も販売部も想像しない、
未曾有の反響が待っていたのでした。
続く。