みなさん、少女漫画、読んでますか?
僕はもちろん年間1000冊くらい読みまくってます!
と豪語する男性ライター・おた鍋の「少女漫画実況」第3回です!
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『恋わずらいのエリー』『僕と君の大切な話』に続き、男性におすすめしたい少女漫画、第3弾をご紹介いたします。
『花野井くんと恋の病』。「デザート」で大人気連載中のまさに旬な物語です。
本作の見どころは、「恋の嬉しさと恐ろしさ」です。
といっても、ドロドロとした奪い合いが描かれるわけではありません。
ただ、誰かを強く愛するあまり、何かを犠牲にしてしまう怖さが描かれています。
(もちろん、キュンとする場面もたっぷりありますよ!)
ただ甘いだけじゃない、恋愛の深さを見ることができる作品になってます!
では、第1話、一緒に見ていきましょう!
さあ、最初から核心に迫るセリフです。
ちょっと不穏な雰囲気を感じますね。
心なしか、男の子の目もなんとなく怖いです…
可愛らしくて甘々なヒロインと王子様の絵と、突き放すようなセリフのギャップが…
注目してほしいのが、男の子の表情です。悲しそうで、でも諦めているような…
本作の一番の凄さは、ズバリ「人物の表情」だと思います。
「嬉しいけどちょっと怖い」「怒っているけど安心した」などなどの複雑な感情を緻密に描いているので、絵だけでもたくさんの情報を受け取れます。
(森野先生の描写力、ほんとうにスゴイ…)
さあ、ヒロイン登場!
ということは王子様と喧嘩してるのはヒロインではなかったんですね。
美味しそうに食べる女の子って、いいよね
この食いしん坊な女の子、日生(ひなせ)ほたるちゃんが本作のヒロインです。
(右下コマのほたるちゃんの表情に要注目です!)
高1って人によって恋愛に興味があったりなかったり、すごく微妙な時期ですよね。
友達や家族に恵まれてると、「まあ恋愛はいいか」って思う人もいるかと思います。
傘をさしてあげる構図が……いい。
ふたりの身長差や、図形としての美しさが、すごいバランス感覚だなと思います。
唐突な告白!!
普通ならキュン!♡となるシチュエーションなのですが、
この花野井くんの陰のある表情が、心に「ちょっと待った」をかけてきます。
でました、聞こえるようにカップルを批評する人たち(余計なお世話)
ただ、本当に唐突でしたね。花野井くんの本心は…?
誰かと「普通に」話すって意外と難しいなって思います。
初対面だと外見から入るので、そこで変な偏見を持ってしまったり…
花野井くんもそういうことで悲しい思いをしてきたのかもしれません。
やだ、短髪かわいい…(照)
ではなくて、話に出た翌日にばっさりなんて、花野井くん、だいぶ重めの匂いがします。
個人的に、本作は完全なキュンでなく、少し怖い感じを同時に受けるんですよね。
左下のコマのハッとした表情……!
そんなに大きくないコマなのに、ものすごいパワーを感じます。
ほたるちゃん、小動物みたいでカワイイですね。
本作はデフォルメの表情もいろいろ多様なので注目ポイントです!
美味しそうに食べる女の子って、いいよね(2回目)
本作はほたるちゃんの可愛さも大きな魅力なのですが、
この自然体で素直に優しくできるところが、とても素敵だなぁ、と思います。
食いしん坊は普通、半分わけてくれません(偏見)
なんかズレてるんですよね、花野井くん。
同性だからか、彼のズレが危うく感じてしまいます。
「片っぽあればいい」んでしょうか? ほたるちゃんは悩み始めます。
(あと、僕はヘアピンの役割がいまだによく分かってません。)
花野井くんが来た途端に、少し花めく女の子。
こういう細かい描写が、めちゃくちゃ面白いんですよ!
セリフやメインキャラ以外も作り込まれている漫画は、本当にすごい!
いや、花野井くん、まさか……
この駆け出すシーン、ライティングがスゴイんですよね。
雪の夜って普段よりも明るく感じるんですが、その様子がトーンで表現されていて、
この素敵なシーンの臨場感が高まっています。
いるじゃん……。
だだっ広い校庭と小さなシルエットの対比が、ますます物悲しい。
膝下が雪で濡れるのをまったく嫌がっていないのもわかります。
「全然わかんないよ」というこの2ページのほたるちゃんの表情の変化!
いったん、セリフを読まずに表情だけ追ってみて下さい。
少しの怯えや、心配や、困惑や、哀しみがどんどん出てきます。
ここが、この作品の象徴的なシーンな気がします。
つまり「恋の病」。
客観的に考えたらおかしくても、恋がすべてを凌駕する。
自分を犠牲にしても相手を大切にしすぎてしまう、その病が本作のテーマのように思いました。
まだ恋を知らなくても、自分のために不幸にはなってほしくないほたるちゃんと、
どこまでもずれ続けていく花野井くん。
ほたるちゃん、こんなに感情を出せたんですね。
相手のことを真剣に想うからこそ、ここまでのエネルギーが出てくるんだと思います。
ここが、ほたるちゃんの「恋の病」への解答です。
迫真の表情と、心からの台詞。
この1ページは大げさじゃなく少女漫画史に残る名シーンです。
数日経って、ふたりの間には気まずい時間が流れているようです。
でも自分の知らない一面を知ったほたるちゃん。
それもまた、これから始まる恋の第一歩ですよね。
「笑ってくれるなら」「悲しいんじゃないか」
ひたすら相手のことだけを想う花野井くん。
今まで怖い危ういと言ってきましたが、ちょっと共感してしまうところもあります。
自分なりの恋を定義づけていくほたるちゃん。
ただ、それはひとりでは決してできないことです。
しゅんとする花野井くん、かわいい…(萌)
「片っぽだけじゃ寂しい。ふたつそろってる方がいい」というセリフのダブルミーニングと、
3ページ前からの花野井くんの表情の変化がめちゃくちゃマッチしてます。
できるよ!!!!(断言) と、おもわず応援したくなるこの表情。
めっちゃマニアックなんですが、個人的に本作の眉の描き方が好きなんですよね。
ほたるちゃんの眉って少女漫画の中では太い方だと思うんですが、
すごくキュートだし、ほたるちゃんの表に出さない気持ちを代弁してくれている気がします。
花野井くんの表情が、本当にそう思っているんだと伝えてくれます。
ほたるちゃんが見つけてくれたピアスもそう言っている気がしますね。
身長差っっ!!!!
ちょっと浮いたようなほたるちゃんの姿勢で、
どんな勢いで花野井くんが抱きしめてきたか分かります。
花野井くんがここまでほたるちゃんに思い入れるのはなぜなのか?
その謎も、これから少しずつ明かされていきます。
さあ、これから恋を知るほたるちゃんと、
恋の病にかかっている花野井くんの物語。
ふたりの恋はどんな形をしているんでしょうか。
というわけで1話はここまでです!
どうでしたか? 甘いだけでなく、危うさもある恋物語『花野井くんと恋の病』。
これからふたりの過去も絡み、物語はどんどん深みを増してきます。
さらに、もしお時間があれば、花野井くんの耳元に注目して再読してみて下さい!
どんなシーンでピアスがある耳が描かれているか、ピアスがない方が描かれているか、
作者の作り込みの深さが見えてきます!
コミックDAYSでは毎週火曜日に新たな無料話が追加されていきますので、乞うご期待です!
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Text by おた鍋