こちらはリモート対談の後編となります。前編は発売中のモーニング45号でお楽しみください!
藤森:日本テレビの「水曜ドラマ」枠は、メインの視聴者が働く女性になることが多いのですが、今回のハコヅメはお子さんからお母さん世代まで幅広い層に見ていただけました。
泰:私の子供が永野さんの表情を食い入るように追っていたのですが、それまで、そんなことをするのはディズニー作品だけだったんです。世界トップレベルのチームが作り込み感情移入させてきた動きを、永野さんは一人で表現する才能をお持ちなんでしょうね。
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藤森:今思うと、永野さん以外の川合役が想像できないくらいです。本当に感謝しかないです。
泰:そして子供は「ハコヅメごっこ」で、藤役をやりたがって、私に川合役をさせるんです。私は「自分の描いたキャラの役はやらないよ」って断るんですが、機会があるたびに、「行くよ川合」「おこがましいわ」って振ってくるので、大変恥ずかしい気持ちになります(笑)。やっぱり戸田さんの視聴者を引き込む力がすごいんですよ。
藤森:戸田さんは、ドラマ全体を俯瞰した上で、今やっていることの意味と流れをすごく大事にされているので、カメラが回っていないところも細かく把握しています。キャラのこともすごく研究されていました。
泰:ちょっとした癖や仕草を原作から拾ってくれていました。それに私の画力では満足に描けなかった藤の表情があるんですが、「そう! 私はこのシーンで、この表情をさせたかったの!」と驚くことが何度もありました (笑)。「ドラマの中の警察官」という枠でそれっぽくやってるのではないリアリティもあって、現場を知っている私から見ても、納得できる仕草や表情でした。これは戸田さんに限らずですが。
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藤森:モジャツンコンビも素晴らしかったです。三浦翔平さんは源になりきっていたので、収録が終わって帰宅する時に、髪の毛を戻したら一瞬誰だかわからない日があったり(笑)。
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泰:成人女性にとって致死量のフェロモンが出てるはずの三浦さんが三枚目の役を引き受けてくれて、もったいないです。イケメンの無駄遣い(笑) 。だけど、その中に藤と川合をサポートしてくれている心遣いが見えて、一周回ってカッコよくて。「人たらし」になる場面では本領発揮して、フェロモン全開でしたね。
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藤森:相棒の山田くんは現場でもムードメーカーで、人柄の良さがお芝居にも出てるんだと思います。
泰:少年漫画の主人公がそのまま抜け出たような方ですよね。
藤森:『ONE PIECE』のルフィみたいになりたいって言ってましたよ(笑)。
泰:なれます! 最近、私も漫画を描いてて、元の山田なのか山田裕貴さんなのかよく分からなくなってきました(笑)。
藤森:フィクション感というかコメディ要素が多い振り切った役を演じることが多いムロツヨシさんは、このドラマでは実際に交番にもいそうで、だけどクスッと笑えるギリギリを攻めて演じてくれました。
泰:いるだけで、安定感があって「交番所長やってたのかな?」ってくらいリアリティがありましたね。 川合のような若い女性の部下に、おじさんの上司が注意する時に照れ隠しを挟みながら暖かく見守るシーンがぐっときました。
藤森:ああいう上司に会いたいという声がたくさんきて、ありがたかったです。そして最近の連載でも描かれている、ただの昼行灯ではなく背負っているものがあって、ちょっと怖い部分も盛り込んでくれています。
泰:狂気を垣間見せて、ゾクッとさせる感じをムロさんに拾っていただけたのかなと。
藤森:ムロさんも、ドラマになってる初期のエピソードでは交番所長の裏の顔はまだ描かれていないので、うまく取り入れて演じたいと話していました。
泰:脚本もたくさんの短いエピソードを、60分のドラマがまとまる様につなぎ合わせていただきました。脚本の根本ノンジさんAIなんじゃないかと思いました。暗記するくらい読み込んでくださっているんだろうなと。どの話をつなぎ合わせるかは藤森さんと根本さんで話し合って決められたんですか?
藤森:回ごとにこういうテーマでやりたいというのは事前に私がお話ししておいて、本打ち合わせの時に、監督や根本さんと話し合って作っていきました。せっかく面白いエピソードがたくさんあるので、どれだけ投げ込んで面白くできるかの部分は根本さんが上手く構成してくれました。
泰:普通のドラマと比べると1話あたりのエピソードやセリフの密度が高いですよね。
藤森:実際に台本も分厚いんです。掛け合いのテンポが早いのと、いろんなシーンをスピード感出して見せるのが面白いと思ったので、他のドラマよりも密度を高めています。それに加えて、コメディとグッとくるところのバランスを大事にしようと根本さんと決めていて。シリアスすぎてもハコヅメじゃなくなる一方、「水曜ドラマ」として大切なものも伝えないといけない、そこのバランスをいかにとっていくかで悩みました。
泰:絶妙のバランスだったと思います。その分ドラマが終わってしまった今は寂しくて、YouTubeを見たりしています。原作者のくせに、すでにハコヅメロスです(笑)。
藤森:DVD・Blu-rayを楽しみにしてください。YouTubeでとても好評だったメイキング映像なども、ふんだんに入れ込んでいます。現場の裏側もご覧いただけます。加えてブックレットには放映中にTwitterに投稿してくれた泰さんの描き下ろしイラストやイラストとルポ漫画なども入れさせてもらっています。
泰:楽しみにしています。藤森さん、今回はありがとうございました。続編があることを期待しています。
藤森:もちろん頑張ります! こちらこそありがとうございました。
<DVD情報>
「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」 Blu-ray BOX、DVD-BOXが2022年1月26日(水)発売決定!
【内容】
6枚組(本編Disc5枚+特典Disc1枚) 本編約480分+特典映像
Blu-ray BOX
品番:VPXX-71881
価格:2万4000円(税抜)/2万6400円(税込)
DVD-BOX
品番:VPBX-14135
価格:1万9000円(税抜)/2万900円(税込)
■特典内容
※Blu-ray&DVD-BOX 共通
【映像特典】(予定)
メイキング映像
【封入特典】(予定)
オールカラーブックレット(泰三子氏による現場ルポ漫画4話分&ドラマ応援イラストも収録)
発売元:株式会社バップ
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最新18巻好評発売中!
藤森真実
2007年、日本テレビに入社。「しゃべくり007」などバラエティの演出を務める。
2020年「私たちはどうかしている」で協力プロデューサーとしてドラマ制作に初参加。
シンドラ「バベル九朔」にプロデューサーとして携わる。
「ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜」でGP帯初のプロデューサーを務める。
泰三子
某県警に10年勤務。2017年、担当編集者の制止も聞かず、公務員の安定を捨て専業漫画家に転身する。短編『交番女子』が掲載され話題になっていた「モーニング」誌上で、2017年11月より『ハコヅメ ~交番女子の逆襲~』の週刊連載がスタート!
ドラマ完結記念以外にも、こんなにめでたい情報が!
本年7月1日発売のモーニング31号に掲載されたドラマ放映直前記事にて撮影した写真が「第41回日本雑誌写真記者会賞:人物部門」を受賞しました。
ドラマ『ハコヅメ』戸田恵梨香 永野芽郁[講談社・森清撮影]「FRaU web」(2021年7月1日配信)
FUJIFILM SQUARE space2(東京ミッドタウン)にて12/17-12/28の期間開催される2021年日本雑誌写真記者会写真展にて展示されます。
特別企画!
ドラマで人気だったエピソードの関連話を10月13日(水)まで無料公開!