『片喰と黄金』移籍連載開始記念!だいたい5分で追いつく!アメリア&コナーの旅路!

19世紀にカリフォルニアで始まったゴールドラッシュを題材に、一攫千金を狙うアイルランドの娘と青年の旅を描いた『片喰と黄金』が、10月19日(火)よりウルトラジャンプ(集英社)からコミックDAYSに舞台を移し、移籍連載を開始!

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19世紀にカリフォルニアで始まったゴールドラッシュを題材に、一攫千金を狙うアイルランドの娘と青年の旅を描いた『片喰と黄金』が、10月19日(火)よりウルトラジャンプ(集英社)からコミックDAYSに舞台を移し、移籍連載を開始!

さらに、10月19日(火)正午~26日(火)正午までの期間限定で、全話無料公開されます!(先読み有料話を除く)

これを記念して、2回にわたって『片喰と黄金』をさらに楽しむための特別企画がスタート!

今回は主人公・アメリアたちの足取りを追いながら、これまでの物語と歴史を史実も交えつつ振り返っていきます。随所に「Check!」として、歴史の小ネタも解説していきますよ!本編の盛大なネタバレを含みますので、未読の人はご注意を!

それでは、アメリアとコナーの旅路をさっそく追っていきましょう!

物語の始まり〜アイルランドから移民船でアメリカ合衆国へ〜

本作の主人公は、アイルランドを襲った大飢饉ですべてを失い貧困にあえぐ、アメリア・オニール。カリフォルニアで発見された「山ひとつある黄金」の噂を聞いたアメリアは、従者のコナーとともに、人生逆転を期してカリフォルニアを目指します!

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▲黄金でひと山当てて一発逆転!と自信満々のアメリア。人生そんなに甘くない!

偶然出会った心優しい男性に旅費を援助してもらい、移民船に乗り込むことに成功しますが、その船内は極めて不衛生で過酷な環境でした……。

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▲汚く臭い船内がアメリアたちを待ち受ける……。この旅、過酷ッ!!

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▲ベッドの敷布を剥がすとそこには…。この上で寝ていたなんて信じられない!

2人が船内で親睦を深めた「ダラ」と名乗る青年も、到着直前に感染症によって死んでしまいます。彼は死の間際に、ある秘密を打ち明けます。それは、「本当のダラ」の死体からボルチモアへの招待状と旅費を盗み、代わりに支援を受けようとしていたこと。自分に何かあったときにはアメリアとコナーにその招待状とお金を譲る約束をします。

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▲最初はそっけなかったダラ。船内で交流を深めるうちに、アメリアは彼にとっての“最後の誰か”になっていました。
Check!⇒アイルランドの大飢饉とは?

1845年、アイルランドはジャガイモの疫病「胴枯病(どうがれびょう)」の流行によって未曾有の大飢饉に襲われ、餓死者と免疫力不足による病死者が何十万人と出る事態に。アイルランドはもともと貧しく土地も痩せており、貧困層はジャガイモに頼りきりの食生活を送っていたのです。

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▲死体を漁ることでどうにか生き延びていたアメリアとコナー。ギリギリの崖っぷちだったようです。

Check!⇒カリフォルニア・ゴールドラッシュとは?

1848年1月24日にカリフォルニアで黄金が発見されたことを皮切りに始まったのが、「カリフォルニア・ゴールドラッシュ」。それが最も加熱したのは1849年で、この年に世界中から黄金を掘りに行った人たちは「フォーティナイナーズ」と呼ばれています。アメリアたちが船に乗ったのも1849年の1月です。

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Check!⇒アメリカ行きの移民船について

通称「棺桶船」。飢饉によるアイルランドからの移民は120万人ほどいたとされています。実際の船はアメリアたちの乗っていた船よりもさらに過酷な環境でした。移民船で多く見られた回帰熱は、ダニやシラミを媒介とする感染症で、致死率は数〜30%ほどと言われています。ちなみに、当時はまだ「感染症」が発見されていないため、アメリアたちは「伝染病」と呼んでいます。

▲すし詰め状態で環境最悪の移民船。アメリアたちは船倉の掃除を提案し、生活改善のために動きます。

 

ギャングが支配する街・ニューヨークへ

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船に乗ること約6週間、アメリアたちはようやくアメリカ合衆国、ニューヨークに到着します。しかし、救いを求めてたどり着いたニューヨークは、移民差別が激しく、ギャングの争いが絶えない街でした。

▲人生初の大都会に驚くアメリア。アイルランドの都市、コークやゴールウェイの比ではないとたじろいでしまいます。

早々に街を去ろうとした2人でしたが、ギャングの抗争に巻き込まれ、ビル・ザ・ブッチャー率いるギャング団に拘束されてしまいます!

▲ニューヨークで最も影響力を持つ男、ブッチャー。アイリッシュを見るといろいろな気持ちが混ざり合って固まってしまうという変な特徴を持っています。

ギャング団に要求されたのは、なんとブッチャーのアイリッシュ嫌いを治すこと……!?

荒治療に巻き込まれた2人は、どのようにしてこの危機を脱するのでしょうか……。

▲ブッチャーのアイリッシュ嫌い克服作戦。しかし、そう簡単にいくはずがなく……。
Check!⇒当時のニューヨークについて

当時のニューヨークには、高級住宅街など治安の良いエリアもありました。しかし、一部のエリア…特に貧困層が集まるところの治安はひどいもので、政治家とギャングはともに利用し合い、警察もまともに機能していないという腐敗した状況だったそうです。

 

コニーアイランドを経由してニュージャージーへ

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危機一髪のところでニューヨークを脱出したアメリアたちがたどり着いたのは、コニーアイランド。そこで出会ったのは、日本が誇る天才・ジョンマンこと、ジョン万次郎です。

▲「ただの通りすがりの天才」と自称するジョンマン。歴史の教科書などでもおなじみです。

ジョンマンはアメリアと話すうちに、諦めていた日本への帰郷、故郷の母に会いたいという思いを吐露します。アメリアはジョンマンに旅の一行に加わらないか?と持ちかけますが……。

旅への同行は断られましたが、いつかカリフォルニアで再会できることを信じ、2人はニュージャージーを通って先に進んでいきます。

▲初の旅の仲間ゲット!?かと思いきや…。ジョンマンの代わりに、猫のトサが一行に加わります。

 

Check!⇒ジョンマンとは?

ジョン万次郎の名前で知られる日本人。土佐の貧しい家庭に生まれた彼は、14歳のときに乗っていた船が遭難し、無人島で生活していたところをアメリカの捕鯨船によって救助されます。当時の日本は鎖国をしていたため、そのままアメリカに渡り、英語や航海術、測量術などを学んだそうです。

▲アメリアたちにカリフォルニアの位置を教えるジョンマン。ここまで完璧に地形を覚えているとは、まぎれもない天才です。

 

交通の要の都市・ボルチモアへ

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移民船でダラから受け取った手紙を頼りに、ボルチモアでの逗留を企てるアメリアとコナー。しかし、手紙の差出人であるレイノルズ夫妻に会うと、アメリアは「ダラの遺体から手紙とお金を盗んだ」と告げてしまいます。

▲ダラから譲り受けたと言うつもりが、実際に夫妻の顔を見ると思わず……。

夫妻は激怒しますが、「行く当てもないアイリッシュの子どもを見捨てるほど恥知らずではない」と、5日間の期限付きで自宅に住まわせます。

▲アメリアたちに非はないのですが、レイノルズ夫妻の胸中を考えるとやるせない気持ちに……。

最初は2人を信用していなかったレイノルズ夫妻ですが、町中で見かけるアメリアとコナーの真摯な態度を見るうちに誤解が解け、心を通わせるように。アイルランド人にとっての大事な日「セントパトリックデー」をともに過ごします。

▲誤解が解けたあとのセントパトリックデーの夜。故郷のアイルランド料理を食べながら談笑する姿が微笑ましいです。
Check!⇒セントパトリックデーとは?

アイルランドにキリスト教を伝えた聖人・聖パトリックの命日である3月17日に定められたカトリックの祭日。現在知られているような盛大なパレードは、アメリカに渡ったアイリッシュによる軍事パレードが始まりとされています。

▲アイルランドで行われていたセントパトリックデーとの違いに、思わず真顔で突っ込むアメリア。

 

絶景が広がるグレートフォールズへ

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久しぶりにアイルランド人との交流を楽しんだ2人は、カンバーランドに向かう途中で絵描きの青年・イザヤに出会い、ともにグレートフォールズへと向かうことになります。

▲イザヤは美青年ですが、なかなかの変人。いろいろあってグレートフォールズの絶景を前にコーヒーを飲むことに……?

しかし、出発するやいなや、イザヤはその身なりの良さから強盗に襲われてしまい……!?

アメリアは顔色ひとつ変えずに強盗を銃で撃つイザヤに恐怖を覚えますが、怯えて助けに出られなかった自分を恥じ、彼を仲間に入れようと誘います。

▲アメリアの誘いにまったく無関心。イザヤの不気味さが際立ちます……。

他人に興味はないというイザヤ。最初はもちろん断りましたが、アメリアと話すうちに心変わりし、自分の興味が尽きるまでという条件付きで旅に同行することになりました。

▲心強いがどこか危険なイザヤが旅の一行に!彼の興味が尽きないことを祈るばかりです。

もう少しグレートフォールズで絵を描くというイザヤを残し、2人は先にボルチモア&オハイオ鉄道で移動します。

ボルチモア&オハイオ鉄道で奴隷州・ケンタッキーへ

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ボルチモア&オハイオ鉄道で2人が出会ったのは、大陸横断鉄道の最重要人物として歴史に名を残すこととなるセオドア・ジュダと、その妻のアンナ。

▲壮大な夢を掲げるセオドア。すでに若き天才技師として名を馳せていました。



▲夫であるセオドアの夢を応援するアンナ。美人で、優しく明るい力持ちです!



セオドアとアンナを仲間に引き入れてケンタッキーへと向かいますが、そこで目にしたのは奴隷州の現実。

黒人奴隷に過酷な労働を科し、暴力で支配する奴隷所有者が多いなかで、アメリアたちを泊めてくれた富豪・モラレスは誰もが穏やかに暮らせる楽園を築いていました。

▲幸せそうに暮らすモラレスと奴隷たち。いい職場のようで何よりです。

しかし、そんな楽園から1人の奴隷・ロスが逃亡。その現場を偶然目撃したアメリアがさらわれてしまい……。

▲山中を引きずられるアメリア。顔面を思いきり殴られ、気絶してしまいました……。

コナーたちはアメリアを探しに行きます。追いついた先でボロボロになったアメリアを見たコナーは、ロスに向かって発砲。アメリアがとっさにロスを突き飛ばした結果、ロスは逃亡に成功しましたが、アメリアは深い傷を負ってしまいます……。

▲悲惨な自分の姿を鏡越しに見たアメリアは、間近に迫った死の恐怖に思わず……。
Check!⇒ボルチモア&オハイオ鉄道とは?

アメリカ最初期の鉄道。1827年に設立され、1830年に操業を開始します。アメリアたちが乗った1849年は、まだ目標地点のオハイオ州までは到達しておらず、ボルチモアとカンバーランドの間を走っていました。

▲アメリアたちが乗ったもの。脱線しそうになったのをセオドアが間一髪で止めた。
Check!⇒セオドア・ジュダとは?

大陸横断鉄道計画の中心となった人物。大陸横断鉄道は東と西から線路を延ばして建設されたもので、セオドアはこの西側の山脈を越えるルートを決めました。妻のアンナも実在した人物です。

▲相思相愛なセオドアとアンナ。見ているこっちが照れてしまうようなセリフです。
Check!⇒奴隷州とは?

法律で奴隷制が認められている州のこと。奴隷たちは地下鉄道という奴隷の逃亡を援助する非合法組織の力などを借りて、自由州やカナダへ逃亡して自由を手にしていました。

▲捕まってしまった奴隷たち。殺されはしないが、「死ぬ方がましな目」に遭わされるとか……。

 

内陸最大の都市・シンシナティへ

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負傷したアメリアをイザヤに任せ、コナーとセオドア、アンナの3人は黄金を求めて先に出発。アメリアとイザヤは、シンシナティで出会った教師、エリを仲間に引き入れようとします。

▲常識人なエリ。そんな彼がゴールドラッシュに参加したいという理由は……?

しかし、そんなエリの行動を阻止するために、彼の妹であるセルマと、幼馴染みのハイラムが登場。アメリアとハイラムは、エリを賭けて賭博で勝負をすることになります。

▲あまりにも悪い顔で勝負をふっかける2人。エリの意見は無視して勝負がスタートします。

勝負の結果、アメリアは負けてしまいますが、アメリアからの「あなたも一緒に来ます?」という言葉に心を動かされたハイラムが、エリと共に旅の一行に加わることになりました。

▲子どもたちのために学校を作ろうとするエリの意思は、とても固いものでした。



▲ハイラムは、見下していたエリが大きな野望を抱いていたことから、自棄になって引き留めようとしていたのでした。

 

駅馬車に乗ってインディアナからセントルイスへ

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開拓されたばかりのインディアナを経由し、コナーたちが待つセントルイスへと急ぐアメリアたち。

しかし、待ち合わせ場所であるイザヤのパトロンの家に到着したときには、なぜかコナーはすでに出発した後。その理由は、セントルイスを襲ったコレラの流行。街に長居するのは危険だと判断し、コナーは先に進んでいました。

▲タッチの差ですれ違い……。アメリアは下唇をかみ切る勢いでコナーを心配してしまいます。

アメリアたちも早めに出発の準備を進めることになりますが、出迎えてくれたイザヤのパトロンであるラルフを見たアメリアは彼に一目惚れ!思わず求婚してしまいます。

それもそのはず、ラルフはイケメンで優しく、さらに財力もあるという完璧人間だったのです。

▲出会って5秒で即求婚。こんな時でも判断の早いアメリア。そして普通に面食いなのでした。

そんなラルフの自宅で旅支度を進めていたある日、アメリアたちの目の前でラルフが突然倒れてしまいます!

▲嘔吐とともに倒れたラルフ。コレラに感染してしまったのでしょうか……?
Check!⇒コレラとは?

細菌性の感染症。数時間〜5日の潜伏期間を経て突然発症する。1849年にセントルイスで大流行し、人口の1割もの死者が出た。

……というわけで、コミックDAYSでは、このお話の続きから本編がスタートします!

ここまでのアメリアとコナーが旅した道のりをざっくりとまとめましたので、こちらをご覧ください!

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仲間を増やしながら徐々にカリフォルニアへと近づいているアメリアたち。

ラルフの安否は果たして…!?まだまだ波乱の旅は続きそうですね……!

 

気になる続きは今すぐこちらから!

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これから先もアメリアたちの旅から目が離せません!

また、今回の「Check!」のような解説・歴史の小ネタは単行本巻末に毎回収録されています。気になる方は単行本でもチェックしてみてください!

次回は、作者・北野詠一先生に制作に関するお話を伺います!お楽しみに!

 

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