『バトルスタディーズ』37巻発売記念、なきぼくろ対談【完全版】河村泰伸✖️なきぼくろ 俺の人生やから 新チーム発足後、即謹慎。地獄の半年間を生き抜いた鬼メンタル対談!

甲子園出場停止…。その責任を担った新チームの先輩後輩。 18年ぶりの再会…!

甲子園出場停止…。その責任を担った新チームの先輩後輩。
18年ぶりの再会…!

河村さんが経営する焼き肉屋「ホルモン焼肉 かわむら」のお店の前でパシャリ。

キラキラお目々と扇まつ毛が特徴の河村泰伸さんがモデルになった「天津太郎」。

最初はLOVE一方通行。
なきぼくろ→河村泰伸。

 

なきぼくろ(以下、な): 河村さん、お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。

河村泰伸(以下、河): 久しぶり、よろしく。

な: 実は僕、中学生の頃から河村さんのことを知ってたんです。ある大会で和歌山シニアが試合をしてて、ピッチャーとして投げてる河村さんを見て、「あの人PL行くらしいで」って。

河: 知っててくれたんや。

な: 僕が中学三年生の時に、PLの試合を観に行ったら、河村さんはもうベンチに入ってて。それがすごい衝撃でした。PLに入ってからようやく話す機会ができたと思ったら、つかみどころがなくて、すごい不思議な人でした。三年生が引退されてから、「この人ちょけるれる人なんや…」ってわかってきました。

河: そんなに出してなかったっけ? 三年生に見つからんように隠れてたんかな…。懐かしい。

な: 河村さんは僕ら1個下の代のこと覚えてますか?

河: 覚えてるよ。出川(なきぼくろ)のことは「出川っちょ」って呼んでたもんな。

な: そうです! この感じ久しぶりです。系列は誰になるんですか?

河: 谷中やな。

な: 大変なくじひきましたね。何も仕事できなかったですよね?

河: 俺はあんまそんな思わへんかったよ。

な: 谷中が河村さんは全然怒らへんって言うてました。僕もめっちゃ優しくしてもらったこと覚えてます。めっちゃきついV字腹筋をやらされてる時に、河村さんが僕の足の下に自分の足を入れて支えてくれて。僕のこと楽させてくれたんです。覚えてますか?

河: 覚えてるよ。めちゃくちゃしんどかったよな。1〜2時間はやったもんな。

な: いつも河村さんは、「先に上がっていいよ」って僕のことを帰してくれてたんです。僕の中の河村さんはそういう印象です。

 

 

PL入寮。華やかに見えた門は意外にも…。

 

な: PLに入った時の印象とかどうでしたか?

河: 楽になったと言われてたけど、それでもやっぱりしんどかったよ。やばいところ入ったなって。

な: 入寮してすぐにベンチに入ってましたよね。

河: なんでやろって思ったよ。先輩にもすごいピッチャーはたくさんおるわけやん。

な: 僕がPLに入る前にスタンドから試合を観てたんですけど、三年生が守備についてるときに、河村さんがベンチの端っこで声を出してるのに、控えの先輩がジャグリングしててボールを落としたんです。そのボールを河村さんが拾ってましたよね。

河: ベンチの中でも寮生活と一緒。

な: 僕はそれがゾッとして。PLって笑ったらダメなんで、全然しゃべらんし、笑わへんし。ずっと無表情で先輩が落としたボールを拾ってて。そんな中でもピッチャーやってはって、投げる時とかプレッシャーなかったですか? 新聞にも載ってましたよね。

河: もちろんあったよ。先輩たちがおるのに、俺のこと取り上げんといてって。後で怒られるんちゃうかってビクビクしてたよ。ボロカス打たれたらって恐怖もあったし。

 

服がなければ、服を借りたらいいじゃない。

 

な: 河村さんは覚えてるかわからないですけど、僕の初めての外出日に、河村さんと普通科の服を借りに行ったことがあったんですよ。河村さんが夜中の1時くらいに、「出川っちょ、仕事終わったか? 外出日やけど服ないやろ。借りに行こか」って普通科が干してる服を見に行ったの覚えてますか? 最低ですけどね。

河: 覚えてるよ。やったらあかんけどな(笑)。でも俺ら服なかったやん。ジャージしかないから、せやから服借りて洗濯して返して。「ありがとう」って(笑)。普通科の寮と野球部の寮は同じ棟にあったから。

な: バキバキな武闘派とそうじゃない派閥と別れてて、一年生と二年生ってそんなに距離近くなかったじゃないですか。河村さんは良い意味でPLっぽくなかったですね。

河: めんどくさかったからな。そういう風習をなくしたかったけど、力もなかったし。放置しちゃってたな。

な: いやいや、河村さんがいることで、防波堤になってました。揃っちゃいけない先輩方が揃うとやばいですけど、いつも河村さんがブレーキを踏んでくれて。でもその後河村さんたちが三年生になってから、僕の記憶は飛んでるんです。

河: いろいろあったもんな。出場停止明けのことやろ?

な: そうです。

河: 1個上の夏と、俺らの春が消えて。

な: あの時地獄でしたよね。

河: 地獄やったよ。ユニフォーム着たらアカンって言われて、ジャージで草むしりして。処分も今と比べたらめちゃめちゃ厳しくてな。半年間やもん。もちろんやったらアカンことをやったからやけど。

な: 6月27日〜12月27日までですもんね。河村さんたちの代は荒れてて。そりゃ荒れるじゃないですか、何もしてないのに野球できないなんて。その間はずっとPLの塔を掃除してましたよね(笑)。

河: そうそう。何もしてないのに掃除ばっかり(笑)。

な: ユニフォームも着たらアカン、ボールも持ったらアカンって。

河: ずっと走ってたよ。ジャージで。

な: それも耐えて、冬練も耐えて。一発目の試合が報徳学園でしたよね。その時も河村さんが投げて。「謹慎明けの一発目の試合はうちとやらせてください」って言っていただいたんですよね。

河: そうそう。嬉しかったよな。

な: 報徳学園は強かったから、その試合に取材陣が結構来てましたよね。

河: ※大谷 もおったからな。(※大谷智久:報徳学園〜早稲田大〜トヨタ自動車〜千葉ロッテマリーンズ)

な: 河村さんが投げて、2-1で勝てて。翌日のスポーツ紙で報じられてましたよね。その後の春の大阪大会も優勝して。そう考えたらすごいですよね(笑)。謹慎明けすぐやったのに。

河: 春の大阪大会が俺たちの初めての大会だったもんな。でも出川の代も良かったよ。小窪(哲也)、松ちゃん(松本晃)、谷中とかな。

な: 謎に僕も春の大会でベンチ入ってたんですよ。優勝してるはずなのに何も覚えてないです(笑)。必死すぎて…。

河: 俺も一緒や、ベンチ入ってるだけで何も覚えてない。

な: 嘘や、何言うてるんですか(笑)。確かその後は、近畿大会で報徳と戦って負けたんですよね。

河: せやな。その時も俺が投げて。リリーフで投げたんやけど、ホームラン打たれたのを覚えてる。その後また謹慎あったやん、1ヵ月。

な: あれ、ありましたっけ?

河: しばいたしばいてへんの疑惑があって、6月は謹慎してたよ。めっちゃ有名な遠征あったのに。だから6月は丸々何もできず、ぶっつけ本番で大阪大会に挑んで。春は勝てて、調子に乗ってたから負けた。

な: 2度目の謹慎ありましたね…。全部背負わされた感じですよね。ほんとすみません。

河: お前らは悪くない。

 

 

甲子園は観たくなかった。

 

な: 夏の大阪大会は何回戦まで行ったんでしたっけ。僕はスタンドから観てたんですけど。

河: 5回戦までやな。商大堺(大阪商業大学堺高等学校)に負けたんよ。ずっと苦手やってんな。

な: 最後の夏のモチベーションってどんな感じやったんですか? 大阪大会は謹慎明けすぐで、河村さんは一年生から投げてて、左のエースって感じだったじゃないですか。

河: 出れたらええやんみたいな感じやったな。有名な高校と戦ってみたいなーとも思ってたし。

な: そうですよね、どこともあんまり試合できなかったですもんね。

河: 他と比べて圧倒的に試合数が少ないから、いっぱい試合したかった。

な: 新チームになって、対外試合禁止で、半年の謹慎明けから夏の大阪大会まで10試合もしてないってことですよね。

河: そう…やな、春の大会…、練習試合…。ほんま最悪や(笑)。だから、引退してから甲子園観たくなかったもん。あ、でもお前らの大阪大会の決勝戦の応援は行ったで。

な: 河村さん来てくれてたんや。

河: 大学に嘘ついてサボった。「すみません、親戚の結婚式で…」って言うて。

な: バレてそうですね。

河: バレてた。テレビに映ってたらしい。「昨年のPLのエース・河村くんが観に来てくれるらしいです」って誰かが言ったんやろうな。大学から電話かかってきたけど、無視して。

な: 河村さんの代は辛かったですね。僕は必死すぎて、先輩たちの気持ちを考えられる余裕がなくて。漫画を描いてる時に改めてすごい世代やったんやなと思いました。

河: すごいキツかったな。

な: ボールすら握れない時期があっても、さすがに違う高校に編入するみたいなことは考えなかったんですか?

河: もう三年になるし、さすがに遅かったな。どうしようもなかったから。

 

 

数あるスカウトの中から、PLを選んだ。

 

河: 松坂さん(横浜高校)の試合を観てたからやな。他の高校からもスカウトはいただいてたけど、PL一択やったな。かっこよかったし。無意味にこれ(胸に手を当てながら)やってたし。

な: 一年生の時からスカウト来てたんですか?

河: そうやね。でもやっぱりかっこよかったやん、PLが。

な: 河村さんすごかったですもんね。特別体が大きいわけじゃなかったのに、ズバ抜けてた。

河: でも一年生の時は飯も食えんしガリガリやったよ。

な: それでも普通に140キロくらい放ってましたよね。

河: いやいや、そんなにいってないと思うよ。メンタル的にも体力的にもしごかれるから。飯なんて深夜の冷コー(アイスコーヒー)くらいやろ。それでカロリーとって、お菓子どこかに隠して。

な: リスやないですか(笑)。

河: 一般の寮の洗濯場に隠して、深夜に取りに行って。

な: 立ち回りが上手やったんですね。

河: 一回も見つかってない。

な: 河村さんのそういう話全然聞かないから知らなかったです。

河: 乾燥室で寝たりもしてたで。臭い剣道着に紛れながら「誰も来んやろこんなとこ」って。剣道着を自分の上に置いて。

な: たまに三年生入ってきますよね。

河: それで一回見つかったことある(笑)。「うわ、うわ、やばい!」って。泣いたふりして誤魔化して、閃いたんやろな。そしたら「どうしたん?」ってなるやん。「すみません、ちょっといま、悩んでて…」って全然悩んでないねんけどな(笑)。

な: めっちゃおもろい。その時はセーフやったんですか?

河: セーフやった。愛はあったんやろな。

な: でもやっぱり河村さんも松坂さんの試合を観て入られたんですね。

河: そうやね。シニアの先輩が行ってたのもあったんやけど。

な: 入る前の憧れたPLと、入った後のPLの印象の差はどうでした?

河: 入らんければよかったって、一年生の時はずっと思ってた。夜が怖いやん、ミーティングが。

な: 夜が怖いっておもろいですね。

河: 夜怖いよぉー。お祈りの後に、今日一日で気になったことをみんなで言い合うんやけど、それが憂鬱やった。

な: 名前呼ばれるんですよね。「おい、誰々」から始まっていって。

河: 「やばい、きたきたきた…」って。「お前はええよ」って言われてからの安心感がもう…。

な: 「ええよ」って言われるんですね。その後は抜けていくんでしたっけ?

河: そうそう、「残れ」もあったよ。

な: 脱走はしたことないんですか?

河: 脱走はしたことはないけど、夜中に抜け出して吉野家には行ってた。

な: バレてないんですか!?

河: 全然バレへん。俺ほんまバレへんねん。球場の門出て下降りたら吉野家あったやん。

な: ありました。僕らも行きました。バレました(笑)。

河: 先輩の服着てな。真夜中に。

な: ジャージで行ったらバレますもんね。だから借りて、着替えて、脱走して、食べて(笑)。

河: ひたすら食べて。帰ってきて、着替えて、寝るんよな(笑)。

な: 一人で行ってたんですか?

河: いやいや、何人かで行ってたよ。

な: すごいですね。あんなに怖い世代が上にいても吉野家は食べに行くんですね。

河: たまに差し入れで吉野家があったやん。それを舌がずっと覚えてて。忘れられなくて。めちゃめちゃ美味かった。

な: 美味かったけど、一年の時って水も飲めないから口の中パッサパサになりませんでした?

河: 俺は普通に水道水飲んでたからな。バレずに、「いけいけ!」って先輩のやつも飲んでたよ。

な: 先輩のも!?

河: おん、「あの先輩のやしええやろ?」って。怒ってた時もあったけどな。「なんか減ってるな!」言うて。俺は「いや…知らないですけどね…。見張っときます」って。

な: それに河村さんは笑わへんから。どんなに笑かされても先輩の前では笑わないんです。

河: いい子ちゃんを演じてたな。

な: 河村さんの一つ二つ上の代の人たちってめちゃめちゃ怖いんですよ。それなのに吉野家食いに行くってすごいですね。

河: 食い意地だけはすごいよ。今しかないやろって。お菓子禁止もあったやん。お菓子は偉大よ…。

な: みんな多分わかってないと思うんですけど、お菓子禁止って言われたら「可愛い」みたいなイメージありますけど、ちゃいますもんね。糖分を摂取できないから。

河: 飯食えへんねんから。

な: あの河村さんがガリガリになっててびっくりでした。みんな耳がボロボロやったんですよ。多分ダニかなんかで。

 

 

河村さんがモデルになった「天津太郎」

 

な: 『バトスタ』でも河村さんをモデルにしてる、天津っていうピッチャーがいるんですけど、あれは完全に河村さんです。

河: らしいな。

な: 河村さんにほんまに言われたセリフを描いて。「一年半、黒子になったらええだけの話、感情とかいらんから。ほな天国になるから」みたいなことを言われたんですけど、まさにそのまんまですよね(笑)。

河: 我慢しろってことやな。

な: だから僕はうまく立ち回ることができました(笑)。

河: 俺の意志をしっかり引き継いだな。

な: はい(笑)。

 

 

届かなかった、甲子園への架け橋。

 

河: 俺たちなら絶対甲子園行けると思ってたからな。楽勝だと思ってアップもろくにしなかった。

な: そんな感じやったんですか。

河: 天狗になってるところはあったな。俺らが行くんや!って。

な: みんな行くと思ってましたよ。

河: モテモテになるんちゃうかなって。ファンレターたくさんもらってな。

な: 河村さんは一年生の頃からずっときてましたよね。

河: コアなファンがおったよな。

な: 河村さんの代の最後の夏を、僕はスタンドで応援してたんですよ。カズ(藤井主文)と一緒に応援団長してて。まさか初戦で負けるとは思ってなかったですね。河村さん泣いてなかったですよね?

河: 泣いたふりしてたな、みんな崩れ落ちてて。俺も悔しかったけど、涙は出てこんかった。初回にどかっと点取られて、「やってもうたな…恥ずかし」って。

な: 河村さんが大量得点取られてるところを見たことなかったです。

河: 立ち上がりが悪くてな。

な: 追いかける形で谷中がホームラン打ったりしてましたよね。

河: 追いついたりしながら、最終回二死満塁で、バッター俺。代打東(裕也)。

な: そうや、三振か…。※今日たまたまやけど、何してんねん東(笑)。

※河村さんとの対談の後に、東さんとの対談が控えていました。東さんとの対談記事は同時発売中の38巻に掲載されています。

河: その日2安打くらい打っててん俺。

な: 河村さんはバッティングもええから。

河: 案の定、東が三振して試合終了(笑)。

な: なんかめっちゃ中途半端な三振でしたよね、「あれ、終わってもうた…」って。

河: あのときの心境を聞きたいよな。最終回二死満塁代打三振。

な: あいつ満塁ばっかり回ってくるんですよね。

河: 満塁男やな。

な: それで全然打てへん。

河: いらんところで打つよな。

な: めっちゃしょうもないんですけど、スタンドで応援してて、負けて僕らがショック受けてるところに、三年生のファンの人らが、僕らにアドレスと電話番号を渡してきたんです。怖かったですよ…。「はや…」と思って。こんなに乗り換え早いのって(笑)。河村さんはどうしてました?

河: 俺は片っ端から連絡していったよ。

な: めっちゃモテますもんね。もうすでに佇まいがかっこいいんですよ。みんなといる時は普通にちょける(ふざける)けど、一人でいるときがめちゃめちゃかっこいい。

 

 

PL卒業、大学野球を経て社会人野球へ。

 

な: 卒業後は近大(近畿大学)に行かれたんですよね? 僕は卒業したら野球をやめてしまったからその後のみんなのことは全然知らなくて。大学で結果出して、社会人野球へって感じだったんですか?

河: 結果なんて全然出てなかったけどな。よくあるパターンの、遊ぶ方向に行っちゃって。三年生くらいになってから真剣にやり出して。なんとか社会人野球にも入れて。

な: PLから大学入った時は、上下関係とかどうでした?

河: めんどくさいこともあったけど、PLに比べたら全然…。PLの方が辛かったよ。今思ったら、野球やらんでもよかったかなとも思うし。

な: でもプロからも声かかってましたよね。

河: いやー…、一応みたいな感じやったからな。プロ志望届は出したけどダメやった。努力をしなかったからな。甲子園出てる人が羨ましかったよ(笑)。

な: 話戻っちゃいますけど、出場停止になったり、いろいろあって、僕らの代は9人いなくなったんですよ。河村さんたちも「そんな人数やったら仕事なんて回せなくなるから、俺たちのは俺たちでやるから」って。全てが崩壊しました。

河: そんなにやめたんや。

な: 脱走したんです。松ちゃん、東…。

河: 東は何回か脱走してたよな。松ちゃんも。

な: 松ちゃんは無表情で脱走して、無表情で部長に捕まって帰ってくるんです(笑)。

河: しんどかったんやな(笑)。

な: 「これやったら甲子園無理や」って思って、みんなで編入するってアホなこと考えてたんですよ。小窪と僕も脱走しようとして途中まで行ったんです。でも小窪が「洗濯物出してくるわー」って戻ったら、谷中がグラウンド整備してて。「あいつ絶対帰らへんなー」と思って僕も頑張ったんです。

河: 俺らの代も「腕折ってくれ」とかあったもんな。

な: 腕折ってくれ?

河: 練習が嫌すぎて。学校の教室で「河村! 腕折ってくれ!」って。

な: 精神的に、みんなおかしくなっちゃってましたよね。

 

 

自分の人生やから

 

な: 『ホルモン焼肉 かわむら』はいつオープンしたんですか?

河: コロナが流行り出した2020年くらいかな。

な: めっちゃ簡単な感じに聞こえちゃうんですけど、そんなパッとできちゃうんですか。修業だってめちゃめちゃしたわけですよね?

河: 10ヵ月くらいある店で修業させてもらってたんやけど、ここ(現『ホルモン焼肉 かわむら』)で店やってたオーナーが「お店を出さないか」って声をかけてくれて。修業させてもらってたお店には申し訳ないけど、「やりたい」って気持ちが勝ってもうて。そんなチャンスないやん。いきなり店出していいよなんて。でも、こんだけ修業させてもらってお世話にもなったのに、10ヵ月で辞めるってなったら修業先の店は怒って当然よな。

な: すごいですね。

河: 「俺の人生や。関係ない」って。

な: そのがめつさがあるからできるんやろな。

河: やりたいことやらな損、自分の人生やから。

な: 僕だったら遠慮しちゃうかもしれないですね。めっちゃかっこいい生き方ですね。

河: なんとか潰れずやらせてもらってるけど。

な: めっちゃうまそうです。このあといただきます。

河: おう、食べてって。対談はこんな感じでええの?

な: 大丈夫ですよ。でももっと言えないことありそうですけど…。

河: 練習中抜けだして自分を慰めてたこともあるしな(笑)。

な: ファンキーやねん(笑)。

河: 練習中に森の中にカブトムシ探しに行ってん。なんか、穴の空いた木に突っ込んで。スッキリしてランニング戻って。

な: やばすぎる(笑)。カブトムシ見ながら突っ込んでたんですか?

河: ピッチャーやから、走らされるやん。「行ってきます」言うて。

な: このメンタルの持ち主やからなんでもできるんですね(笑)。僕もやってましたよ。3塁ベンチで。

河: 上達するよな(笑)。

な: 伝説ですよ。カブトムシ見ながら木に突っ込むなんて。

河: 草むらで、木に突っ込んで(笑)。多分誰も知らんのちゃう?

な: 別メニューですもんね。

河: これで…、これで終われる?(笑)。

な: 最高です(笑)。ありがとうございました。

河: こちらこそありがとう。

 

 

文責:編集部

※本対談は2023年7月、感染対策をして取材を行いました。
※本記事は単行本『バトルスタディーズ』37巻に収録された対談記事に、未公開部分を加えた完全版です。

 

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