
平成最後の奇作、発売。
“描いたものが具現化する”漫画家と、その能力によって引き起こされるトラブルを描くファンタジック・サイコ・サスペンス『ペーパーホラーショー』。コミックス第1巻発売を迎えた新鋭作家・山岸汰誠先生の元を、悩める子羊たちが訪れた! 講談社で実施された“どうかしている”お悩み相談会の模様をお届け!!
注※漫画の参考には恐らくなりませんので、ご注意ください!

- …山岸汰誠。漫画家。
「コミックDAYS」で『ペーパーホラーショー』を連載中。

- …スズキ。「ヤングマガジン」「コミックDAYS」編集者。漫画投稿サイト「DAYS NEO」の運営なども手掛ける。
https://daysneo.com/editor/ayaichi/

- …市橋。「ヤングマガジン」「コミックDAYS」編集者。
https://daysneo.com/editor/nichi/
――それでは早速ですが、お悩み相談を始めさせていただきます。

- 山岸:え………本当に? 僕にですか? 何で…

- 子羊A:私、3歳の娘と夫がいるんですけど。ある年のクリスマスの前に、夫に「プレゼント何欲しい?」って聞いたら、「娘の親権」って言われて。しかも最近、夫の頭に大きい円形脱毛症ができて。「本気で離婚したいのかな」って…。なので…夫婦の関係を良好に保つコツとかあったら教えてほしいなって…。

- 山岸:それ……僕に聞くんですか?(※先生は独身)

- スズキ:急に深刻なのきたね。山岸くんならどうする?

- 山岸:え…………
――先生の発想力でひとつ。

- 山岸:じゃあ…粘土とか、作ってみたらどうですか。

- 一同:ざわめく

- 山岸:3人で。

- スズキ:3人で!?

- 山岸:それで住んでる家に、オブジェとして置けばいいじゃないですか。

- 市橋:なるほど…?

- スズキ:それだ。

- 子羊A:あの、何を作ればいいですか?

- 山岸:…………………丸っぽいの。

- 市橋:丸っぽいの…!?

- スズキ:平和の象徴だもんね。関係に、角が立たないようにってね。

- 山岸:はい。ぶつかるとあれだし…。

- スズキ:あっ、ぶつかると危険だから!?(笑)

- 山岸:あとは、紙粘土なら、食べても、有害でもなさそうです。

- スズキ:………あ、さっきから、子供の心配してくれてるんだ!?

- 子羊A:娘のことを考えてくださって。
――思いやりや相互理解が大切ということを教えてくださっていた。

- 子羊A:紙粘土、買って帰ります。

- 市橋:あの…僕も相談してもいいですか。

- スズキ:もう一人の担当、イッチー。山岸くん、イッチーの印象はそもそもどうなの?

- 山岸:なんか、最初会った時は髪が長くて…「明るい感じではないなー」って…でもなんか喋っていくうちに、知性が見えて、少し賢いところが…

- 市橋:少しか。

- 一同:笑

- 山岸:あ。“少し垣間見えた”、ということです。そんな人が、僕に聞きたいことなんて…。

- 市橋:いえ、あるんです。実は、最近できた彼女が可愛すぎて、フラれないか心配で。

- 山岸:あー…

- スズキ:本当は付き合ってないんじゃないかってくらい可愛いんだよね。

- 山岸:大丈夫だと思いますよ。知性を垣間見せていけば。

- 一同:笑

- 市橋:垣間見せるって…具体的にどうしたら…?

- 山岸:それは…知性で考えてほしい。

- 一同:爆笑
――仰る通りですね。

- 市橋:知性、垣間見せて行きます。

- スズキ:ところで、僕も悩みしかないんですけど、相談していいですか。
――どうぞどうぞ。

- 山岸:ほんとはしてほしくないけど…(小声)。

- スズキ:僕、洋服屋さんでTシャツとか見てる時に、「そこらへんTシャツですね~」とか言われるのが耐えられないんですよ。

- 市橋:店員さんに話しかけられるのが嫌ということですか?

- スズキ:いや、それはいい。でも「そこらへん●●です」っていうのと「試着できます」、この2ワードが耐えられない。だって俺「コレ、なんていう洋服だろう~?」って思ってTシャツとか見てるわけじゃないから。俺、ゴリラじゃないから! 試着も、出来ない洋服屋なんて、まずないからァ!

- 市橋:確かに…!(笑)

- スズキ:一番残念なのが、「試着できます」「そのへん●●ですね」って言われて、「あ、じゃあこれのLサイズください」って言ったら、探してきて「ない」って言われるやつ。

- 一同:笑

- スズキ:だいたい体型見たら概ねサイズわかるじゃん。だったら、先回りしてサイズを探しておいて、「Lサイズでしたら、これとこれは在庫あります」みたいに話しかけてくれよと。それだったら有益な情報だからさ!
――理路整然と憤ってらっしゃいますね。

- スズキ:…っていうように、“会話のためだけの無駄な会話”にモヤモヤしちゃうんです。どうしたらいいですか?

- 山岸:それは…

- 一同:(ごくり)

- 山岸:それは…もう、スズキさんの性(さが)ですもんね。

- スズキ:あ、はい。

- 山岸:打ち合わせしてる時も、スズキさん、合理的ですよね。それ…なくなったらだめです。

- 市橋:つまり…?

- スズキ:僕は僕のままで…いいんですか?

- 山岸:(こくり)

- スズキ:ありがとうございますっ!

- 市橋:いやあ、解決しましたね。他、相談ある人…

- 山岸:もう帰っていいですか…?
――私もいいですか?

- 山岸:えっ。

- スズキ:どうぞどうぞ!

- 山岸:えっ。
――私、食べることが好きで、暇があれば食べてしまうんです。働いている時にも食べてしまうくらいで…。

- 市橋:確かに、今日もずっと口の中におにぎり詰め込んでますよね。
――それで今、史上最高の体重を記録してしまっていて。どうしたら…痩せられますか?

- 山岸:我慢できないんですか?

- 一同:笑
――我慢できないんです。

- 一同:無言

- スズキ:…あ、ほら、山岸くんは痩せてるもんね。

- 山岸:僕はあんま、食べるの好きじゃなくて。食べた分、出さないといけないから。あと…一人で飯食う時が多いから、だから多分好きじゃないんです。

- スズキ:みんなで食べるのは好きなの?

- 山岸:好き。

- スズキ:か、かわいい。

- 山岸:あ、だから、一人でご飯食べたらいいんじゃないですか?

- 一同:ああ~!
――ところが、一人で食べる時のほうがたくさん食べちゃうんです。

- 一同:無言

- 一同:無言

- 一同:無言
――万事休す…か。

- 山岸:あっ…あれ。あれ買ったらどうですか? 青色のメガネ。

- スズキ:ああ! 食べ物って、赤みがかると美味しそうに見えるけど、青っぽいと食欲がなくなるんだよね。

- 一同:ああ~~!!
――それだ…!

- 一同:(ほっ)

- スズキ:出すねえ~!
――ありがとうございます! そうと決まれば早速買って帰ります。じゃ、最後に読者に向けて、何かメッセージがありましたらお願いいたします。

- スズキ:雑だな…。

- 山岸:ええと…読んでくれたら嬉しいですね。でも、描いてること以外には言いたいことないです。僕という存在はもう、すっと消してもらって読んでもらえれば。
――いえ、なかなか忘れられない個性でした。ありがとうございました!
山岸汰誠先生の描く『ペーパーホラーショー』はコミックDAYSで連載中!
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