『バトルスタディーズ』34巻発売記念、なきぼくろ対談【完全版】 藤井legend主文×なきぼくろ。研志寮で逸物を曝け出しあった二人が、今宵も語らう!

苦楽を共にした3年間。お互いにホクロがどこにあるか知り尽くす二人。 「青髭」不二井のモデルになった旧友と再会!

苦楽を共にした3年間。お互いにホクロがどこにあるか知り尽くす二人。
「青髭」不二井のモデルになった旧友と再会!

懐かしのジャージとグラコンを着てツーショット。

青髭が特徴の藤井主文さんがモデルになった「不二井主文」。
藤井主文 Fujii Kazufumi

大阪府出身。PL学園から東京農業大学へ進学後、2008年にJFE西日本に入社。2017年に現役を引退した。

 

藤井主文(以下、藤): もう少しオシャレにしたほうがいい? 写真撮られんねやろ?

なきぼくろ(以下、な): 大丈夫や。髭青いねんから。

藤: あれなんなん!? ホンマに腹たつわ。一番最初描いてなかったやん。

な: まだ始まってへんから。あとで聞くから(笑)。

 

 

ライオンの群れに飛び込んだ
ミーアキャット2匹。

 

な: カズ(藤井)はPLの同期で、18人がスカウトされるんですけど、カズともう一人が軟式出身やったんです。

藤: 他の選手は、井元先生っていうすごいスカウトマンに選ばれて全国から入ってくるんです。その中でも僕ともう一人のまさゆきが、PL中学校の軟式野球部出身で、セレクションを受けて入らせてもらった感じです。

な: 軟式からは二人だけやったな。

藤: 今までも入ってくる人は少なくて、何年ぶりかくらいの入部やったな。同級生からも「お前誰やねん」みたいな空気感はひしひし感じてたし。

な: カズが勝手に思ってただけやて(笑)。まさゆきは球も速かったもん。

藤: あいつは一目置かれてたんやろ。紅白戦で外野からパーンって返球したのを見て「あいつ肩良いな」みたいになってて。

な: みんなが和気藹々としてる中、二人だけはPLの所作をわかってるからシャキッとしてて、全然しゃべらんなーっていうのが最初の印象やった。

藤: 単純に緊張してただけやけど。自分の野球人生の中で一番衝撃を受けたのがその時で、同級生やのに大人が野球してるみたいな。ずっとナメられたらアカンとは思ってた。

な: なんでPLに入ろうと思ったん?

藤: 小さい時から絶対に入ろうと思っててん。福留孝介さんや松井稼頭央さんが甲子園に出てる時から毎回観に行ってたし、上重さんの代の試合を観た時も「やっぱりカッコいいな」と思って。

な: そうなんや。まさゆきも?

藤: 「絶対入ろうな」みたいな話はしてなかったけど、まさゆきも実力あったしそう思ってたんちゃうかな。

な: PLに入って一番最初に仲良くなったやつ誰か覚えてる?

藤: 門松のモデルになったまっちゃん(松本)やな。松本が二段ベッドの上で俺が下で、仲良くなったというより仲良くしてくれた。他の選手は既にグループできてて、まっちゃんは漫画に描かれてる通りの優しくて無骨な感じやから。

な: みんな仲良くなるの早かったよな。

 

 

誰やねん枠

 

藤: 一番最初どうやってしゃべったかとか覚えてる?

な: 覚えてるよ。

藤: 覚えてんの?(笑)

な: カズの最初の印象は「誰やねん枠」やけど、焼き肉パーティをする時に、一発芸で一番最初に手挙げて行きよってん。三年生もカズのこと知ってたし、ドーンって笑いもとって可愛がられてて、「ポジション取るのはや」と思ったよ。俺もその後行って、『もののけ姫』のモノマネした。

藤: してたな。逆に俺はそこしかないと思ってた。入った瞬間から誰ともしゃべられへんし、ナメられたくないけどしゃべりかける勇気もなくて。だからそこの一発芸だけは一番最初にかましたろって決めてた。

な: 授業中もカズがボケるから、そのボケに俺がいらんこと言ってカズがまたツッコんで。そんな感じで仲良くなっていったよな(笑)。

藤: そうやんな。

な: 身体能力的なことだと、カズは長距離がめちゃめちゃ速かった。ベベ3でも常にダントツ1位で。他の選手と野球の実力を比べるとアレだけど、カズはカズで自分の長所で一回1位とるみたいに頑張ってたんやろなと思ってた。

藤: 自分のポジションを早く見つけなきゃいけないと思ってたし、みんな野球上手かったけど、寮生活が厳しいから逃げるやつおるなと思ってて。正直みんなライバルだから、最初は心の中で「逃げろ」って思ってた。一年生の時は野球もやらせてもらえなかったから、長距離と一発芸の枠だけは誰にも負けないつもりでやってた。残ったもん勝ちやし。

な: キャラとしても目立ってて、三年生からも可愛がられてたな。俺は普段から感情も表に出ないし、忍者みたいにこなすだけで怒られもせず寮生活送ってたんやけど。

藤: 一年生のくせに大人な雰囲気出してたな。それこそ当時から絵が上手かったし、三年生と付き合ってる彼女の絵描いたりとかしてて。

な: 冷めてただけやけどね。若干ナメてた部分はあったけど。

藤: 野球がめちゃめちゃ上手い後輩に先輩がちょっと気遣うのはわかるやん。でーやん(なきぼくろ)は上手い枠じゃなかったのに先輩に気遣われてて、おいしいポジションやったよな?(笑)

な: 先輩も俺のことがわからなかっただけちゃうかな。カズはすぐ顔に出るタイプやから。先輩に「顔かお前」って言われて「いいえ」って答えて(笑)。「おーい※」も俺とカズしか行ってなかったよな。他の一年生は急に仕事するふりしだして、「なんで俺ばっかりやねん」って顔に出てるところを二年生に見られて小突かれてたな。

※三年生に「おーい」と呼ばれたらすぐに駆けつけてパシリをする。運がいいとジュースを奢ってもらえる。

 

藤: 俺にも少し狙いがあって、誰よりも行ってれば同級生より優位に立てるやん。

な: 可愛がってもらえるし、ジュース奢ってもらえるし。他の一年生があまりにも行かなすぎて、物怖じせずに「お前ら行けや」って言ってたよな。

 

 

やっぱりすごいPL野球部の身体能力

 

な: 体育の授業の時、カズとまさゆきの身体能力がエグかったよな。カズはサッカーもバスケも上手くて。

藤: 体育は普通に好きやってん。

な: 俺もバスケが好きで、三年生の時の球技大会に野球部代表でカズと一緒に出場して、バスケ部に勝ったもんな。

藤: 優勝してもうてめちゃめちゃ空気悪なったな。

な: ホンマにカズは身体能力高かった。球は116キロやったけど。

藤: 球はめっちゃ遅かったな…。

な: 「116キロて小学六年生やんけ!」って(笑)。

藤: よう覚えてるな(笑)。

な: でもフィールディングとバッティングは良くてな。

藤: 投手としてPL入って、当時の部長に言われたことを今でも覚えてる。「入らせてあげる代わりに絶対にケツ割るな。レギュラーが無理なことはわかってんねんから」って。俺もその覚悟で来てるから衝撃は受けなかったけど、エースになろうとかよりも三年生の最後の夏はベンチに入りたいとは思ってたから、そこを目標にしてた。

 

 

猛者との共存

 

藤: 入部してからの6月までって野球しないからグラウンドにも入れずひたすら外回りを走らされて、練習終わった後に5周走の時だけグラウンドに入れるんよな。

な: ドッキドキやったな。

藤: その5周走にもタイムがあって、時間内にゴールできないと全員やり直し。これがすごいプレッシャーで。

な: 20日間くらいやったと思ったけど、カズは投手やったもんな。

藤: 他のみんなは俺よりも上手いから先に練習に入っていったけど、俺は入れんかった。野球じゃないけど走りとか一発芸で勝ててるとか、変な自信がついちゃって。

な: 俺らの中でカズのベンチ入りは確定してたけどな。下手かもしれんけど賑やかやから入るなって。ゲーム形式のランニングでチーム分けする時も、三年生がカズの取り合いをして。俺たちはそういうところでポジションを取り合ってたよな。

藤: そういう意味では似てるかもな。

な: 鷲中のモデルになった谷中とカズと俺は同部屋やって、3人で朝練したの覚えてる? 

藤: 覚えてる。それな、夜もあったんよ。当時の監督にフィールディングでミスをしたことをめちゃくちゃ怒られて。俺から谷中とでーやんにお願いをして、夜な夜な練習に付き合ってもらってな。ひたすらバントしてもらって。

な: 俺もその時焦っててん。谷中は既にプロ注目やったし。

 

 

最初で最後の甲子園のマウンド。

 

藤: 高校三年生の夏、甲子園で1イニングだけ投げさせてもらって…。

な: カズといえばリップとコンタクトなんやけど、マウンドに上がった時ガチガチやったよな。ずっと唇乾いてるし。俺がライト守ってて、遠くからでも目乾いて気にしてるのがわかるくらい。

藤: その話はええて(笑)。

な: ランナーが一塁にいて、投ゴロのダブル(併殺)確実で、カズが二塁に投げる瞬間にみんなも慌てて(笑)。手首がガチガチに固まってるから、送球が思いっきりショーバンして。二塁手のファインプレーでダブル取れたんやけど。

藤: 何もなかったみたいにパパンってゲッツー。

な: あの角度すごかったもんな。フィールディングは良いのに、なぜかみんな「あーやるやる!」って思ってたで(笑)。13対1でリードしてたから出してくれたんよな。

藤: めちゃめちゃ感動的なエピソードやねんけど、ボブが大阪予選の胴上げ投手で、甲子園でも継投するってなったら普通はボブ。俺は一回戦しか投げさせてもらってないからこの場面もないなと思っててん。だけど、二葉(捕手)が監督に「藤井を投げさせてください」って言ってくれて、「10点取ったら投げさせてやる」ってことになって。その時はまだ8点くらいやったんやけど、一気に5点取ってくれて。本当に感謝しかない。今でも自慢できるもん。

な: 初めて勝って笑ったもんな。爆笑して。

藤: 13対1やのに、一塁ランナーにめっちゃ牽制して(笑)。

な: 俺らめっちゃ笑うててん。一生懸命緊張してない感じを出しながらマウンドに上がって、唇乾かしながら「オケオケ、ワンアウトな」って…。みんなに「大丈夫か?」「下がれ!」って茶化されて、あの時全然声届いてなかったよな?

藤: 全然聞こえてない。それが最初で最後の甲子園のマウンドだったし。

な: そうやんな。俺もカズが甲子園で投げてるの見て嬉しかった。

藤: こうやって喜んでくれる同級生がいてくれて、俺もすごく嬉しい。普通やったら「投げてないやつがなんで投げんねん」って言われてもおかしくないと思うし。

な: 三塁手の南のモデルになった東もカズのことが好きやから、試合中もずっとイジってて。

藤: もうええてってなってた。

な: 俺は甲子園で全然緊張しなかったんやけどどうやった?

藤: 緊張したのは、最初の2球だけやったな。2球連続でボール投げて、そのままボールスリーになったらフォアボール出して散らかして終わってたと思う。だけど3球目のボール球に打者が手ぇ出してくれて、それ以降は記憶が鮮明で落ち着いて投げられた。

な: あんなに緊張しなかったのは初めてやったわ。引退チラついてたもん。応援歌も全部聞こえてるのに、打てる気は全くしなかった。優勝はしたかったけど、早よ甲子園終われって思ってた。

藤: それは俺もどっかで思ってたよ。早よ遊びたいなって。

な: 今の大阪桐蔭の選手たちとはモチベーションちゃうやろな。俺らの時代は若干やらされてたやん。それは個人的にも問題はあることやけどそういう世代の最後やったし。

 

 

高校一年生の116キロから141キロまでの道のり

 

藤: 卒業してからは大学に進学して、元プロ野球選手で左投げの方にコーチしてもらって、ピッチングとか技術を教えてもらった。

な: 大学で伸びたんか。あとは体だけみたいな部分もあったしな。

藤: 大学で体に力がついて、球速も130キロ後半くらいまで投げられるようになった。高校で体力と基礎部分を鍛えてもらって、大学で応用を学んだ感じやな。

な: 指導と考える余裕ができたんや。

藤: そのコーチとの出会いが野球人生の中で大きかった。マウンドでも普通に投げただけやのに、自分が思い描いてる球を放れるようになって。

な: それ全然知らんかったんやけど、「カズすごいで、プロ行くで」って言うのを聞いてて。4年連続くらいでプロ注になってなかった?

藤: 大学卒業後は社会人で野球をやって。都市対抗野球大会で投げさせてもらった時に注目してもらえて。雑誌の取材とかもしてもらったよ。

な: なにドヤ顔してんねん(笑)。気持ちよーなってきてるやん。

藤: ホンマに行けるんちゃうかって、うっすら思ってたから(笑)。

な: 高校の時とフォーム変えたのは大学の時なん?

藤: 大学時代に腰を怪我したから、負担がかからないフォームにして。それから141キロまで投げられるようになった。

な: すごいよな。約30キロアップやもんな。

藤: 当時116キロがめちゃめちゃ恥ずかしかった。PLだとなかなかいないやん。

な: ラウンドワンでも女の子が110キロ台普通に打ってるもんな。

藤: みんなに「ひゃくじゅーろく」って言われて(笑)。

な: でもプロ注やもんな。プロに入る準備はしたん?

藤: 1年目の時は、来年も同じくらいの活躍をすれば行けるんかなとは思ってた。実際に阪神のスカウトが練習見にきてくれて。ドラフト上位とかじゃないけど、下手したらかかるんちゃうかなくらいで。でも2年目はダメやった。

な: そうなんや。

藤: 4年目くらいまではプロ注に書かれてたけど、社会人は2年目までが勝負。25歳超えると、よっぽど良くないとプロには行けない。

な: 3年目以降はもうないかなと思ってたんや。自分の中でプロに行けなかったラインとか分析した?

藤: 141キロを投げられるようになってからもまだまだ速くなるかなって思ってたけど、ある時から自分の思い描いてる球筋じゃなくなった瞬間に無理やなって思った。同じ球速でも打たれない質がなくなって、感覚が全然違う。

な: JFEの同期でもプロ行った人おらんかったん?

藤: 同期はいなかったけど、先輩はおったな。

な: その辺は全然知らんな。アホみたいな話しかしてなかったし。ちんこにニキビできた話とか。

藤: 伝説やねんけどな(笑)。

な: それは後で話そや…。

 

 

小学生から32歳まで。やり続けた野球。

 

藤: 2008年から2017年に引退するまで、10年間続けて。以降は普通に仕事してる。

な: 10年ってすごいらしいな。

藤: 社会人野球で「10年」っていうのが、頑張った証みたい。

な: すごいな。レジェンドやん。

藤: 同級生で当時すごかったやつでも3年くらいで終わっちゃってるしな。

な: 引退する時はどんな気持ちやったん?

藤: どこかで一生野球やってるんやろなって思っててん。小学校から32歳まで変わらないことをやってたし。それが当たり前だと思ってたものを一瞬で失った気持ちは今でも言葉にできない。この生活から抜けれるわって思って、辛いけどホッとしてる自分もいて。野球を楽しいと思いながらできてたのは小学生までで、高校も社会人も楽しい感じではなかった。

な: 追われてる感じ?

藤: そうやな、追われてる感じ。でも終わってから初めて野球好きだったんだなと思った。これだけ愛してたからこそ頑張れたし、熱くなれた。やってる時は楽しいって思えなかったのにな。

な: ええ話やん。

藤: 今もどっちがええんかなと思ってて。今やったら「野球楽しめや」って思うよ。楽しんで本気でやってる姿を見るからおもろいやん。苦しんで野球してる奴の姿見て誰が感動すんねんって思う。そこは一生のテーマかなって。楽しむってむずいけど楽しまなアカンし、勝つためにやってるからわかる部分もあんねんけど。漫画でも同じようなシーンがあって、すごく共感した。未だに答えは見つからない。

な: 俺は野球が楽しくなさすぎて、逆に今めっちゃ楽しい。勝ちたいって気持ちを一緒に持ちながらできてるから。野球の時は「勝とう」としてるわけじゃなくて、「こなそう」としてたから楽しくなかったんやと思う。ポジション取るのに必死で外野転向したり、隙間を見つけながら役割をこなしてたのが原因やった。モーニング的なポジションを取ろうとしてる人もおったけど、漫画ではそうなりたくなかった。それしたら潰れるなって思って、やりたいようにやろうと決めてから初めて自分のしたいことに対して、「楽しむ」ってことと「勝ちたい」って気持ちが上手く混ざり合った。

藤: 確かにでーやんから勝ちたいって言葉をあまり聞かなかったな。

 

 

―伝説― 「ちんこにニキビ」と「乳首の舐め合い」

 

な: 三年生の時、カズが俺の部屋に「絵描いてんの?」って入ってきて。「あんな、ちんこにニキビできてん」って俺にちんこを見せてきて。当時カズには彼女はいたけど童貞やってん。そしたらカズが、「俺でかいねんけど入るかなー」ってくだらん話をしだして(笑)。よく見たらニキビできてるし、めちゃめちゃ臭いし。俺が部屋飛び出して大騒ぎしたら、カズが顔真っ赤にして止めてきて。俺はその止め方が気に食わなくて喧嘩になるんやけど、毎晩風呂でカズが謝ってくるんよな。

藤: 俺が謝らんとでーやんは折れないからやん。謝られたこと一回もないし。それでいつも「俺悪ないし」って言うんよ。

な: そんなんばっかりやったよな。三年生になるとプライベートでも仲良くなるから、「前戯ってどうやってすんの?」って聞かれて、俺は嘘ついて「先に肛門舐めんねん」て。

藤: 師匠よな。ホテル行きたいんねんけど、どうしたらええんかなとか。

な: 嘘ばっかり言ってたけど。

藤: いつも谷中と一緒に聞いてな。

な: 風呂入ってる時に「でーやん、おっぱい舐める時どーすんの?」って聞いてきて。「知らんがな! 好きにせえよ」って。そういえば谷中と乳首舐め合ってた疑惑はなんなん?

藤: あれはそんなんじゃないよ。

な: 俺が三年生の時に寮生長やってて、見回りしてる時に谷中の声が聞こえるんよ。「もうちょい上や、そこはこしょばいて!」って。なんで乳首舐め合ってんねん。

藤: 練習してたんよ。

な: ホンマ軍人みたいよな。

 

 

なきぼくろへ苦情

 

な: 冒頭に言ってた苦情ってなんなん?

藤: 俺めっちゃ腹立ってて。不二井ってキャラが出てきた当初は全然髭濃くないのに、久しぶりにでーやんに会うた時期を境になぜか濃くなってて。毎回チェックしてんねんで。最初はただの影かなって思ってたんやけど、それ以降何回も影出てるから絶対髭やなって。あの時何も言わなかったのに、俺のことを「髭濃い」って思ってたんやっていうのが腹立つ。でーやんは人の特徴を捉えて描くの得意やん。和喜田も鷲中もそうなんやけど、特徴を誇張して描くからちょっと悩んでんねん。永久脱毛しようかなって。

な: キャラ弱かったから、髭つけたれと思って。今スタッフさんがめんどくさそうにつけてるわ。

藤: 今すぐやめさせ!

な: 「髭忘れてた」言うて。

藤: そんなめんどくさかったらやらんでいいよ。

な: ええやん。ホンマに青いし。

藤: だから今日はギリギリに剃ってきてん。朝剃ったら夜には青なるから。

な: 昔からでかく見せるよな。

藤: それはあるかもな。

な: 昔はもっと可愛くて、プルンプルンやったのに久々に会うたら真っ青になってて。それがあったから青髭にした。

藤: めっちゃむかついた。今でも納得してないし。

な: もうちょっとパーセンテージあげるわ。次回以降見とけよ(笑)。

藤: もっとおしゃれにせえや。なんでめっちゃダサい髭なん。バトスタに登場するキャラの中で一番嫌いやもん、俺の髭のやつ。ボブはカッコよく描かれてるけどホンマは全然カッコよくないやん。鷲中も和喜田もなんやかんやでええねんけど、俺だけダサくてキショい。

な: でも乳首舐める話は描かなアカンから。

藤: ポップじゃないからキショいだけやん。

な: 風俗行ってそうやもんな。

藤: バトスタって漢気があってサッパリしてるのに、一番ネチャネチャしてるやん。嫌やなって思いながら読んでるよ。

な: よろしいやん。イジれる同級生ってそんなにおらんで。これからも作中ではカズのことイジっていくから。

藤: どっちかっていうと俺、イジられキャラじゃないねんけど。

な: よう言うわ! 俺はボブ・マーリーとかレゲエが好きやったけど、東がインディーズバンド好きで、それがカズに伝染して東の派閥に入って金魚の糞みたいになってる時があったから、「お前自分ないんか?」って言うたら「はぁ?」ってなって(笑)。

藤: 喧嘩ばっかりしてたな。

な: あんなに濃い友達ってできひんよな。

藤: あの苦しみを分かち合った仲間は違う。

な: 乳首舐め合ったら他に何も曝け出すものがないもんな。恥ずかしいことが何もないから、ある意味家族より近くなる。だからカズがプロ注だったことは意識してた。

藤: 俺も野球を続けてるやつを逆転したいと思ってた。

な: 結局テツが最後までやったな。

 

 

PL時代の思い出のTシャツ

 

藤: 未だに大切にしてて、Tシャツなんやけど。

な: 懐かし!!

藤: でーやんが一番最初に描いてくれた49期のイラスト。

な: 引退する直前くらいか。

藤: 信号機のやつとか、なんでこの発想なんっていうのが天才よな。

な: ここにいるみんな、原型変わってないんですよ。飛田も都築も南もモアイも。

藤: それでこれが憧れのジャージ。この青ジャージが研志寮に入った証なんで、これを着て歩くのがめっちゃカッコいい。

な: なに持ってきてんねん(笑)。1、2年の時は黒いジャージやけど、3年生になると着てもよくて、シャツの上に羽織っただけで彼女とデートするんよな。

藤: PLの行事がある時は、みんなこれを着て胸張って歩くんよ。

な: 俺はグラコン派やけどな。ジャージには名前入ってるけど、これには入ってないから。女の子が着てたら「野球部の人と付き合ってるんや」っていう証になる。

藤: エモいよな。最後にでーやん。Tシャツにサインちょうだい。

な: いらんやろ。俺のサイン。

藤: ええやん。欲しいねん。

な: わかった。じゃそっち引っ張っとって。

藤: ありがとう。

 

次回は寮で藤井さんと疑惑のあった谷中さんをゲストにお迎えする予定です!

 

文責:編集部

※本対談は2022年8月、感染対策をして取材を行いました。
※本記事は単行本『バトルスタディーズ』34巻に収録された対談記事に、未公開部分を加えた完全版です。

 

 

『バトルスタディーズ』を1話から読む!

 

↓サクサク読みやすいアプリのDLは↓