無駄なものを作ることが生業になっている藤原麻里菜です。
無駄なものを作っては、YouTubeにその動画をアップしたり、記事を執筆して日銭を稼いでいます。
生まれつき労働の意欲がない関係で、締め切り当日に0.5%しか進んでいないということが常です。もちろん、この原稿も然り……。
そういう時は、「もう無理だ。締め切りに間に合わない。いっそ殺してくれ」と叫びながら、通販サイトを一時間ほど見続け、吟味してカートに入れたものを「やっぱ今はいいや」と全てキャンセルし、パソコンを閉じ、ベッドの上でゴロゴロしながら「自分がサチモスのヨンスだったら」という妄想を一通りした後、漫画を読みます。
迫る締め切り、進まない進捗、だんだん空になる思考。
小林銅蟲先生の漫画「めしにしましょう」は、漫画家の广大脳子先生のアシスタント青梅川おめがが締め切りをすっ飛ばして、ただただ美味しい料理を作るという料理漫画です。イブニングにて絶賛連載中のこの作品、今までの料理漫画にはない独特さがあり、大好きな漫画の一つです。
作務衣を着ているアシスタントの青梅川おめがは、家庭料理の概念を揺るがす調理法で美味しそうな料理を作ります。上記のコマは、風呂で牛肉のモモの塊を湯煎して、ローストビーフを作っているところです。とんでもない。
私が一番食べたい料理、それは、切り口のほうがでかいスマホみたいなカツ丼。頭を空にして食いたい……。
そんな料理漫画「めしにしましょう」ですが、その醍醐味は、進捗がだめなのに、料理をしてしまうというところ。冒頭で話しましたが、私は進捗がヤバいのに急に衣替えを始めたりするタイプなので、この二人にはとても共感できるのです。
進捗がニャオスなのがスタンダードな私たち(漫画の登場人物に仲間意識を持っています)。しかし、毎回、偉い人に電話越しに怒られるのは、精神的によくありません。それに進捗が遅れたくらいで人に頭を下げたくありません。なので、己の培って来た技術を全駆使して、自分の代わりに謝ってくれるロボットを作ります。
『自分の代わりに謝ってくれるロボット』を作る
電話越しに自分の代わりに進捗が遅れている旨を謝罪し、同時に先方のご機嫌を取るロボットを考えました。
「ロボットを作ります」などど、しゃしゃったことを言いましたが、そんな技術など私にないので、既製品に頼らせていただきます。既製品はすごいぞ。
こちらは、ビーボくんというポジティブな感情しか持っていないオモチャのロボット。「虹の色、ぜーんぶ好き!」など、私のボキャブラリーからは生み出せない言葉を喋ったりします。
様々な機能が付いているのですが、右下にあるボタンで録音モードになります。録音された言葉をビーボくんが勝手にリミックスしてくれ、軽快に再生してくれるモードです。
もうこれで謝罪の言葉を録音して電話越しに再生させればいいじゃんって思ったのですが、少し改造していきます。
さてと……。
ふう……。
よし……と。
ビーボくんのネジというネジを抜かせていただきました。ビーボくんは、こんなことされるために生まれたわけではないので、マネしないでね。感電などの危険性もあるので、「ビーボくんを解体したいんや!」という人がいましたら、自己責任でお願いいたします。
スピーカーと繋がっているケーブルにイヤホンジャックとスイッチを女のカンで繋げました。通常時はイヤホンジャックから音が流れ、スイッチを押すとスピーカーから音が流れます。
なぜこの改造をしたかと言うと、電話が来た時にスマホをビーボくんの前に置いたときだけ、喋って欲しかったからです。スマホスタンドの下にスイッチを置くことで、それが実現できるだろうという考えからです。自分でも何を言っているかイマイチ理解していないので大丈夫です。
ビーボくんの顔を自分にして、より謝罪感をだそう!
内部の改造は出来ました。次は、ビーボくんの顔を自分の顔にしていきます。なぜなら、自分の顔にしたほうが自分があやまっている感じが出て、徳が高まると思ったから……。
3Dスキャンされた自分の顔のデータを編集していきます。自分の顔を編集するのがなかなか難しく、結果的に人に頼りました。持つべきものは、CADソフトが使える知り合いです。そして、作ったデータを3Dプリンターで出力します。
今回は、3Dayプリンターというサービスを使わせていただきました。
▲偉そうにしている3Dayプリンターの人たちと、心配になるオフィス。
『3Dayプリンター』は、なんと、データを入稿して3日でプリントしてくれるサービスなのです。ちょっぱやすぎる。きっと違法な何かを使っているに違いないと思ったのですが、ちゃんと合法だそうです。よかった。自分の顔をプリントしたいときは、ぜひこのサービスを使おう。
データを送って、プリントされたものを受け取りました。梱包材から薄く見える色が不気味だ。
完成!
完成しました。 こちらが、『自分の代わりに謝ってくれるロボット』です。
こちらが、3Dプリントした自分の顔です。カタツムリのうんこみたい。
このロボットの仕組みは簡単。足のマイクのボタンを押して、お腹が赤になっている時に謝りの言葉を入れ、スマホスタンドに通話中のスマホを置くだけ。それでは、やってみましょう。
さっそく、すっ飛ばしている案件の担当者から電話がきました。相当怒っていると思います。怒っている人と話したくないな。電話に出たくないし、怒りもおさめたい……。
ボタンを押して謝罪を録音します。「進捗遅れてすみません」。
あとは、スタンドにスマホを置くだけで勝手にロボット藤原が謝罪し、同時に相手のご機嫌も取ってくれます。それでは……。
「ししし、進捗遅れてすみません」「おくおくおく進捗おくれてすすすすみません」
新木場でかかるEDMのような曲と共に「進捗遅れてすみません」がリミックスされて、再生されます。これは、どんなに深刻な状況でも、思わずノリノリになってしまうほどにポップです。
「しんしんしん進捗おおおお遅れてすみませせせん」
「おおおおくれてすみません」
「……」
こちらが、フル動画になります。精神が不安定になるので、健康な人のみ見てください。なんだか、自分の顔なのにずっと見ていたら気持ち悪くなってきました。リンチの映画を1本見た後の気分に近いです。少し横になります。
おわりに
これで、ストレスなく進捗が遅れている連絡ができるようになりました。私たちビジネスパーソンにとって必須アイテムとなることでしょう。受託で作りますので、お気軽にご相談ください。15万円~応相談。
結局、どれだけ現実逃避しても、締め切りはやってきてしまいます。もう、この世は終わりだ
この記事を書いた人:藤原 麻里菜
2013年から、YouTubeチャンネル『無駄づくり』を開始
現在、チャンネル登録者数は5万人を超え、総再生回数は1000万回以上になり、テレビを始めとする様々なメディアに取り上げれている。
2016年には、Google社が主催しているYouTubeNextUpに入賞。また、アドテック東京2016にスピーカーとして登壇した。
でも、ガールズバーの面接に行ったら「帰れ」と言われた。