【担当とわたし】「わたし、いい人やめました」カマンベール☆はる坊×担当編集対談

コミックDAYSで大人気連載中のエッセイ漫画『わたし、いい人やめました』を描く、カマンベール☆坊先生と担当編集・スケムネが対談! 会社員と漫画家を掛け持つ先生のデビューから連載までの秘話、さらにコミックDAYS&DAYS NEOについて語ります!!

【担当とわたし】「わたし、いい人やめました」カマンベール☆はる坊×担当編集対談

コミックDAYSで大人気連載中のエッセイ漫画『わたし、いい人やめました』を描く、カマンベール☆はる坊先生と担当編集・スケムネが対談! 会社員と漫画家を掛け持つ先生のデビューから連載までの秘話、さらにコミックDAYS&DAYS NEOについて語ります!!

…カマンベール☆はる坊。
「わたし、いい人やめました」作者。
「わたし、いい人やめました」1話はコチラから!
…Kiss編集・スケムネ。
カマンベール☆はる坊担当編集。
スケムネ編集の詳しいプロフィールはDAYS NEOに掲載! 

カマンベール「描いたことがない時は、教本の選び方もわからないんです」

——まず先生のことをお伺いできればと思いますが…漫画を描き始めたのはいつですか?

カマンベール:ノートの端に落書きするとかなら以前からやっていたんですけど、2013年にメディアファクトリーの第24回コミックエッセイプチ大賞に応募したのが、初めてちゃんと描いた作品です。それで受賞させていただいて、2014年にデビューしました。…ちょうどその回がなぜか応募数が少なくて、その次の回は応募数が2倍だったんですよ!(笑)
スケムネ:ラッキーでしたね!
カマンベール:穴場の回でした(笑)。その時の投稿作『まだモテてないだけ。』は、漫画を描いたことがない人が描いた漫画だから、ネームをそのまま送ったみたいな感じでした。

——当時、漫画の描き方で何かお手本にされたものはありますか?

カマンベール:同じ出版社で書かれている方の作品とか…。東村アキコ先生の『かくかくしかじか』も、「こう描くんだ」って思いながらよく読んでました(笑)。一応ハウツー本も1冊買いましたが、あんまり参考にならなかったです。1度描いてみてから教本を探すと「これいいじゃん!」ってわかるんですけど、その時は描いたことがないから、教本の選び方も分からなかったんですよ。
スケムネ:初めの頃は、何が分からないかもよく分からないですよね。

——そのコミックスを出した後は、担当さんと何かやりとりしました?

カマンベール:1個描きたいネタがあったんですけど、重たいテーマだったので自分の中で整理しきれなくて。しばらく連絡できなかった頃に、たまたまデビュー作を読んでくれた読者さんから連絡が来たんです。コミックスの中で“男運悪い女はメイクが変だ”と描いていたのを読んで、「正しいメイクのやり方を知りたい」と。それで、メイクのハウツーみたいなのをTwitterで描き始めたんです。そのまましばらくWebサイトでメイクのイラストコラムの連載を始めてページがたまってきて。「本にしたいな」「じゃあコミティア(同人誌即売会)の出張編集部に行ってみようかな」と思い立ち…。



↑『まだモテてないだけ。』読者の要望から、Twitterでメイク漫画をあげるようになる。ディフォルメの強い絵、写実的な絵と様々な画風があった。

 

スケムネ:そこで私と会ったんですよね。
カマンベール:最初、実話系雑誌の編集部に持って行ったら、「女性誌に持って行った方がいいよ」って言われたんです。それで、終了時間ギリギリだったんですけど、急いで「Kiss」のブースに行ったらスケムネさんに出会いました。「私が見ますよ」って言ってくれて。
スケムネ:もう撤収時間で、ガシャガシャ片付けてたくらいの時間でしたね。「あ、人来た」…みたいな(笑)。
カマンベール:で、見せたらスケムネさんが「私あなたのこと知ってます」って言ってくれて。
スケムネ:カマンベール先生のメイクものは最初、Twitterで知ったんです。私がフォローしている誰かがRTか「いいね」をして、Twitterのタイムラインに出てた。それで、「この人単行本出てるんだ」って思って買って読んだんです。だからコミティアの時は“知ってる人が来た!”みたいな感じで(笑)。でも私「絵がちょっとネックかも…」みたいな文句をいきなり言いましたよね。カマンベール先生、内容は面白いけど画風が色々あったから、「この人の漫画はこの絵」って認識してもらえるようにしたほうがいいんじゃないかと思って。
カマンベール:私、別に絵にこだわりがあって描いていたわけじゃなくて、描ける絵を描いていただけだったんですよね。

カマンベール「みんなが読みたいのは“情報”で、私の“作品”じゃなかった」

スケムネ:それで、「全体的に雑さも目立つから、女性誌でエッセイを描くんだったら、もう少し絵柄をなんらかの形に統合していった方がいいと思う」っていきなり言って。「それができそうならメールください」みたいな感じで名刺を渡したんでしたよね。
カマンベール:そうです。「変えてくれ」って言われて、「やります。直します」って言って……2、3か月放置しちゃったんですよ(笑)。
スケムネ:「連絡来ないけど忙しいのかな…来ないなら仕方ないけど…」って思ってました(笑)。
カマンベール:それもあるんですけど、持ち込んだ時にスケムネさんに「メイクの漫画がやりたいんですよね?」って言われてドキッとしてしまって、考え込んでたんです。
スケムネ:持ち込みの時、「この企画を本にできませんか?」って言っていたから、このテーマ“が”やりたいのかなと私は思っていて。
カマンベール:ちょうどその頃、ネットで公開していたメイクのイラストコラムの無断転載がひどかったんです。転載先の方が人気が出ていたりするのを見て、虚しくなってて。「みんなが読みたいのは私の作品じゃなくて、私の出す情報だけなんだ」って思い始めていた時期でした。そこにスケムネさんの言葉が重なって、あらためてちゃんと考えてみたら「メイクコラムやマンガはたまったから本にしたかっただけかも。もっとちゃんと漫画を描きたいな」って思ったんです。
スケムネ:(笑)。
カマンベール:とは言え、とにかくスケムネさんがせっかく声をかけてくれたからと思って、2、3か月後に絵柄を直して持っていったら、それよりも「Twitterに挙げている愚痴みたいなのを描いてみない?」って言ってくれて。
スケムネ:連絡来ない間にも、たまにカマンベール先生のTwitterを見ていて。愚痴っぽい投稿が面白いなって思っていたら、ちょうど連絡がきたから(笑)。SNSで「こういうのひどいと思いませんか?」とか、「こういうこと辛かった」みたいな投稿ってすごくバズりやすいじゃないですか。それって今の時代みんな共感できるものが読みたいという欲がすごくあるから、共感で人とつながりたいと思う気持ちが強いからだと思っていて。だから、“愚痴”をテーマにするのがいいんじゃないかと思って。
カマンベール:私もそっちの方が描きたいなって思っていたので、嬉しいです。
スケムネ:メイクのテクって、その人なりのテクへの思想が強くないと単純なお役立ち情報になっちゃう可能性があるけれど、この企画だったら1コマ目からカマンベール先生の“論理”になるからね。愚痴に至るまでの経緯に意味があるから、それは単なる情報とは違って“誰が描いてもいい”ものじゃない。「カマンベール☆はる坊」っていう作家が描いたから意味がある、っていう感じになれれば、作家さんにとってもいいことかなと思った…っていうのが、自然と本人の意思と合致してよかったです(笑)。
カマンベール:でもその後、愚痴っぽい作品のアイディアを何個か見せてくださいって言われて、また2、3か月空けてしまいました…(笑)。
スケムネ:そうだったね。個人的には「専業漫画家だけど引っ込み思案」とか、「企画がうまくできていないから連絡できない」みたいな感じだったら連絡するけど、カマンベール先生は仕事も結構忙しい人だったから…。仕事をしながら漫画も描くって結構大変だし、連絡してきてくれた時のやる気の強さを見てから組んだ方がいいかなと思っていました。
カマンベール:愚痴ってテーマがファジーなので、一発目ほっといてくれたのは助かりました…!「なぜあの人はこう言ったんだろう」とか、「どっちが正しいんだろう」とか、自分の中でも整理してから描きたかったので。自分なりに推敲して、まわりの人もそれを読んで楽しめそうってものが1個固まって、やっと方向性が見えてきたんです。
スケムネ:そういえばその時、スーパー銭湯に行って楽しいみたいな作品のアイディアも持ってきてくれたよね?(笑)
カマンベール:愚痴ばっかりだと暗いかな…って思って(笑)。だからちょっと軽いやつも一緒に出したら「つまんねー」ってバッサリ(笑)。それで私も「やばい! 本気で描かないと!!」って思った。その後は崖の端に立たされたみたいな気持ちで、本気で描いたのがよかったんじゃないですかね(笑)。スケムネさんは言い方がきついわけじゃないけど、言葉少なく的確なアドバイスを言ってくれるので。
スケムネ:テヘッ(笑)。でもカマンベール先生がただ連絡がなかったわけじゃなくて、作品に対してかなり推敲するタイプだっていうのは、打ち合わせをしていく中で私もだんだんわかってきた。打ち合わせの時に、ノートに“嫌なこと”と、“そこから導き出した結論”みたいなのが、すごくごちゃごちゃ書いてあったり…。嫌なことが起こっても、まず自分の中で論理立てて、「あの出来事の何が嫌で、それって結局こういうことだ」ってところまでいかないとネームができないんですよね。

担当「同じものを見たときにどう思うかで、相手を知れる」

スケムネ:『わたし、いい人やめました』は嫌なことを放出するだけの漫画じゃないから、先生が自分の中でねりねりし終わるまでは私は口を出さないで、ねりねりしきった後に話せる相手になった方がいいなと思った。…でも今の距離感になれたのは、私たち、年代が同じってこともあるけど、3代目J Soul Brothersがきっかけでしたよね(笑)。
カマンベール:コンサート、一緒に行きましたね!(笑)
スケムネ:楽しかった!(笑)あれでカマンベール先生とグッと急に仲良くなれた気がします。
カマンベール:ありがとうございます! 私、最初にしゃべった感じで「ダメだな」って思うと人見知りをして、何枚もある心のシャッターがババババババーッと閉じていくんですよ(笑)。でもスケムネさんは大丈夫でした。ライブ、急に誘ったのに来てくれたし!(笑)
スケムネ:「LDHの演出ってこうだよね」「とにかく臣が信じられんくらいかっこいい」とか、ものを見たときにどう思うかで相手をもっと知れたよね。
カマンベール:「あれはよかったですね!」って(笑)。
スケムネ:「こういうところに面白みを感じるんだ」とか。私、男性漫画の編集部は行ったことないのでわからないですけど、女子はビジネス関係だったとしても、同じ趣味で担当と仲良くなるっていうのは結構あると思います。共通の趣味がなくても漫画家さんとはちゃんと繋がらなきゃですけど、カマンベール先生とは楽だった。
カマンベール:趣味が近かったですよね。あんまりビジネスライクすぎても辛いですし、担当さんには、「私これが好きだ」っていうのを出していくのが大事かもしれないですね。

——コミックDAYSの連載作『わたし、いい人やめました』ですが、実際に描く時はどんな流れで…?

カマンベール:まず、「こういうネタとこういうネタを考えています」って電話やLINEで送って見てもらうんですよね。私はネームがほとんどそのまま下書きになるので、ちびネームを切ってからネームを切るタイプです。GOをもらったら一気にペン入れですね。

——スケムネさんはカマンベール先生の作品をどのようにチェックするんでしょうか。

スケムネ:作品のチェックで一番見るのは、「ネタをネームに起こしたときにいい流れになっているかどうか」です。ネタ出しの時に先生の中で考えてたどり着いた結論と、それをネームに起こす時のうまい順序っていうのはまた違うんですよ。それは私にとっても勉強になりました…。論旨がまとまっていてもどの順番、どんな例えにすれば伝わりやすいのかって内容によって違うんですよね。私が結論をいじることはないですが、話の順番とか、余分な内容を入れすぎているとか、そこだけアドバイスしようと思ってます。
カマンベール:私、デビュー作もそうなんですけど、全てにおいて内容を詰め込みすぎるんですよ。だからいらないやつを編集さんにカットしてもらうことをすごく期待していて。スケムネさんは「こう順序立てた方がいい」とか、「このエピソード短めに」みたいな指示をしてくれるので助かっています。
スケムネ:緑ペンで「ここいらない」「被ってる」とか書いてLINEで送ってね。…ちなみに、ネームの時は“削る”作業ですけど、打ち合わせの時にはどうでもいい話をするのがけっこう大事かなと思ってます。
カマンベール:家族のこととか、いろいろと話しますよね。
スケムネ:そうするともっとお互いが知れる。話すと相手が考えていることがわかってくるから、話の整理がやりやすくなる。…もらったネタが「これ、私は全然腹立たないな」って内容な時もあるじゃないですか。でも作家さん自身のことを知っていると、「でもこの人はこういうところに怒りを感じている人なんだよな」とか、「昔こういうことが嫌だったって言ってたよな」とか、“私の歴史にはないけど、カマンベール先生の歴史にはある”ことが思い出せる。それを意識すると、「ここのネームは必要」とかが分かってくるんです。だからたまには3代目J Soul Brothersの話をしたり、どうでもいいLINEをしたりするのも大事(笑)。
カマンベール:そう。スケムネアイコンを勝手に作って送ったりして(笑)。
スケムネ:似てるよね(笑)。エッセイ作家さんだから特に人となりを知っておきたいっていう気持ちがあるかもしれないです。



↑先生自作のスケムネアイコン。自主的に(!)様々なアイコンをスケムネさんに送り、「進捗を聞いて欲しい時」や「応援して欲しい時」にLINEスタンプのように押してもらっている。

 

カマンベール「“頑張ったら見返りがある”という方がいいなって」

——コミックDAYSでの連載はスムーズに決まったんでしょうか?

カマンベール:元々どこでやるかは決まっておらず、「枠が空いたら」と言われていたんですよね。
スケムネ:最初の頃は連絡が途絶えたりしたから、枠をすぐ用意するのは難しくて。企画ができて編集部でも通った時に適切な枠を探しますって話していたんですが、ちょうどコミックDAYSがはじまると聞き「この作品はたぶんネットでバズる、で、バズることで読み手との相互関係ができればそれ踏まえながらつくるほうが絶対いい!」って思って。「コミックDAYSでやってもいいすか?」みたいな感じで、あんまり選択肢を与えなく聞きましたね(笑)
カマンベール:与えていなかったです。本当は私、紙でやりたかったですよ!(笑)
スケムネ:「コミックDAYSがいいよ!」みたいな(笑)。でも、思った通りバズったね。
カマンベール:やったね!
スケムネ:ネットでマンガやイラストを無料で上げている人を否定する気は全くないんですけど、「プロの漫画家として飯を食っていきたい」っていう気持ちがある作家さんなら、無料でバズるよりも商業なサイトでバズった方が作家さんの収益になるので。
カマンベール:私も会社員やっているっていうのもあって、「この費用対効果に対してこんだけしかもらえないんだ」って思うとやる気を失くすタイプだから。“原稿料ちゃんともらえる”とか、“頑張ったら見返りがある”方がいいなと思って、そこは商業がよかったかなと思います。

——ゆくゆく“漫画を専業にしたい”というお気持ちはありますか?

カマンベール:あんまりないですね。私、デビュー作の時に2〜3週間家にこもって1人で書いたんですが、それが結構耐えられなくて。「漫画専業は精神的に無理だな」って思っちゃったんです。ちゃんと定時に会社に行って、同僚とどうでもいい話をして…っていうのが好きなんですよ。あと、会社の“やらされ仕事”って、私には創作よりも楽で。仕事をやりながら漫画のことを考えたりできるから、その形の方が精神的には楽だなと。「適度に漫画もありお仕事もあり」というのがやりやすい。だからできれば月算20P以下にしたいと思っています。
スケムネ:それ、編集としては、最初聞いたときに、もっと貪欲になれよって一瞬思いましたよ(笑)。もちろん、“専業になれ”という意味じゃないですけど。でも一緒にやっていくにつれ、「この人、起きたことを論理的に分析して、他者ともビジネス面含めいっぱいぶつかってる。あと、自分の生活のマネージメントにも結構こだわってる。それって会社員生活と密接に関係あるかも」と思えてきて。専業の漫画家さんとはものの考え方が違うからこそ、この作品が描けるんだと分かったので、今は納得してます。
カマンベール:ありがとうございます。
スケムネ:でも、人気もあるし、コミックDAYSでもっと描いてくれてもいいんだよ?(笑)とはいえ、この作品を読んでくれている読者さんたち自体、漫画を読んだり描いたりばっかりをしている人生じゃないもんね。働いていたり、家族がいたり、その中で面倒なこともあったり…。それに対してカマンベール先生自身も、「働いて家に帰ったら夫と喧嘩して、その中でちょっと自分のやりたいこともやって」…みたいなバランスの人で。だからこそ、作品が「わかる!」って言ってもらえてるのかなって。こういう漫画を描く作家さんは、普通を生きているってことが大切なんですね。

——ちなみにカマンベール先生は、どんな“編集さん”が編集者として良いと思いますか?

カマンベール:いろんな視点を持っていて、あまりエゴがない人がいいかな。1個の漫画を完成させるにあたって、“組織的に見て・作品として・漫画家がそれを描いて暮らしていくとして・読み手として”どうなのか?と様々な視点から複合的に考えを述べてくれる人がいいなと思います。
スケムネ:俺節で話すなってことでしょう?
カマンベール:そう。あんまり俺節で話されると、「これ一応、私が描いているんです…」みたいに思ってしまうかも(笑)。

——スケムネさんは、さっき話されていた以外に、漫画家さんに求めることはありますか?

スケムネ:“こういう人がいい”っていうのはないですね。カマンベール先生みたいに社会性があって論理的に考えたりする人もいれば、全くそういうことを考えていない人もいる。何にせよ忖度するのは編集者の役割ですから、とにかくどんなスタイルでも漫画を描くことに一生懸命になっている方なら私も忖度している意味があるなと思えますよね。私も人間だから、「この人のここのために今忖度している」って思えると、相互的にいい関係が築けると思います。逆にいいものを描ける人でさえあれば、私のことを嫌いでも構いません。…まあ、それとは別に、楽しく仲良くやっていると仕事も楽しいなっていうのはありますし、話もワクワクして聞けますけどね。
カマンベール:そうですよね。私も、仕事をしながら休みを削ってわざわざ漫画を描いているんで、楽しくないと、「何をやっているんだろう」…って思ったりもします(笑)。楽しいのが一番ですね。
スケムネ:もちろん私たちだけが楽しくても意味はない読み手に評価されながら「楽しい」って思いも共有できると、なおよいと思います。
カマンベール:読んでいる方も楽しめて、自分たちも楽しめるのがいいですね!

カマンベール「雑誌は、自分が思ってもいなかった漫画に出会える場」

——最後に、今連載している「コミックDAYS」と「DAYS NEO」について、ユーザー視点で感想をお聞かせください。

カマンベール:私、中高生の時は恥ずかしながら、本屋さんでよく立ち読みをしていたんですけど…(笑)。でも今本屋さんでは漫画雑誌にビニールがかかっているし、なかなかまとまった時間もない。ってなると、講談社限定ですけどアプリやブラウザで雑誌がたくさん読める「コミックDAYS」は便利ですよね。やっぱり雑誌の良さって、“自分が思ってもいなかった漫画に偶発的に出会える”っていうところなので。月々720円で何誌も読めちゃうっていうのはいい!
スケムネ:すごい社会性があるコメントだ(笑)。ありがとうございます!
カマンベール:そうでしょ(笑)。
スケムネ:因みに「DAYS NEO」については、先輩漫画家としては「頑張れ!」という気持ち?
カマンベール:いや、漫画家になりたい人がこんなにいっぱいいるんだって思うと、プレッシャーで吐きそうになりますね(笑)
スケムネ:自分も漫画家だからこそ、後ろからこんなに大勢漫画家志望が迫ってきてる…と?(笑)
カマンベール:ただ、私自身もコミティアの時に、「女性誌に行った方がいいよ」って言ってくれた人がいなかったら持ち込んでいなかったので。そういう意味では、1つの媒体に出せば女性誌なり男性誌なり、いろんな編集さんが見てくれるのはありがたいですよね。そもそも希望の雑誌に持ち込んでも、相性のいい編集さんじゃない可能性もあるわけですから。
スケムネ:それは作家さんにとっては、酷なことですよね。
カマンベール:相性がいい編集さんに当たるかどうかは、本当に確率なので。その確率を上げられるってだけでも、無駄はかなり省けるんじゃないかなと思います。私もたまたまスケムネさんでしたけど、別の人だったら全然別だっただろうな。「ペッ!」ってやられていたかも(笑)。
スケムネ:相性のいい編集を獲得するまでの確率の低さが、投稿者に対してすごく低かったですよね。何か所も編集部を回らないとならなかったり。
カマンベール:あと、たくさんの人に見てもらえると、誰か一人にぺしゃんこに言われても、無駄に傷つかなくて済みますよね。「あなたにはつまんなくても、この人にとってはおもしろかった」みたいなこともあると思うので。

——ありがとうございました。最後の最後に、読者に一言ありましたら。

カマンベール:「あの時怒れなかったけど嫌だった」という話は、当初友達に「あの時なんで私は怒らなかったんだろう」って話したことだったんです。そしたらその子が、「わかる!」って言ってくれて、それだけで救われました。もし同じように困っている人がいたら、心に届くといいなと思っています。