画業50年! シリーズ25年!! 『ハッピー! ハッピー♪』完結記念 波間信子先生スペシャルインタビュー

1970年に漫画家デビューした波間信子先生は、1995年から『ハッピー!』の連載をスタート。25年間のご愛読に感謝して、日本一読まれている盲導犬漫画となった『ハッピー!』と『ハッピー! ハッピー♪』の思い出を振り返っていただきました。

f:id:comicdays_team:20201218214707j:plain

1970年に漫画家デビューした波間信子先生は、1995年から『ハッピー!』の連載をスタート。25年間のご愛読に感謝して、日本一読まれている盲導犬漫画となった『ハッピー!』と『ハッピー! ハッピー♪』の思い出を振り返っていただきました。

※このインタビューはBE・LOVE2021年1月号に掲載されたものです。  

あっという間の25年

――最終回を迎えて、いまの気持ちを教えてください。

先生:こんなに長く描けるとは思っていなかったので、あっという間の25年でした。漫画家になって50年経ちますが、前半の25年は長い連載が描けず、苦労していました。後半の25年は最高でしたよ。

――『ハッピー!』を描くことになったきっかけは?

先生:BE・LOVE編集部から「盲導犬の生涯を描きませんか」と声をかけられたのがきっかけです。当初は5話完結の予定でした。大の犬好きだった当時の編集長・編集者からの「うちの犬はここがかわいいんだ!」という指導がすごかったのを覚えています(笑)。「ペットも大事な家族の一員」という感覚が広く浸透していった時期だったんだと思いますね。

――先生は、もともと犬好きだったんですか?

先生:長野の出身で、小さい頃から野生児として、自然に囲まれ、生き物と触れ合って育ってきました。犬や猫やウサギも飼ったことがあります。かしこい動物って、言葉が通じるんですよね。中学生のときに飼っていたジョンという犬は、学校までついてきて、校門で「帰りな」と言うとおとなしく帰っていくんですよ。柴犬を室内飼いしたこともあったので、家の中で犬がどう過ごすかという様子も違和感なくとらえられました。漏らしたりしないし、「お風呂だよ」って言えば逃げていくし、ふとんで一緒に寝たり……犬と過ごしてきた思い出がなければ描けなかったと思います。

――『ハッピー!』がスタートした頃と時期を同じくして、先生も犬を飼い始めたそうですね。

先生:資料が欲しかったというわけではないのですが、盲導犬の取材に子供を連れていったら犬を飼いたがるようになって、保護犬を引き取りました。茶色い雑種の「さくら」という子です。作中に登場する「ラン」のモデルにもなりました。さくらが1歳のときに交通事故に遭ってしまって。獣医さんには安楽死を勧められましたが、娘が「車いすになっても私が世話をするから助けたい」と必死に頼んだんです。徐々に回復していって、14歳まで生きました。犬のしぐさや表情、4本の脚をどう曲げて寝ているのか? など、さくらには本当に助けられました。漫画の内容も話しかけて相談していたんですよ(笑)。獣医さんに「朝から晩まで飼い主に話しかけられてハゲちゃった犬がいる」と聞いてからは、少し控えるようにしました。

▲左の犬がランです

ふたつの決まり

――盲導犬の取材はどうでしたか?

先生:盲導犬の育成をしている協会をたずねて、アイマスクをつけて盲導犬と一緒に歩くという体験をさせてもらいました。視覚障害を扱ううえでデリケートな部分もあると思い、訓練士さんに「描いちゃダメなことってありますか」と質問したら、首をかしげて「なんでもありですよ?」とおっしゃったのが印象的でした。その言葉に救われて、制約なく描けたなと思います。盲導犬のことをまったく知らなかったからこそ、調べていくたびに私自身が感動して、ますます興味を持てたから描き続けられました。

――読者の方からの反響はいかがでしたか?

先生:あるとき、小学生の男の子から届いたファンレターに「これは僕の家のことだと思いました。うちのお母さんは香織さんと同じです」と書いてあって。男の子のお母さんに電話すると、とても気さくな方ですぐに親しくなりました。本には載っていないような、視覚障害に関するささいな疑問にも答えてもらいました。

――『ハッピー!』を描くうえで気をつけていたことはありますか?

先生:ふたつ決めていたことがあって、ひとつは1話完結にして、ハッピーエンドにするということ。毎回読んで気持ちよくなってほしいので。もうひとつは、香織の目は見えるようにはしないということです。いくら本を読んでも、生まれつき目の見えない方の感覚を完全に理解するのはなかなか難しいでしょう。香織はスキーの事故で失明したので、私たちにとっても起こらないことではありません。想像できると思ったから後天的な失明ということにしました。

――最終回では、香織の両親がパピーウォーカーになりました。

先生:いろいろな展開も考えたのですが、初心に返って犬との出会いを描こうと思いました。コロナ禍の影響も大きかったと思います。終わりよければすべてよしと言いますが、こうして完結を迎えられてよかったです。

――最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いいたします!

先生:盲導犬という与えられたお題に対して、物語のなかで答えを見つけたいと思って描いてきました。 そんなとき、読んだ方が「いい!」と言ってくれたところを支えにして、描き続けることができました。 関わってくれたすべての人、読んでくれたすべての方に感謝します。

 

『ハッピー! ハッピー♪』完結を記念して、『ハッピー!』と『ハッピー! ハッピー♪』を期間限定で無料公開中です!

3巻無料!!&全話チケット化(~6/30)

 

3巻無料!!(~6/30)

↓チケットで漫画が読めるアプリはこちらからDL!↓