『バトルスタディーズ』単行本28巻発売記念! なきぼくろ ×『海月姫』東村アキコ、異色の漫画家・師弟対談!

2019年4月から連載が始まった『娘の友達』。サラリーマンの主人公・晃介と、娘の友達・古都の“禁断の関係”を描き、大きな反響を呼んだ本作もいよいよ最終回! 今回は連載終了スペシャル対談として、『娘の友達』の誕生から打ち合わせの内容まで、萩原あさ美先生と担当編集・小見山さんにたっぷり語っていただきます!

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デビュー以来、なきぼくろが「師」と仰ぐ東村アキコ氏。「最上級の男」と惜しみない賛辞を贈るベテラン作家は、漫画界に突如現れた若者に何を見出したのか? 絶妙な距離感の二人が織り成す師弟放談をご覧あれ!

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……なきぼくろ 『バトルスタディーズ』の作者
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……東村アキコ 代表作『海月姫』の作者
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弟子の第一印象は「尖ったナイフ」!?

なきぼくろ氏(以下、な):僕は東村さんを漫画の師匠やと思っているので、今日はめっちゃ緊張してます(笑)。
東村アキコ氏(以下、東):なきぼくろ君が応募した「モーニング」の新人賞の審査員を私がやったんだよね。
な:2013年頃ですね。
東:そのときの第一印象が「尖ったナイフ」(笑)。
な:な、なんですか、それ!?
東:威圧的な怖さはないんだけど、修羅場をくぐり抜けてきたような雰囲気。漫画業界の空気がまったく読めてない、ちょっと異質な子が来たな、という印象があったの。応募作の『どるらんせ』もなんかね、あんまり漫画の体を成してなかった。
な:そんなんでしたか(笑)。
東:いわゆる「漫画のセオリー」みたいなのは全部無視してたじゃない。特定のパターンにハマったストーリーじゃないし、でも味のあるイイ絵だったから、タダ者じゃない感じはすごく漂っていたんだよ。そうしたら最終選考の会議のときに「この作者、PLで甲子園に出てるんですよ」と聞かされたから、私は「絶対にデビューさせたほうがいい!」って言ったのね。
な:なんでそう思ったんですか?
東:ここでデビューさせなかったらヨソに取られちゃうし、そこで甲子園漫画を描かれた日にゃあ目も当てられないよ。
な:なるほど(笑)。
東:ただ、ずっと野球をやってきた子なのに、応募作は野球漫画じゃないから、もしかしたら野球が嫌いになってこっち(漫画)の世界に来たのかもしれない。でも「モーニング」でデビューさせておけば、いつかウチで甲子園の漫画を描いてくれるかもしれないじゃん! って言ったんだよね。
な:そんな経緯が…。
東:それとね、「モーニング」の編集部は野球好きが多いのよ。野球ファンからしたら「PLで甲子園に出た人」なんて、もう別格の存在。空想上の生き物を見るような感覚だから、彼らにとってなきぼくろ君は妖精と一緒なのよ。
な:え、妖精…?
東:授賞式の日になきぼくろ君に会った編集者が「めっちゃカッコいいんですよ…!」とか言って、顔がポーッとしてんの(笑)。

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師匠に呼び出されて忘年会にダッシュ。その真意とは?

な:僕は本当に漫画のことは何もわからん状態で入ってきたんです。それで野球にしてもギターにしても、何かを始めるときには上手い人に聞きたいタイプで、漫画に関しては東村さんでしたね。東村さんが連載予備軍みたいな連中を集めたクロッキー教室を開いてくれて、そこで「漫画を速く描く技術」を学ばせてもらいました。
東:でも技術だけじゃダメなのよ。漫画の連載って、個人の力量だけじゃなくて、アシスタントの力も絶対に必要だから。漫画家同士でのアシスタントの“貸し借り”はすごく重要で、ある意味では漫画業界は互助会のようなところがある。漫画家同士の繋がりはすごく大事。そういった業界の慣習を知らなかったでしょ?
な:全然知りませんでした。
東:まだそんな状態なのに「連載決まりました」と聞かされたから、「大丈夫?」って勝手にハラハラしてたのよ。でも「モーニング」の編集者たちは「PL出身者の成長力はハンパないので問題ないです!」とか、根拠のないドリームに包まれてんの(笑)。
な:賢い人らが何言うてんねん(笑)。
東:それで、当時うちのアシスタントにアビディ(アビディ井上氏)がいて、彼がなきぼくろ君と仲良くなっていたから、アビディを通じて「週刊連載をやるにはアシスタントは何人必要だ」とか「アシスタント用の机は安くてもいいから4個は用意しとけ」とか、遠隔指示を出してた。
な:アビディから「東村さんはこう言うてます」って、よく連絡もらいました(笑)。それで『バトルスタディーズ』の連載は2015年1月から始まるんですけど、その前年の講談社の忘年会に呼ばれたときに「僕はまだ何もやってませんから」とお断りしたんですよ。
東:漫画家同士が知り合う機会なんてそうそうないんだから、担当編集には「絶対に来させたほうがいい」と言っておいたのに当日いないから、「なんで呼んでねえんだよ!?」と。
な:その日、『コウノドリ』の鈴ノ木ユウさん(27巻対談参照)から電話がかかってきて「東村さんが『来い』って言ってるよ」と聞いて…そらもう、ふたつ返事で「ハイ!」って、ピンク色のジャケットを羽織って会場に向かいました(笑)。そしたら東村さんが、会場にいたすべての先生に「この子、今度デビューするんですよ」とか「PL出身なんですよ」とか、僕のことを紹介してくれたんです。そこまでしてくれる人、なかなかおりませんよ。そのとき「すみません、僕めっちゃがんばります」って思いましたもん。
東:そういえば、デッサンの講義もやったよね。
な:はい、場所は晴海の研修施設やったと思います。
東:ヌードを描かないと人体の構造が分からないからヌードモデルも用意して、若手の子をいっぱい集めて丸一日。
な:ビシバシ指導していただきました(笑)。
東:その後、築地のすしざんまいで打ち上げして、そこで若手の子たちとあらためて話したんだけど、なきぼくろ君だけやっぱり1人異彩を放っていた。ほとんどの子は「◯◯先生のところでアシスタントをしてます」とか、昔から漫画にどっぷり浸かっているオタクのような子が多いのに、なきぼくろ君にはそういったノリがまったく感じられなかった。
な:あの頃、東村さんにはそんなふうに見えていたんですね(笑)。

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「コミックDAYS」での異色の漫画家・師弟対談ではここまで!

気になる対談の続きは、激闘の甲子園準決勝・横羽間戦、劇的決着!

8月23日(月)発売の『バトルスタディーズ』28巻で読めます!

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さらに「親戚の集まりでハブにされた、いとこ同士」のような関係と語る、鈴ノ木ユウ氏との友情対談の模様は、こちらから読めますよ!

 


 

現在、様々なキャンペーン&イベントを実施中ですので、こちらもぜひチェックしてください!

 

★神田明神/若者たちの戯れ言(めいげん)~神田明神×バトルスタディーズ展

なきぼくろ氏描き下ろしの浮世絵風原画と、作品の名言が入った複製原画の展示を行います。

開催期間:8月7日(土)~8月29日(日)

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★枚方T-SITE『バトルスタディーズ』フェア

なきぼくろ氏の故郷・大阪は枚方の「枚方T-SITE(京阪電車「枚方市駅」南口より徒歩1分)」3階・枚方蔦屋書店にて、作者セレクトの甲子園準決勝・DL学園vs.横羽間戦の生原画展示&限定特典(描き下ろしイラストカード)配布を行います。

開催期間:8月9日(月・祝)~8月31日(火)AM7:00~PM8:00(枚方蔦屋書店の営業時間に準ずる)

詳しくはこちら!

 

★「コミックDAYS」バトルスタディーズ試し読みキャンペーン
夏休みの期間限定で5巻までお読みいただけます。

実施期間:8月31日(火)まで

comic-days.com