【担当とわたし】『ベストエイト』ヨンチャン×担当編集対談

「コミックDAYS」で大人気連載中のスポ根×ラブコメ『ベストエイト』を描く、ヨンチャン先生と担当編集・鍵田が対談! 運動大好きな筋肉マニアという超個性的な韓国出身のマンガ家・ヨンチャン先生。『ベストエイト』のコミックス第1巻も発売され、今ノリに乗っている大人気マンガ家が考えていることとは!? 先生がマンガ家を目指した原点から日本にきた理由、マンガ論などをたっぷり伺っていきます!

【担当とわたし】『ベストエイト』ヨンチャン×担当編集対談

「コミックDAYS」で大人気連載中のスポ根×ラブコメ『ベストエイト』を描く、ヨンチャン先生と担当編集・鍵田が対談!
運動大好きな筋肉マニアという超個性的な韓国出身のマンガ家・ヨンチャン先生。『ベストエイト』のコミックス第1巻も発売され、今ノリに乗っている大人気マンガ家が考えていることとは!? 先生がマンガ家を目指した原点から日本にきた理由、マンガ論などをたっぷり伺っていきます!

…ヨンチャン。
『ベストエイト』作者。
『ベストエイト』1話はコチラから!
…モーニング編集・鍵田。
ヨンチャン担当編集。
鍵田編集の詳しいプロフィールはDAYS NEOに掲載!

鍵田「これでも落ちてるんですか? この上腕二頭筋で!?」

――本日はよろしくお願いします。

鍵田:記念すべき初取材!
ヨンチャン:そうですよねぇ。緊張します‥‥!
鍵田:そうですよね‥‥とりあえず、ちょっと筋肉見せてもらってもいいですか?
ヨンチャン:え!? いきなりですか!? いやいやいや、本当にダメなんですよ‥‥。マンガ漬けで筋肉全部落ちてるし!
鍵田:これで落ちてるんですか? この上腕二頭筋で!? 力が入ってないのにパンパンですよ!

――たしかに‥‥すごい。パシャパシャパシャ(※思わずカメラで撮り始める)

ヨンチャン:撮らないで!(笑)
鍵田:ヨンチャンさんは、ボートを題材にした『ベストエイト』を連載することになって、実際にボートを始めましたよね。今では大会に参加するほどです。

――大会にまで!? なるほど‥‥この肉体美はそこから。パシャパシャ

ヨンチャン:もともと、僕は運動が大好きでジムにもよく行ってたんです。だからボートも楽しくて、マンガのネタにもなって一石二鳥かなって。でも今は前に比べると運動量が減ったから、めちゃめちゃ筋肉落ちてますよ‥‥。
鍵田:こだわりますね(笑)。
ヨンチャン:ちゃんと鍛えてる人が見たら「これ筋肉なの?」って言われちゃいますよ‥‥。
鍵田:じゃあジムとか、ボート乗ってる写真とかないですか? それなら筋肉もちゃんと写ってるでしょうし。
ヨンチャン:ジムで撮った写真はこんな感じで‥‥。ボートは今ガチでやってるから写真撮るヒマがなくて。
鍵田:次の大会の時に撮ってきてくださいね。
ヨンチャン:わかりました‥‥。今度の大会の時にちゃんと撮ってきます!

――ありがとうございます!

↑写真撮影のためにパンプアップ中のヨンチャンさん。結局、納得がいかなかったらしくポーズは撮らせてもらえなかった。

 

↑ジムで鍛えていた頃のヨンチャンさん。ストイックさがヒシヒシと伝わってくる。

 

↑ヨンチャンさんは市民団体に加入し、精力的にボート大会にも出場しているガチ勢。

 

↑ヨンチャンさんたちの練習風景。皆さん真剣だ。

 

ヨンチャン「マンガといえば日本が聖地」

――真面目な話に戻しましょう。まず、ヨンチャンさんのマンガ歴からお聞かせください。マンガを描き始めたのはいつ頃でしょうか?

ヨンチャン:もうそれは生まれた瞬間からずっと‥‥。
鍵田:それは嘘が過ぎるでしょう!(笑)
ヨンチャン:本当に覚えてるんですよ!(笑)  子供の頃から絵を描くのが大好きで、小学生の頃はいつも教科書の隅にパラパラマンガとか描いてました。
鍵田:当時は体鍛えたり、運動したりはしてなかったんですか?
ヨンチャン:運動も好きで、友達とサッカーはよくしてましたけど、とにかく学校がつまらなくて‥‥。帰宅したら、学校で描いたマンガをスケッチブックに清書したり、アイディアを練り直したり、そんなことの繰り返しでした。
鍵田:いつ頃からマンガ家になろうと思ったんですか?
ヨンチャン:マンガ家を真剣に目指し始めたのは中学生の時ですね。それで芸術高校に入ろうと思ったんですけど、そこの偏差値が高かったので中学時代は猛勉強しました。
鍵田:高校卒業後に日本に来たんですよね。母国の韓国を離れて日本の大学を選んだ理由は何ですか?
ヨンチャン:日本の大学を選んだ理由は「マンガといえば日本が聖地」って思ったからです。どうせ勉強するなら本場、聖地でやりたいじゃないですか!
鍵田:めちゃくちゃ真っすぐ‥‥! じゃあ、京都の大学を選んだのにも理由が?
ヨンチャン:僕が通ったのは京都精華大学のマンガ学部なんですけど。日本で初めてマンガ学部ができた大学なんですよ。だから、高校の先輩達が数多く進学していたり、講師に有名な先生がいたりしたので、この大学で勉強したいと思って決めました。
鍵田:言葉が通じないことに不安はなかったんですか? 
ヨンチャン:今はかなり喋れるようになりましたけど、こっちに来た当時は日本語がまったく喋れなかったので不安はありました。だけど、ワクワクする気持ちのほうが強かったですね。最初の1年はすべてが新鮮で楽しくて、毎日が冒険みたいでした!
鍵田:それを楽しめるメンタリティはすごいですね(笑)。大学でマンガの勉強って、どんなことを学ぶんですか?
ヨンチャン:マンガ家のアシスタントが学ぶようなことをやってました。最初の1年はつけペンの使い方やパースなどの基礎を学び、2年生からは本格的にマンガの描き方を教わりました。
鍵田:授業で印象に残ってることとか、今プラスになってると感じることはありますか?
ヨンチャン:「基礎はすごく大事」ということが心に残っていて、それが今も身になって活かされています。それと、大学でゼミの先生や先輩、友人たちからリアクションや意見をもらいながら描けた環境が今も大いに役立っていますね。

鍵田「印象通りのマンガを描くんだなって納得しました」

鍵田:デビューする前について聞かせてください。新人さんは投稿派と持ち込み派にわかれると思うんですが、どちらでした?
ヨンチャン:僕は持ち込み派でした。
鍵田:初めて持ち込みしたのっていつ頃ですか?
ヨンチャン:大学3年生の時ですね。あの時は8社くらい回りましたけど、鍵田さんに初めてお会いしたのもこの時ですよね。
鍵田:あの時って持ち込み初めてでしたっけ?
ヨンチャン:そうですよ。韓国には雑誌がなくてシステムがよくわかっていなかったので「好きな作品が載ってる雑誌のところに全部行こう」と思ってモーニングにも電話しました。
鍵田:‥‥思い出すので、ちょっと時間をください。
ヨンチャン:忘れたんですか!? 僕はあの時の鍵田さんの電話口での対応を鮮明に覚えてます。一言で言うと「雑」(笑)。でも実際に会ったら積極的で、回った出版社の中で一番僕のことを気に入ってくれたんです。このギャップが印象的で、鍵田さんとの初対面はすごくよく覚えてます!
鍵田:ヨンチャンさんと初めて会った時の印象は僕もよく覚えています。デカくて筋肉質な体格だったので面食らいましたから。あの時に持ち込んでたのが、サッカーと格闘技を混ぜたような競技の『ボフサッカー』って作品でしたよね。とにかく殴り合ってるマンガで、印象通りのマンガを描くんだなって納得しました(笑)。
ヨンチャン:ルールのないサッカーなんですよ!
鍵田:新人さんが持ち込まれる作品としては珍しいタイプだと思いました。内省的な部分や悩みのようなものが一切なくて(笑)。

↑ヨンチャンさん自身の魅力をそのまま形にしたような『ボフサッカー』。鍵田さんの心に強く響いた斬新な作品だったようだ。

 

鍵田:‥‥なので、その場で担当を希望させてもらいました。そうしたら、持ち込んだ『ボフサッカー』は「週刊少年サンデー」(小学館)の賞に投稿していて、しかも賞をとったことがわかって。
ヨンチャン:「サンデー」に投稿した理由は、賞の結果発表が最も早かったんです。でも、次の作品は鍵田さんと一緒に作りましたよね。「サンデー」で入賞したにも関わらず、ずっと打ち合わせしてくれましたし。それがあったので、次は講談社にしようと決めたんです。
鍵田:そうしてできたのが、モーニングの新人賞に出した『ヤフ島』でしたよね。
ヨンチャン:『ヤフ島』ですね。もともと小学1年生の時に思いついた作品で、それを手直ししたものです。実はシリーズものでパート6まであって‥‥。
鍵田:えっ、『ヤフ島』の続きの話ってそんなにあったんですか!? 
ヨンチャン:始まりの部分を再構築して描いたんですよ。
鍵田:重力が何倍かある無人島に調査団みたいなのが流れ着く場面から始まる話で‥‥。
ヨンチャン:重力100倍くらい(笑)。
鍵田:そこにずっと住んでいた男の子がめちゃくちゃ強靭な肉体を持ってたっていう、コミカルで楽しい雰囲気のアクション作品ですよね。あのアイディアってどこから出たんですか?
ヨンチャン:小学1年生のヨンチャンから出てきました。当時のヨンチャンが登校しながらずっとストーリーを考えて。頑張りました!!
鍵田:(笑)。スケッチブックにざっくり描いた『ヤフ島』を最初に見せてもらって、面白いと思ったので形にしてもらいました。それを新人賞に出して、大賞を受賞して、という流れです。

↑「モーニング」の新人賞【THE GATE】の第4回大賞を獲得した『ヤフ島』。審査員だったツジモト氏、一色まこと氏にも高く評価された。

 

ヨンチャン「自分で実際に乗って楽しさを感じないと描けない」

――この後『ベストエイト』へ向けて動き出すのだと思いますが、道のりはどうでしたか?

鍵田:【THE GATE】で大賞をとったので、次は連載案を考えてもらいました。最初は別の案で「モーニング」の連載コンペに出したんですがダメだったんです。そんな時、社内で“ボート”をモチーフにしてみては? という意見をいただいて、ヨンチャンさんに話してみたら、興味があるとのことだったので進めましたよね。
ヨンチャン:僕自身、もともとマイナースポーツのアメフトをしてきたので、ボート競技の話が出た時にすごく惹かれました。「マイナースポーツのマンガをいずれ描きたい!」という気持ちがあったのもあって。すぐにボートに乗りに行ったり、漕艇場へ取材に行ったりしました!
鍵田:すぐに!? 一緒に取材へ行く前に、すでにボートに乗ってたんですか!?
ヨンチャン:やっぱり自分で実際に乗って楽しさを感じないと描けないですから。運動が好きなので、ただ単にやりたかったというのもありますけど!(笑) いざやってみたらとても気持ちいいスポーツなんですよ。頑張った分が結果になって返ってくるのが魅力です! だから、僕がボートチームに参加するのも自然の流れかな‥‥と(笑)。 
鍵田:たしかに、マンガで描かれる船から見える景色とか雰囲気とかの部分はすごくヨンチャンさんの実感に沿っていて、実際にやってないと描けないものが入っていますよね。まぁ、自分自身で大会に出場するのはやりすぎな気もしますが‥‥。「マンガの進行は大丈夫かな?」という(笑)。
ヨンチャン:スポーツマンガを描いてる作家の方々は皆そうだと思うんですけど、描いてたら自分もやりたくなるんですよ! マンガの締め切りがあるのでとても大変ですけど‥‥。 
鍵田:やっぱりボート乗らない方がいいんじゃ‥‥。
ヨンチャン:いやいや、乗らないといけないですよ! 来週大会だから準備しないといけないし! 唯一の楽しみになってるのもあってやめられないです(笑) 
鍵田:本当に運動好きですよね。運動するのと絵を描くのどっちのほうが好きなんですか?
ヨンチャン:絵を描くのも運動するのも好きなので、どっちか一つを選べません。絵を描いてたら運動したくなるし、運動してたらアイディアが浮かんできて描きたくなるし。両方が揃うことでバランスがとれてるんだと思います!。
鍵田:絵を描く仕事に就こうと決めた時に、マンガ家以外の選択肢はなかったですか?
ヨンチャン:僕はマンガ家一直線でした。井上雄彦先生やあだち充先生、大友克洋先生など挙げれば限りがないほど大好きなマンガ家の先生がいっぱいいて、大いに刺激を受けたので。特にアクション系のマンガに惹かれて、スポーツマンガに限らず、アクション作品全般が大好きなんです!
鍵田:『花田少年史』も好きって言ってましたよね。
ヨンチャン:はい! 一色まこと先生の『花田少年史』は本当に大好きで、韓国でアニメを見てた時からの大ファンです!!
鍵田:『ヤフ島』を投稿した時の【THE GATE】の審査員が一色先生でしたね。
ヨンチャン:そうです!韓国だと『花田少年史』の主人公「花田」は「ギドン」という名前なんですよ。「ギドン」のことが好きすぎて「子供が生まれたらギドンにしよう!」って考えてたくらい。実は『ベストエイト』の主人公の「奇童」って名前は、この「ギドン」からきていて。僕にとって「奇童」は息子のつもりで作ったキャラクターなんです!

鍵田「真面目に描くだけじゃやっぱり面白くはならない」

――「奇童」にそんな誕生秘話が!? そんな思い入れの強い『ベストエイト』についてですが、実際に形にしていく上で、打ち合わせや取材などはどのように進みましたか?

ヨンチャン:体験から得たことを元に打ち合わせして作品の内容を考えていきました。その後、取材して細かいところを詰めていった感じです。主人公を男性にするとか、大学生の話にするといった大まかな部分は取材する前にある程度固めてました。
鍵田:とにかく僕としては取材で得た収穫が大きかったです。1話目のキモになる“男女混合寮”ですが、実際の大学のボート部って男女が同じ寮で共同生活を行っているんです。この要素があることで自ずと主人公の目的や性格付けを明確にできる気がして「行けるかもしれない」って思いました。
ヨンチャン:でも、今の形になるまで意見の衝突とか、いろいろありましたよね‥‥。
鍵田:それは、ヨンチャンさんがボートを真面目に描こうとし過ぎるからですね。極端な言い方をするとボートの教本みたいになってしまう時があって。でも真面目に描くだけじゃやっぱり面白くはならないので、男女関係を含めたキャラクターの関係性を気にするようにしています。 

鍵田「どのキャラクターにもどこかしらにわかりやすい“キャッチー”な部分がある」

――『ベストエイト』の連載決定までの期間や、最初のネームがOKになるまでの苦労話などありますか?

ヨンチャン:準備開始から連載決定まで3ヵ月くらいでしたよね。
鍵田:直しはそんなになかったです。基本的な流れを大きくいじった記憶はなくって、細かい演出とかをちょっと直した程度だと思います。 
ヨンチャン:いやいや、最初のネームは修正めちゃめちゃありましたよ! 連載が決まるまでネームを80回修正した作家さんもいるらしいから「僕らも80回はやりますよ」って言ってめちゃめちゃやりました! 修正くる度にマイナス79、マイナス78‥‥って数えてたんですから‥‥。
鍵田:いやいや、言ったかもしれないですけど実際に80回もやるつもりなかったですし‥‥(笑)。でも、流れ的にはそんなにいじってないですよね? 
ヨンチャン:ほらー覚えてないー! だいぶ変わりましたよ?
鍵田:でも決めゴマは決まってましたよね?
ヨンチャン:決めゴマとか大事なところは変更してないですけど、細かい演出とかをかなりいじりました。
鍵田:ああ、やっぱりそういうことですよね! 1話の山場が最初から決まっていてブレなかったので、変わっていった印象がなくて‥‥。キャラクターに関しても最初の時から全然変わってないですし。
ヨンチャン:ひどい(笑)。確かにキャラクターは変わってません。
鍵田:ヨンチャンさんの特長の一つだと思うんですけど、どのキャラクターにもどこかしらにわかりやすい“キャッチー”な部分があるのがすごい! 例えば、主人公の奇童は一部白髪なんですけど、その理由は運動しすぎたからっていうバカみたいな設定で、聞いた時に爆笑してしまって。「面白いからそれで!」って思っちゃいました(笑)。

↑第1話より。練習のしすぎと好きな子に告白できなかったストレスで白髪になったという奇童。キャラ毎に何かしら“キャッチー”な部分があるのが魅力のひとつだ。

 

ヨンチャン「アシスタントをしながら自分の連載用ネームを準備してました」

――最初のネームが上がってきてから連載が決まるまでの期間は? 最初から「コミックDAYS」でやろうと思っていらしたんですか?

鍵田:最初から「DAYS」だと思ってました。モーニング編集部内の「DAYS」のチーフに提出して判断を仰いで、比較的すんなり連載が決まりました。
ヨンチャン:連載が決まった時はうれしかったです! 報告を聞いたのがジムへ行く途中だったので、「うひょー!」って気持ちで運動しました(笑)。
鍵田:その気持ちでマンガ描いてほしいですけどね(笑)。韓国はWEBマンガが主流だから、「コミックDAYS」連載はすんなり入ってこれましたよね?
ヨンチャン:そうですね。韓国では雑誌や単行本が存在しないから、基本的にWEBでマンガを読めるシステムです。いろいろなカテゴリに分類されていて、プロの連載作品も、投稿者の応募作品も同じサイト内で見られる形なんです。そんなのもあって「コミックDAYS」での連載はスムーズにできていると思います。
鍵田:連載が決まってすぐ上京してきたんでしたっけ?
ヨンチャン:はい! 鍵田さんと頻繁に打ち合わせしたかったので、そのあとすぐ上京を決めました。急いでビザを延長して、大学卒業前に上京しました。3月だと引っ越しシーズンで家賃が高くなるのでその前に。僕ってすごく計画性あるんですよ!
鍵田:それよく言いますけど‥‥そうですか?(笑)
ヨンチャン:確かに今日も少し遅刻しましたけど‥‥。上京後は、アシスタントをしながら自分の連載用ネームを準備してました。
鍵田:自分でアシスタント先を決めてましたよね。
ヨンチャン:ちょうど同じ大学出身の友達が連載してたので、1ヵ月住み込みのアシスタントをさせてもらいました。
鍵田:すごく大変そうでしたよね。「マンガの現場ってこんなにキツイんですね」ってよく話してましたし。
ヨンチャン:大変でした‥‥。週刊連載のアシスタントは尋常じゃなかったですね‥‥!
鍵田:それだけやった意味はありましたよね。
ヨンチャン:そうですね。やっぱり立ち上げのときから一緒に付き合ってたので。アシスタントの集め方とか仕事の配分のやり方とか、そういうのを見れたのは良かったです。

ヨンチャン「マンガは一人で描くものじゃない」

――これまで『ベストエイト』を連載されてきた中で、特にこだわったポイントはどこでしょうか?

ヨンチャン:特に力を注いだのは、主人公「奇童」とライバル「下西」との関係性ですね。最初は、普段からバチバチしている王道のライバル関係を考えたんですが、仲が良い大親友同士のライバルにしたくなったので、いろいろ悩んで今の関係になりました。
鍵田:そうでしたね。こんな感じで展開が結構変わるんです。僕が一番ビックリしたのが、物語の序盤に行われたレースの勝敗が急に変更になったことですね。
ヨンチャン:いやいやいや、鍵田さんが変えたんすよ! 締め切り3日前に突然「勝敗変えましょうか」って言われて‥‥。
鍵田:え!? 僕でしたっけ?
ヨンチャン:でも、確かに当初の展開でネームを描いたらうまくいかなかったんですよね。だから、今の形で正解だったのかなと。マンガは一人で描くものじゃない、ということがわかりました。鍵田さんや周りの方々の意見を聞いて一緒に作っていくのが作品なのかな‥‥と。アシスタントさんもそうですし。だから僕自身も先の展開がどうなるのか想像できないんですよ(笑)。
鍵田:もともとかなり先まで展開を決めてたんですけど、めちゃめちゃ無駄になりました(笑)。今はあんまり先のお話を細かく詰めていてもしょうがないのかな、と思っています。
ヨンチャン:だからいつも不安ですよね。この作品が初連載かつ初週刊連載なので、始まる前はスケジュールについていけるのか、すごく心配でした。もちろん今も不安はありますけど、鍵田さんやアシスタントさんに支えられているおかげで、なんとか乗り越えられているんだと思います!

↑仲良しで親友だけど、お互いを成長させるライバルでもある奇童と下西。二人の不思議なライバル関係が『ベストエイト』の大きな魅力を担っているといえる。

 

鍵田「その人らしさがひとつひとつの挙動や表情に描かれてるのがすごい」

――ヨンチャンさん、これまで鍵田さんから言われてうれしかった言葉はありますか? 助けられているなと感じたこともありましたら教えてください。

ヨンチャン:うれしい言葉もたくさんありますけど、必要に応じて厳しく接してくれるところにいつも助けられてますね。
鍵田:「無いんじゃないかな?」って思ってました(笑)。
ヨンチャン:そんなわけないじゃないですか。僕自身もストイックであろうと心掛けてるんですが、どうしても締め切りが守れなかった時があったんです。その時にかなり強く言われて、「もうこれは守るしかない! やるしかない!」って気になったんです。

――次に、鍵田さんから見てヨンチャン先生にしかないマンガ家の魅力はどこだと思われますか?

鍵田:とにかく明るさが圧倒的に際立ちます。素の状態で出てくるキャラクターがみんな明るい。あとは、人がたくさん画面に出てくるシーンでも、それぞれがそのキャラクターっぽい演技をしっかりしてます。ちゃんとその人らしさがひとつひとつの挙動や表情に描かれてるのがすごいです。キャラクターの人柄をちゃんと捉えているということだと思うんですが、座り方ひとつで伝わるというのは強い武器じゃないでしょうか。
ヨンチャン:いやぁ普段言われないのでうれしいです!(笑)。

↑担当が先生一番の強みと絶賛する人物の描き分け。それがよく伝わってくるのが3話冒頭のシーンだ。各キャラの人柄や関係性を、表情や位置、ポーズで巧みに表現している。

ヨンチャン「僕の作品を読んだ人が楽しい気持ちになってほしい」

――最後に、これから『ベストエイト』をどのような作品にしていきたいですか? 読者の方に今後の見どころなどありましたら教えてください。

ヨンチャン:僕はいつも、楽しんでもらえるような作品を目指しています僕の作品を読んだ人が楽しい気持ちになってほしいんです。そして、ちょっとでも皆さんの力になり、何かしらの影響を与えられるような作品を作っていきたいと思ってます。それが僕の生まれた理由かもしれない‥‥!
鍵田:壮大ですね(笑)。僕からは、ボートをやりたい人間じゃない主人公がどう変わっていくのか、というところに注目してほしいです。僕自身、気になってる部分でもあるので、今後描かれていく主人公の成長が非常に楽しみです!

――『ベストエイト』の今後の展開、楽しみにさせていただきます! 本日はありがとうございました。

 

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