これを読めばよりわかる!『オートマン』用語解説。

『横浜駅SF』『未来職安』などで知られる柞刈湯葉の初オリジナル漫画原作作品『オートマン』(漫画:中村ミリュウ)。
この物語は人間の体液から抽出される“原形質”によって動く有機労働機体「自動者(じどうしゃ)」を軸に進みますが、今回、より世界観がわかるように用語解説をご用意しました!

■自動者 Automan

人間の生気を用いて動く自動人形。機体には生気伝導性を持つ物質(有機物質)が必要となる。近代以前においても人間の原形質から生気を抽出する技術は存在し、「ゾンビ」「傀儡の術」「ホムンクルス」といった名で知られていたが、効率の悪さからその用途は呪術・儀式的なものに限定されていた。19世紀にプラスチックが発明されると本格的な生気伝導技術の研究が行われるようになった。工業製品として大量生産されるようになったのは第二次世界大戦前後のことである。

■ミカワ自動者工業 Mikawa Automan

愛知県三河市に本社をおく自動者メーカー。主な機体は「カラクリ」「シキガミ」「カナマゼ」。その機体は強堅性に定評があり、熱帯雨林や砂漠地帯など悪条件での長時間労働に耐える。このため途上国でのシェアは非常に高く、自動者のことを「ミカワ」と呼ぶ国もある。生産拠点は三河市本社にあるが、利便性の観点から販売や研究分野などの拠点は名古屋オフィスに移りつつある。

■原形質 Protoplasm

人間の体液(主に血液)から抽出される物質で、生命のもとであると同時に自動者の動力である。人体から出すと徐々に劣化するため定期的な交換が必要。このため中古機体しか流通していない途上国においても、原形質を生産・販売することでメーカーは収益を上げることができる。一方でメーカー純正品は高価であるため、互換品も流通している。ミカワの現地法人はこのような非純正品に対し特許訴訟を起こしているが、不当な競争者排除であるという批判もある。

■チャペック・ロボティクス Capek Robotics

アメリカの自動者メーカー。ナチスから逃れアメリカに亡命した技術者によって創設されたが、ベトナム戦争以後の日本製品の台頭により経営不振に陥っていた。2004年にアラン・ブズマンがCEOに就任すると業績が劇的に向上し、2007年に発表された「エメス」が自動者の歴史上最大のヒット商品となる。これによりミカワ自動者を抜き、2018年時点で世界最大手である。人件費の高い北米およびヨーロッパにおいて高いシェアを誇る。

■名古屋めし Nagoya Meshi

名古屋市の名物と認識されている料理の総称。全体的に味噌ベースの濃厚な味付けと、そこはかとないB級グルメ感が特徴。2005年の万博をきっかけに全国的な知名度が高まったが、名古屋発祥にも関わらず「台湾ラーメン」と名乗るものや、三重県民が起源を主張するものが多く、その帰属にはさまざまな歴史・民族問題が絡んでいる。

 


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