こんにちは。
コミックDAYSヤングマガジンチーフのスズキです。
ヤングマガジンのスズキという名でtwitterもやってます。
この記事を読んでいるということは、
あなた…もしかしてマンガ家になりたくないですね?
そうでない人も、急に「ああ~!マンガ家になりたくないよ~!」と思ったとき、
きっとこの記事が役立つはずです。
よく読みよく守り、マンガ家にならないように気をつけましょう。
【基礎編】マンガを読むな!マンガを描くな!
マンガを読まないようにしましょう。
日々新しいマンガが続々と発表されています。昔からの名作も山ほどあります。
もしマンガを読んでしまうと、「こんなふうに人を感動させたい」と憧れたり、「ここをこうすれば面白くなるのにな」などと「描きたい欲求」が溜まってしまうことがあります。
さらに危険なことに、マンガを読めば読むほど「マンガ文法」という、マンガを描くうえで必要な力が自然と身についてしまいます。これはまずいですね。
書店にも行ってはダメです。時間ができたからといって書店に行って10分ほどぷらぷらするだけで、最新のトレンド傾向がわかってしまいます。どんなタイトルや表紙が目立つのかとか、どんなジャンルが狙い目なのかとかもわかってしまいます。危険!
例えば「全然音楽を聴かないミュージシャン志望」ってデビューできなそうですよね。
その境地を目指せば、まずマンガ家になることはないです。安全。
マンガを描かないようにしましょう。
マンガ家にならないためには、マンガを描かないのが最大の秘訣です。
「完成させたらマンガ道への3合目」と言われているくらい、ひとつの作品を完成させるだけで、もうだいぶマンガ家に近づいてしまっています。
バイトや学業で忙しい中、合間を縫ってマンガを描いてしまったことによってデビューした事例は山ほど報告されています。
「今は下手だから大丈夫」だとか思ってませんか?
マンガというものは描けば描くほど確実に上手く速く描けるようになってしまうんです。
眠たさ、忙しさ、悩みを理由にして、マンガを描かないのが一番です。
日々の悩みや怒りや主張をツイートするなりして、リビドーを発散し、描きたい欲求を抑えるのも有効ですね。
【応用編】他人に見せるな!
これだけ言っているのにもかかわらず、作品を描いてしまったあなた!
なんてことをしているんですか!
と...とにかく他人に作品を見せないようにガマンしましょう!
身内だけに見せましょう。
友だちや家族、SNSで知り合った漫画家志望者だけに自分の作品を見せましょう。
彼らはあなたが何歳で、どんな境遇で、どんな想いで、その作品を描いたかを知っています。
だから絶対に作品にダメ出ししたりあなたを傷つけることは言わないです。
どんどん褒められることによって「これでいいんだ」という勇気がわき、努力をしなくてもいいと思うようになります。
現状満足こそ、マンガ家にならないために一番重要なことなのです!
投稿や持ち込みは厳禁です。
マンガ家になりたくないけど投稿や持ち込みをしてしまった場合、もう半分マンガ家の山を登ったようなもので、大変危険です。
編集者というやつらは、あなたの作品がどんなにストーリーが破綻していようとも、未熟であろうとも、あなたの作品に「武器」という「可能性」を見出すヤバイ人種だからです。連絡来ちゃうよ~怖い怖い。
SNSで発表はマンガ家になる危険がいっぱい!
ほんの出来心でちょっと色んな人に見てほしいなと思っちゃったあなた。
SNSで発表したら、バズってしまい、編集者から声がかかってしまうこともあります。
たった4Pのマンガだけでデビューが決まってしまう場合があります。ひい恐ろしい!
マンガ家になりたくないあなたはDMを受け取らない設定にしておくか、プロフィールに「マンガ家になる気はありません」などと明記しておきましょうね。
【上級編】担当には100%服従か100%反抗!
これだけ言ったのに持ち込みなりSNSで発表なりして、
担当編集者がついてしまったあなたへ贈る、打ち合わせでのテクニックです。
ネームにはできるかぎり時間をかけましょう。
ネームというのはあなたが作品を通じてどんなメッセージを世に伝えたいかということを編集者に伝えるためのものです。
だから本来はがーっと勢いで描くのが良いです。
そのネームをもとに、編集者はその意図を「わかりやすく」「正確に」「効果的に」読者に伝えるようあれこれ提案してきます。めんどくさいやつらですよ。
だったらあれこれ言われないように、編集者にぐうの音も出させないような完璧なネームを追求して半年くらいかけてみましょう。牛歩戦術ですね。
そして周囲にこう言えばいいんです。
「担当がついたけど色々悩んでてだいぶ時間が経ってしまったのできっと担当は自分のことなんて覚えてないか、怒ってるだろうから連絡とりにくい」と。
たぶん周りの理解と同情は得られるはずです。
でも実は編集者はどんなに期間が空いても、いちど才能を評価した人のネームを心待ちにしている奇特な人種です。久しぶりに連絡しても、ネームを喜んで読みたがるやべえやつらです。あーやだやだ。
編集者の言うことを何も考えずに忠実に守りしょう。
さあネームを描いてしまい、打ち合わせが始まりました。
こうなったら、編集者のダメ出しを疑うことなくすべて受け入れて、何も考えずにその通り直しましょう。
きっと毎回違う箇所を指摘されて、それを直し続ける無限ループに突入するはずです。
もし仮にその編集者の言うとおりに直して賞が獲れたとしても、「どうしてそこを直すのか」を理解せずに直した結果として獲得した賞なので、
あなたはのマンガ能力は成長していません。
編集者の言うことを全面的に受け入れる、簡単で安心ですね。
編集者の言うことに徹底的に反抗しましょう。
前項の真逆のようですが、これも効果的です。
まず担当編集者を「自分の作風を破壊し、才能を食い物にする悪いやつ」だと思い込みましょう。どんなに建設的な意見を言われても、徹底的に反抗しましょう。
アイディアを出す場合、雑談から入り頭をからっぽにするのが良いとされていることを知っている編集者は、とりあえず「あの映画見た?」とかの和やかな雑談をしてきます。
徹底的に無視しましょう。舌打ちなんかも良いですね。
そうすればだんだん、編集者はあなたの担当でいる意義を見失ってくるはずです。
ボディブローのように効いてきます。
相手(編集者)が持つ「この人の才能を世に広めるためにサポートしたい」という気持ちを徹底的に削ぎましょう。
そして自分による、自分だけの、自分のための作品を描き続けていれば、まあよほどの天才でない限り、恐らくデビューには至らないので安全です。
【まとめ】 それでもなりたいという奇特な人へ
マンガ家になりたくない!という人は、賢明です。
プロスポーツ選手になるくらいの確率ですからね。
だから我々マンガ編集者も「誰でもなれるよ!」なんて甘いことは言えませんし、
無理にオススメはできません。
それでもマンガ家になりたいという人は、
よほどの変人か、ドリーマーですね。
そんな人たちが、我々編集者は大好きです。
尊敬します。
尊敬しているからこそ、たくさんの人に読んでほしいと思うし、
できればお金持ちになってほしいと思い、
あらゆるサポートをしてしまいます。
2018年始動予定のアプリ&WEBサービス「コミックDAYS」では
次世代のマンガ革命を起こすべく、
素晴らしいマンガを、素晴らしいシステムで読者の皆さんにお届けする予定です。
もし今、あなたがこのプロジェクトに
「マンガ家」として参加したいと少しでも思ったなら、
ヤングマガジン編集部、モーニング編集部、アフタヌーン編集部、イブニング編集部のいずれかにご連絡ください。
コミックDAYS twitter に ご連絡いただいても大丈夫です。
(なんか中の人Nくんが、受験勉強の相談にも乗ってくれるらしいよ。)
以上
お読みくださりありがとうございました。
ヤングマガジンのスズキ