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ツジ╳ハラトーク with サノミキ ―ロシアワールドカップSP②―


4年に1度の祭典、ロシアワールドカップが始まり、熱戦が続く日々。「ツジ╳ハラトーク」は、今回もワールドカップ一色。

日本代表が初戦に勝利したこともあり、ロシアへ取材に行っているカメラマンの佐野美樹 f:id:comicdays_team:20190418100624p:plain を再びつかまえて、現地の雰囲気を情報収集することに。

さらにぐだぐだだけど、ワールドカップの現地情報と臨場感溢れる写真がたっぷりなトークを、今回もどうぞ。


原田大輔 ツジトモさん、体調どうですか?

ツジトモ いや、ボロボロだよ。

原田 やっぱり? ワールドカップもまだグループステージの2巡目だというのに早くもヘロヘロですよ。

ツジトモ それ、分かる。でも、深夜3時キックオフの試合に限ってビッグマッチなんだよね。

原田 ホント、それ! あっ、今日はカメラマンの佐野美樹どこにいますかね。また、電話してみましょうよ。

ツジトモ いいね。コロンビア戦のこととか聞きたいよね。



………前回に続き、再びロシアにいる佐野美樹に電話をかける。



佐野美樹 おっす! ニジニ・ノヴゴロドの佐野でーす。

原田 ニジニ……言えない。どこだっけ、それ?

佐野 アルゼンチン対クロアチア戦が行われるスタジアムだよ。

ツジトモ かなりのビッグマッチじゃん! (リオネル・)メッシの命運を決めると言っても過言ではない試合。

佐野 でしょー。今ね、そこのメディアセンターにいるの。しかも、ここのスタジアムがめちゃめちゃカッコイイんだよね。今、写真送るね。




グループD第2戦のアルゼンチン対クロアチアが行われたニジニ・ノヴゴロドのスタジアム。景観美は今大会のスタジアムでも随一と言われている。



ツジトモ かっこいい。かなり大きいスタジアムだね。

原田 (資料を見ながら)ふむふむ、「水と風」をテーマにデザインされたスタジアムなのか。なんか、アルゼンチンカラーみたいだね。

佐野 でも、ちょっと聞いてよ。今日の朝7時にモスクワから電車に乗ってニジニ・ノヴゴロドに着いたのね。で、駅正面は整っていて建物も綺麗なんだけど……。




ニジニ・ノヴゴロドの駅。無機質だが綺麗な印象。目の前の道路も整備されていて、栄えていそうなイメージを受けるが……。



ツジトモ 綺麗じゃん!

佐野 でしょー。でもね……駅の裏側のほうに泊まるんだけど、行ってみたら全然、違うんだよね。また写真送るから見てみて。

原田 (写真を見て)道路、舗装されてないじゃん。表と裏のギャップすごいな!

ツジトモ ちょっとやばいね、これは……。写真を見る限り、車も古い感じがする。タイムスリップ感がすごい!

佐野 そうなのよ。たぶん、普段はあまり人が来ない駅なんじゃないかなって思うんだよね。

ツジトモ 今週のおそロシアだね!




ニジニ・ノヴゴロドの駅裏。正面と比べると町並みは激変。未舗装の道路に目がいく。建物もどこか古い。



佐野 日本の初戦が行われたサランスクも、何もないところに突如、スタジアムが建っているみたいな感じだったけど、さらにここは、無理矢理、新しいスタジアムを作ったような印象。日本も2020年の東京オリンピックのためにいろいろと新設しているけど、ちょっと考えさせられるところもあるよね。

ツジトモ ワールドカップはなんせ12会場だからね。ワールドカップのために新しくスタジアムを作ったはいいけど、その後はあまり使われないという状況にならなきゃいいね。

原田 ニュースでは賑わっているところや盛り上がっている場所ばかりが映るから、こういう裏側の写真はなかなか見られないし、いいね。

ツジトモ ちょっと今回のトークは、ぐだぐだじゃなくて、社会派な匂いがしてきたぞ……。

佐野 いやいや切実なのよ。今日、そのさびれたエリアの民泊みたいなところに泊まるんだけど、部屋も古いし、バスタオルもかなり使い込まれてるしで、ちょっとやばい感じなんだよね。

原田 今回のオチは、果たして佐野美樹は無事にモスクワに帰れたのだろうか……みたいな展開だな。そこには同情するけど、それより今まで撮影した中でのベストマッチはどの試合?

佐野 やっぱりグループFの初戦ドイツ対メキシコ(0-1)かなぁ。

ツジトモ 確かに今まで見たグループステージの試合では一番濃い試合だったかも。

佐野 ちょうどメキシコがゴールを決めたサイドで撮影していて、それこそキックオフしたときから、得点した(イルビング・)ロサノが何度も、何度も仕掛けていてさ。ゴールが決まった瞬間はスタジアムが地鳴りみたいに響いて。ホント、すごい大声援だった。試合の撮影をしていて鳥肌が立ったのは初めてかも……。

ツジトモ あのカウンターはテレビで見ていても、すごかったからね。試合後、チチャリート(ハビエル・エルナンデス)も泣いてたよね。あの試合こそ、僕が漫画で描かなければいけないような、采配ずばりのゲームだったよね。試合前の準備、交代カードに至るまで、すべてが完璧だった。

原田 メキシコのドイツへの対策といい、采配の妙がすべて詰まった試合でしたからね。

ツジトモ 得点シーンにしても、あのマヌエル・ノイアーがニアを抜かれて決められるというのもね……。

原田 そこをクローズアップしただけでも、かなりの駆け引きとストーリーがありますよね。そろそろ日本対コロンビア戦の話も聞かせてよ。




佐野美樹が現地で撮影して最も興奮したゲームと語ったのは、グループFの初戦、メキシコがドイツに1-0で勝利した試合だった。



メキシコは鮮やかなカウンターから得点。それは世界ナンバーワンとの呼び声高いGKノイアーのニアサイドを抜いたゴールだった。



ツジトモ 実際、現地ではどうだったの? 日本の初戦を撮影して感じるところはあった?

佐野 個人的な話になっちゃうけど、柴崎岳選手がワールドカップのピッチに立ったことには、ちょっと思うところがあったよね。彼が19歳のころから、撮影も含めて、知っているし、東北人魂の活動でも見てきたからね。その都度、その都度、話もしてきたし、人としても変わっていく様を見てきたから。

ツジトモ そうだよね。それに、日本代表の流れが変わらなければ、今回のワールドカップのメンバーに選ばれなかったかもしれないもんね。

佐野 しかも、メンバーに選ばれただけでなく、ワールドカップの初戦に先発で出場して、さらには活躍したからね。やっぱり感慨深かったかな。




日本のワールドカップ初戦となったコロンビア戦で活躍した柴崎岳。佐野美樹にとっては、柴崎が19歳のころから取材をしてきただけに感慨深い瞬間だった。



ツジトモ コロンビア戦を見て感じたのは、大迫勇也選手にしても、ケルンで(アントニー・)モデストが移籍した後もがんばっていて、ワールドカップの1試合だけじゃなく、これまでのすべてがつながっている感じがしたんだよね。原口元気選手にしてもそう。

佐野 大迫選手にしても原口選手にしても、ロンドン五輪では落選して悔しさも味わってきているからね。

原田 コロンビア戦で活躍したのも、今までの積み重ねということですよね。

佐野 大迫選手は、この写真でも分かるように、このプレーに尽きるかなと。

原田 写真見てもそうだけど、本当に倒れないというか、踏ん張るよね。

ツジトモ 大迫選手って骨格的には細く見えるんだよね。それなのにあれだけ強いのは本当にすごい。それにしても西野(朗)監督が、あのメンバーで勝負に出たところが功を奏したところもあるよね。




大迫勇也の強さが分かる一枚。コロンビアDFに抱えこまれるように抑えられながらも、身体を張ったポストプレーを随所で見せていた。



後半28分、コーナーキックから大迫勇也がヘディングで決勝点を奪う。この得点が日本の勝利につながり、勝ち点3をもたらした。



佐野 あっ、西野監督といえば、ちょっと小ネタなんだけど……。

ツジトモ 何、何? そういうのが知りたい。

佐野 コロンビア戦で選手が入場してくるときに、最後に西野監督が入ってきたんだけど、選手と一緒に歩いていって、思わずピッチに入りそうになって。途中で気がついたのか、「あれ、違うな」みたいになって、ベンチに向かってた(笑)。

原田 危うく選手と一緒にピッチに入場しちゃうところだったね。それだけ試合に集中していたってことが表れている一枚でもあるね。




コロンビア戦の選手入場の際、選手たちの後ろを歩いていた西野朗監督は、集中していたからか、思わず選手たちと一緒にピッチに入りそうになり、慌ててベンチへと引き返した。



佐野 あとは、香川真司選手が前半6分にPKを決めたときなんだけど……。PKシーンを撮影するときって、蹴る位置が決まっているから、予めピントをセットしておいて、走ってくるタイミングでシャッターを押すんだけど、珍しく蹴る前から追っかけて撮影してみたのね。そうしたら、滅多にそんなことないんだけど、ボールを蹴る瞬間だけ、なぜかピントが外れちゃってさ。なんと、蹴ってる瞬間は香川選手がボケちゃってるんだよね。個人的に初めてワールドカップで日本戦を撮影できて、初めて得点するシーンを撮影できるはずだったのに……。そのときの写真がこれ(写真を送ってくる)。




前半6分に香川がPKを蹴る瞬間だが、ピントがずれて後方に……偶然撮影された一枚だが、そこにはベンチで息を吞む選手たちの表情が!



原田 でも、この写真、ある意味、すごいじゃん!

ツジトモ ベンチの選手たちの表情が見事に分かる。

佐野 そうなの。まるでそれを狙っていたみたいでしょ(笑)。ただ、ピントが合わなかっただけなんですけどね。

原田 偶然の産物!

佐野 でも、正直、コロンビア戦はどこか撮影していて、ワールドカップという大一番の初戦という感じがしなかったんだよね。いつもの日本代表の1試合っていう感じがあった。感情移入することなく、冷静に撮影できたのは、何でなんだろうなぁって思って考えちゃった。試合序盤に退場選手が出たからかなぁとか。

ツジトモ もしかしたらだけど、どこか主役が分からないままワールドカップの本大会を迎えたところがあったのかもね。コロンビア戦を見て、みんなが、今大会の日本代表の主役は、大迫選手なんだ、香川選手なんだって知ることができたというか、認識することができたというか……。

原田 それをコロンビア戦で知ったからこそ、次のセネガル戦は思い入れを持って試合を見られるかもしれないですね。



果たして、佐野美樹は無事に
ニジニ・ノヴゴロドから
モスクワに帰還できたのだろうか……

次回はポーランド戦の前に!