4年に1度の祭典、ロシアワールドカップが始まった。いつもはJリーグをテーマに展開している「ツジ╳ハラトーク」も、この期間はワールドカップ一色。ロシアへ取材に行っているカメラマンの佐野美樹 
をつかまえて、現地の雰囲気や情報を聞き出すことに。いつも以上にぐだぐだだけど、ワールドカップの現地情報がたっぷりなトークをどうぞ。
原田大輔 ツジトモさん、ついにワールドカップ開幕しましたね。
ツジトモ ねっ。ついに始まったね。毎日、楽しみだよ。
原田 何やらカメラマンの佐野美樹がロシアに取材に行ってるらしいんですよ。ちょっと現地の雰囲気とか知りたくないですか？ 電話してみましょうよ。
ツジトモ 現地の情報教えてくれるかな？
………ロシアにいる佐野美樹に電話をかける。
ワールドカップの取材でカメラマンの佐野美樹がロシアへ。これから現地ロシアの雰囲気をお届けします！
佐野美樹 おっす！ モスクワの佐野でーす。
ツジトモ おおー。開幕戦のロシア対サウジアラビアは撮影できたの？
佐野 それがさぁ。開幕戦というだけあって、世界各国から報道陣が来ていたから、試合は撮影できなかったんだよねぇ。申請はしたんだけど、私も含めてフリーランスの日本人カメラマンはほぼ許可が出なかったのよ。
原田 ということは、ワールドカップ初の試合撮影はまだできていないわけか。
佐野 そうなりますね（苦笑）。メディアセンターには入れるんだけど、開会式も見られなくてさ。でも、キックオフのときにスタジアム周辺を戦闘機が飛ぶっていうのを聞いたから、それを撮影しようと思ってスタジアムの外に出たんだけど……。
原田 開幕戦ってルジニキ・スタジアムだよね。UEFAチャンピオンズリーグ決勝の取材で、かなり前に行ったなぁ。確かレーニンの像があったよね。
佐野 そうそう。そのレーニン像と、スタジアムと、飛んでる戦闘機を入れた、いい構図の写真が撮れるかなぁと思って、走ってメディアセンターを出てレーニン像の前で待ってたんだけど、全然、飛んでこなかったよね……飛行機（笑）。完全にガセネタだった（笑）。
レーニン像なめのルジニキ・スタジアム。戦闘機が飛んでいれば構図は完璧だった!? でも、荘厳な雰囲気が漂ってます！
ちなみにルジニキ・スタジアムのメディアセンターはこんな感じ。ガラス張りでピッチが見下ろせます。
原田 開催国の雰囲気はどうなの？
佐野 それがさぁ。モスクワはそれほど町も盛り上がってないんだよね。
ツジトモ でも、さすがに開幕戦で自国が5－0で快勝したとなれば、みんなはしゃいでるんじゃないの？
佐野 開幕戦は撮影できなかったから、赤の広場に行って、みんなが騒いでいる様子を撮ろうと思ったんだけど、赤の広場も閉鎖されていて入れなくて……。まれに地下鉄でユニフォームを着た人に遭遇したけど、それもロシア人ではなく、メキシコ人だったりして。ロシアの人はそれほど騒いでないんだよね。
原田 これまでのワールドカップやユーロ（欧州選手権）とかでは、開催国が勝つと、夜も車がクラクションを鳴らしながら走っていたりと、騒いでいるイメージがあったけど、そういうのもないの？
佐野 まったくなかったね（笑）。しかも、お店でロシアの人たちと一緒に試合を見ていたんだけど、ロシアの人たちのリアクションって「うおおおお！」って感じじゃなくて、「おおっ」ってくらいのテンション。歓声がとにかく低いの。だから今のところ、私は、ロシアの人たちはそこまでサッカーに興味がないんじゃないかと予想しています。
ツジトモ ロシアは開催国とはいえ、そこまで絶対的なスター選手がチームにいないということも影響しているのかもね。
原田 38歳のDFセルゲイ・イグナシェヴィッチが直前で代表復帰して、開幕戦にも出場してたよね。それを見て、アンドレイ・アルシャヴィンも37歳だから、がんばれば自国開催のワールドカップに出られたんじゃないかなって思っちゃったもん。
佐野 アルシャヴィンくらいのスター選手がいたら、ちょっと見る目も変わってたかもね。
ツジトモ でも、そのロシアは、かなり下馬評が低かったのに初戦で5－0の快勝。こういうことが起こるからサッカーは分からないし、面白いよね。
原田 大会に向けたテストマッチでは、アルゼンチン、ブラジル、フランスと、いわゆる強豪とばかり試合してましたからね。
ツジトモ 初戦の相手がサウジアラビアというのもあったけど、蓋を開けてみたら強かった。
佐野 今はそこまで騒いでないけど、グループステージを突破すれば、こっちも盛り上がってくるかもね。ちなみに現地情報を伝えると、モスクワは結構、寒いです。日本から薄手のダウンを持ってきたんだけど、それじゃあ耐えられないから、もうちょっと厚手の洋服を買おうかなって思っているくらい。夏だから、このあと、どんどん暖かくなってくるとは思うけどね。
ツジトモ そういえば、ワールドカップにちなんだマトリョーシカは売ってた？
佐野 まだ、見てない（笑）。中心地にも行ったし、地下鉄にも乗ったけど、ユニフォームを着て浮かれている人は、本当にそれほど見かけないんだよね。
残念ながら開幕戦の撮影パスはもらえず。隙間から様子をのぞこうとするもよく見えず……トホホ。
もしや大勢の人が集まり、熱狂しているのでは、と思って行ってみた赤の広場。閉鎖中でご覧のとおりガラーンとしてます。
原田 まあロシアは広いからな。みんなそれぞれの都市に散ってるんだろうね。そういえば、開幕戦は撮影できなかったけど、プレスルームですごい人に会ったんでしょ？
佐野 そうなの！ 今、メールで写真送るからちょっと見てみて。
ツジトモ （送られてきた写真を見て）誰、誰？
佐野 私がマンU（マンチェスター・ユナイテッド）のファンだから分かったんだけど……。
原田 元フランス代表のミカエル・シルヴェストル！ 現役時代にインタビューしたことあるわ。
佐野 そうそう。そのとき、私が撮影してるじゃん。それで思わずツーショットで写真を撮ってもらったんだけど、部屋の奥を見たら、さらにビッグネームが！ もっとすごいの送るね？
ツジトモ （送られてきた2枚目の写真を見て）うおー、すげー！！！
佐野 すごいでしょー？
ツジトモ ライアン・ギグスじゃん！ これはやばいね。ユナイテッドつながり。
佐野 気難しそうな顔して打ち合わせしていたから声掛けづらかったんだけど、一緒にいたカメラマンに「もうすぐ開会式はじまっちゃうし、ギグっちゃいなよ！」って言われて。私もちょっと調子に乗って、「いいっすか！ ギグって」って言って、勇気を出して写真をお願いしたてみたら……。なんと、ギグスが「Sure（いいよ）」って言ってくれて、このとおり、にっこりですよ、にっこり！
マンチェスター・ユナイテッドで活躍したレジェンド、ライアン・ギグス様。思わぬ2ショット撮影成功に、デレデレしている佐野美樹。
ツジトモ これはちょっと、いや、かなり羨ましいぞ！
原田 全然、仕事してないじゃん。
佐野 これで開幕戦での私の仕事はほとんど終わったようなものだったよね（笑）。
ツジトモ いや、上出来でしょう。試合以外の第二の任務として、各会場で往年の名選手を見つけたら撮影してきてよ。
佐野 機会があったらがんばってみる。
原田 それより肝心の、初の試合撮影はいつになるんだよ。
佐野 グループDの初戦、アルゼンチン対アイスランドかな。
ツジトモ じゃあ、そこでの任務はディエゴ・マラドーナだね。あっ、コーチにアイマールがいるんだよね。それもよろしく！
果たして佐野美樹は
ワールドカップの試合で初撮影できたのか……
その結果がこちら。
ディエゴ・マラドーナを発見！ 約束どおりピッチの下から望遠レンズで激写しました。ということは……。
ワールドカップ初撮影に成功。アルゼンチンのスーパースター、リオネル・メッシ。思っていた以上に走ってなかった（苦笑）。
メッシ以上に輝いていたアルゼンチンのFWセルヒオ・アグエロ。身体つきはマラドーナに一番近いかも。※あくまで佐野美樹の個人的見解です。
ワールドカップ初出場の小国アイスランドが、強豪アルゼンチンに大善戦。ワールドカップ初出場（初撮影）の佐野美樹も健闘します！
