この度、大和和紀氏が画業55周年をむかえられました。これを記念して、12月13日(月)より3ヵ月にわたり『あさきゆめみし 新装版』が連続刊行されます! そして、 大和氏の画業55周年と『あさきゆめみし 新装版』の刊行を祝してコミックDAYSでは大和和紀作品の10週連続無料祭りを開催! 大和作品が気になった方はぜひ新装版コミックスもお手元にそろえていただくことをおすすめいたします!(新装版は紙版のみでの発売となります)
対象作品と期間はこちら!
最終巻以外全巻無料!! (2021/12/6~2021/12/12)
『ベビーシッター・ギン!』
最終巻以外全巻無料!! (2021/12/13~2021/12/19)
『イシュタルの娘~小野於通伝~』
最終巻以外全巻無料!! (2021/12/20~2021/12/26)
『N.Y.小町』
最終巻以外全巻無料!! (2021/12/27~2022/1/2)
『はいからさんが通る 新装版』
3巻まで無料!! (2022/1/3~2022/1/9)
『紅匂ふ』
3巻まで無料!! (2022/1/10~2022/1/16)
『にしむく士』
2話まで無料!! (2022/1/17~2022/1/23)
『天の果て地の限り』
最終巻以外全巻無料!! (2022/1/24~2022/1/30)
『ラブパック』
最終巻以外全巻無料!! (2022/1/31~2022/2/6)
『モンシェリCoCo』
3巻まで無料+4~6巻10pt!! (2022/2/7~2022/2/13)
『あさきゆめみし』
特別企画はもうひとつ! 大和氏が2016年の画業50周年の際に山岸凉子氏と行った超貴重な対談を公開! 対談の後には、新装版刊行にあたっての大和氏の担当編集が想いを語ったコメントも掲載しておりますので、最後までぜひご覧ください。
大和和紀氏×山岸凉子氏 スペシャル対談!!
※この対談は「BE・LOVE」2016年17号に掲載されたものです。
長きにわたり、漫画界の第一線で活躍し続けるお二人。実はデビューまえから交流があったお二人の、学生時代の知られざるエピソードや、デビュー後の少女漫画界の黎明期について、またお互いの作品に対して感じ続けていたこと、そしてお二人が考える漫画の可能性や漫画読者に伝えたい思いを、余すところなく語っていただきました。ぜひご堪能ください!
山岸凉子(以下山岸) 大和さんの50周年記念のおかげで、対談させていただいて、ありがとうございます。こんな対談ができるなんて思っていませんでした。
大和和紀(以下大和) しばらく電話もしていませんでしたしね。
山岸 それもあるし、お互いこんなに長く漫画家をやっているとも思わなかった。
ーお二人は、実に何年ぶりの再会ですか?
大和 20何年ぶり?
山岸 30年近いよね。お互い忙しかったし、80年代は漫画家さんに会うと相互影響があったもので。なにげなく話しているところからアイデアが漏れることもあるので、意識的に会わないようにしてました。
大和 私も漫画家仲間と話すよりも、一般の人と話すことが多くなっていました。身の回りのアシスタントさんなどは別だけど、漫画家さん同士はお互い忙しいので電話もしづらくて。
資料探しや時代考証は大変!
山岸 もう『イシュタルの娘』も13巻になってるのね。私、「BE・LOVE」からお声をかけてもらってから読んで、「大和さん、こんなのやってるのねー!」と驚いてしまって。
大和 7年目くらいなのかな。けっこう長いんです、意外と。
山岸 すごい! たいしたものでございます。
大和 そんな意識もなくて。
山岸 スラスラとできたんですね。大和さん、作中の書の文字もご自身でお描きになるの?
大和 いえ、あれはアシスタントが、見本を見ながらペンで描いています。
山岸 美しい文字なので、「大和さんが描いているのかも」と思っていました。
大和 資料とまったく同じように描くと、また問題でして。
山岸 著作権の問題もあるものね。
大和 所蔵しているお寺や美術館に、事前に許可をとらなくてはならなくて。
山岸 大変ですね。それに比べると、私は教会にお伺いを立てるわけでもないし。
大和 でも資料を調べるのは大変でしょ?
山岸 そうですね。講談社の校閲の方にも協力していただいています。
大和 『イシュタルの娘』の舞台である安土桃山時代なんて、全然記録がない。『レベレーション(啓示)』の時代も記録がないと思うけど、どうですか?
山岸 そうです、そうです。ジャネットの幼少期や家族関係については記録がない部分もありますね。
大和 でもジャネットのお姉さんのことなど、うまく取り入れていますよね。
山岸 ありがとうございます。本当は歴史的にはジャネットの姉か妹かも、はっきりしないんです。でも、ジャネットが出発する1年くらいまえに死ぬということだけは、はっきりしていて。
大和 あと、お姉さんの結婚するときの赤い衣装をジャネットが着たシーン。
山岸 「あの当時の結婚衣装って白じゃないのね!」と思って。何色でもよかったのですよ。
『日出処の天子』で第7回講談社漫画賞を受賞。2007年、『舞姫 テレプシコーラ』第1部・全10巻、第2部・全5巻(KADOKAWA)にて、第11回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞。
『レベレーション(啓示)』について
―『レベレーション(啓示)』を描くきっかけはやはりジャンヌ・ダルクですか?
山岸 ジャンヌ・ダルクに興味があったわけではなく、「神がかるひと」に興味がありまして。3人の候補の中にいたのがジャンヌ・ダルクなんです。3人の中で一般読者に受けるのはジャンヌかしらん、と思って選んだんです。でも、調べたら彼女は強すぎる女性でね。私の手には余っておるのです。
大和 最近強いよね。初めは弱かったのに。
山岸 最初の神がかっているあたりは資料がなくて、自分で作ることができたのですが、そのあとは資料が残っているので、そのとおりに進めないといけなくて。セリフまで残っているのよ。記録として。
大和 この先、話も広がっていくと思いますが、他の主要人物は出てくるの?
山岸 今のところシャルルが出てくるだけで……あまり出てこない。なぜって、彼女の周りには本当の腹心はいなかったのです。だから大変なのよね。
大和 せいぜい王子くらいですか?
山岸 王子も実は……。彼女は本当に孤独な人よね。だから、ハンサムが一人も出てこない! 花が必要じゃない? 青年誌でも。一人いなくはないけれど。次回で登場します。
大和 従者とかね。
山岸 私がその人に思い入れを持てばいいんでしょうけれどね。
大和 そう都合よくいないんですよね。
山岸 これがフィクションならいくらでも作っちゃうんだろうけどね。でも、花は添えなくては作品として活きないので、やらなくてはいけないと思っています。はい。頑張ります。
大和 楽しみにしています!
山岸 ありがとうございます!
『イシュタルの娘』について
山岸 私、「小野於通」って今までの歴史で全然、見たことのない人だなと思って……。
大和 でも、あちこちの時代劇には出てくるんです。私は歴女ではないけれど、時代小説はすごく好きで読んでいたら、小野於通が出てくる作品は3~4作品ある。「もしや、実在するのでは」と思って、パソコンで調べたら、最初は伝説である、と書かれていたんです。
山岸 実際の人じゃない?
大和 そういう意見が多かったけれど、その後、真田家に伝わる文書が見つかり、実在の人であったということがわかったと知りました。それで文献を集めて。でも、ほとんどないんですよ。
山岸 すごい。もう、あなたが掘り起こしたようなものですね、この小野於通は。
大和 もう、私の手元にある以上の資料はないみたい。今のところは。だから調べたことと、歴史上の事実と、適当に作ったことを組み合わせています(笑)。
山岸 でも、それが一番楽しいと思います。全部知っている人は描いてもつまらないんですよ。わからないところをこう、自分でねつ造しつつ描くのが絶対楽しいんです。
学生時代について
―お二人が出会ったのは、デビューまえとのことですが。
大和 高校2年生でしたっけ?
山岸 そうそう、高校2年生の時。どうして会ったか覚えてます? 私、しっかり覚えているんですよ。
大和 たしか、私の幼なじみの紹介で。
山岸 大和さんの幼なじみと私が同級生だったの。それで私がよく昼休みに漫画を描いていたら、前の席だった彼女が声をかけてくれて。「私の友達も描くのよ」って。その当時、だれも漫画を描く人なんていなかったから驚いて。「紹介して!」と言って、あなたを訪ねていったわけ。
大和 幼なじみがいなければ、そのころには知り合っていませんでしたものね。
山岸 ねぇ、そうよねぇ。
大和 ずっとあとになったら知り合ったと思うけどね。デビューまえに出会った、最初にできた漫画友達でしたよね。
山岸 そうです。周りにだれもいなかったですもんね。
―当時、漫画を読む人は大勢いたのでしょうか?
山岸 いえ、読んでいる人もあまりいなかった。
大和 小学校か中学校で、漫画を読むのはもうやめろと言われるんだよね。
山岸 高校で漫画を読んでいるって知られたら、もう
大和 勇気あるね(笑)。
山岸 だから、英研の壁を1枚借りたんですよ。1学年下だった
大和 私も、「あなたの成績がこんなに悪いのは、漫画を描いているせいじゃないですか?」って言われました。
山岸 そんなことない。ひどい。
大和 だから必死に勉強して、ちょっと成績も上げて。
山岸 おお! やった!
大和 「漫画を描いているからじゃないわよ!」「頭悪かったら描けないわよ!」と。
山岸 本屋さんに行っても漫画の本を買えなかったものね。恥ずかしくて。「ガロ」を定期購読して、毎月、ときどきこそこそっと行って。「私は特別にこれを勉強していますから」、というふりをして、
大和 自分に言い聞かせていたんですね。
山岸 そうなんです!
大和 私は、貸本屋さんに行っていたのだけれど。
山岸 私、北海道の貸本屋の存在、知らなかったんですよ。あったのね。
大和 あったんです。兄が貸本屋で
山岸 そうそう。劇画の世界ですよね。
大和 さいとう・たかを先生の作品とか。分厚い本で借りていました。「あ、これはまた違う世界がある」って。
山岸 あったのねー。当時はそういった情報量もすごく少なくてね。
大和 漫画の描き方なんて、古い本しかなかったよね。
山岸 私はね、
大和 カブラペンとGペンとかね。「カブラペンってこういうものなんだ!」って初めて知りましたね。
山岸 ね! そうですよね。私、それまで青い万年筆で、ちょこちょこと描いてました。
大和 それから、一緒に漫画の同人にも入ったし。同人誌、一緒に描いたよね?
山岸 北海道大学の院生の方がやっていらっしゃる同人誌ね。卒業して短大1年の時だったんじゃないかな?
大和 いや、もっとまえだよ。私がデビューするまえです。すごく短い期間だったのかもしれませんね。
山岸 そうそう、喫茶店で会った記憶がある。私は、あの時が初めての喫茶店で。
大和 よく喫茶店でしゃべっていましたよね。3時間ぐらい。
山岸 大和さんのお宅にもよく遊びに行ったわよ。
大和 お互い、家を行き来してね。
山岸 そうね、近かったからね。
大和 あ、私、山岸さんから絵をもらったでしょ? 覚えてる? 私、持ってるよ。
山岸 え!? そんな恐ろしいものを~。
大和 すごくかっこいい絵。『
山岸 そう私、あの当時、男の人の顔は『
大和 「いいの!?」って。うれしくて。
山岸 あなたみたいな
大和 何言ってるの! そんなことない。すごくかっこよかったですよ!
お互いの存在
大和 私にとって山岸さんは、初めて漫画を描いている仲間として出会った人だけど、一番関心したのは、その人間観察の鋭さ。
山岸 えぇー! そんなこと!
大和 学校を卒業してから、山岸さんアルバイトをやってたじゃない? たしか事務系のバイト。そこにお勤めしている先輩社員の話を聞かせてくれるんだけど、それがものすごく人の心の裏を見るようで。自分には、そんなふうに人を観察できないだろうなって思った。漫画も、すごくアイデアが独特で、本当に「この人はすごい!」と、ずっとずっと思っていて。
山岸 なにをおっしゃいますやら! 私、今だってずっと、大和さんが上だと思っていて。
大和 そんなこと絶対ないって! 私、コンプレックスを持っていたぐらいです。
山岸 えー!? うそー、どこが!? いや、逆にそれは面白い(笑)。
大和 本当にそうなんだって! 「こんな作品は描けない」って。ご兄弟を除いたら「私が一番最初にこの人の才能を見つけたのね!」と思っています。
山岸 やー、そんな……、恥ずかしい。大和さんは、すっごく上手な絵でね。私のは、少女漫画とはまた別の絵なのだけど、あなたはほんと上手な人だなって思ったの。それと私、あなたにいろいろ漫画を教えてもらった。忘れてないの。まずね、一番最初にね、「漫画って起承転結があるのよ」って言っていたんです。
大和 そんな偉そうなことを!?
山岸 うん、言ったの。しかも、「その起承転結はだいたい、8ページずつにするのよ。それで4×8ページ=32ページになる」って。
大和 恥ずかしい……。
山岸 私、一生涯忘れない。実際に作品作りに熱が入ると、そういう起承転結だとか、8ページだとか、すっ飛んじゃうけど、詰まった時、あなたのセリフが浮かんでくるんですよ。
大和 そうなんですか(笑)。
山岸 「そうそう起承転結。このへんで『転』にしなくっちゃ」とかね。もうどんなに助かったかわからない。
大和 そんなおそれ多いことを!! どうして私、そんなこと言ったんでしょうね。
山岸 あなたが、講談社の編集さんに聞いたのをね、惜しげもなく教えてくれたんですよ。一生の恩です。知っているのと知らないのとでは、大違い! 今の漫画家さんも皆さん、アイデアに詰まったら思い出してください(笑)。
大和 起承転結を大切に(笑)。
山岸 あまり厳格に守る必要はないけれどもね。
大和 教えていただいたことの受け売りですが。起承転結だから、4コマですべての話が入るんですよね。それを複雑に繰り返し繰り返しバリエーションを付けていくと、『日出処の天子』のような、大河作品も出てくるってことですね。
手塚治虫先生へ突撃!
山岸 この間、手塚治虫文化賞の関係で手塚先生に関しての思い出を
大和 冷や汗出るでしょ。
山岸 もう、冷や汗も出るし「自分一人で漫画家になったつもりでいたわ」って。「違う! 大和さんのおかげだ。あと、少し協力してくれた兄にも世話になっている」と気づいたわ。
大和 いろいろな人が関わってね。手塚先生に会いにいったのは、『ジャングル大帝』の関係で雪まつりにいらしていて。
山岸 そうそうそう。
大和 「行こうか」、「行こうよ」って。それで、出待ちしましたよね。
山岸 そうなんです。
大和 手塚先生に会ってすぐ、「サインしてください」って言って終わりかなと思っていたら、意外と先生がお話ししてくれて。
山岸 そうそう。それで、あなたがね、「作品を見てください」って言ったんですよ。
大和 そうでしたっけ?
山岸 そうしたらね、先生がびっくりして。「高校生?」って訊かれて、「未成年だから父兄を一人連れてきて」って。
大和 それで、山岸さんがお兄さんを連れてきてくれたんですよね。
山岸 そう、兄が来たんですよね。
大和 助かりました。あの時、手塚先生はいろいろな話をなさって。
山岸 ね!
大和 白土三平先生にハマっていた時代だったので、その話をしたり。
山岸 白土先生の作品で、グッと別の世界が開けたと思う。
大和 たしかに、別の流れができた。
山岸 私、「
大和 うん。
山岸 でも手塚先生が、「水野さんはレベルが高くて、読者の年齢層が高いから、あなたは年齢層をもっと低いほうに向けないとダメだよ」って言われて。もう、ガラガラガラって(笑)。
大和 そうだよね。
山岸 でもあれ、ありがたい洗礼だった。手塚先生にああ言われなければ、読者を意識して描くところまでいかなかった。
大和 うん。でも、水野先生がいなければ、私たちは少女漫画を描かなかったんじゃないかな。
山岸 そうですよ。本当に!!
大和 あの、フリルの描き方ね。
山岸 今見ても感心しちゃう。
大和 すごくきれいよね。布の質感もね。
描きたいものと読者
大和 山岸さんは、自分の描きたいものがやっぱり強いですよね。
山岸 そうですね。本当は、読者を意識しなきゃいけないと思いながらも、どうしても描きたいものを描いてしまう。
大和 みんな程度の差はあるけれど。私は、絶対に読者を意識せずにいられない。
山岸 わかる。あなたはエンターテインメントの世界だから、本当に。
大和 山岸さんはじめ、あのころ突出した
山岸 それ、知りませんでした。
大和 私はなんで漫画を描いているのか、本当に悩んでいた。その時に、私は、私が面白いと思っていることを、人が読んで「面白いよね」って言ってくれることが、一番うれしい、それだけのために描いているって気がついて。だから、絶対に読者を無視しない。読者の反応はどのくらいか測りながら、関係を作り上げていきたいと思ってます。だから今も、必ず担当にはネームを見せて、意見をもらう。
山岸 私は見せてなくて。すいませんって感じ。
大和 いやいやいや。やり方はいろいろだと思うの。私は意見がほしいから。最初の読者としての意見を聞いて、こう受けとるんだなというのがほしいんです。
漫画の今後
―大和先生は50年、山岸先生は47年、漫画を描き続けてこられた秘訣はありますか?
大和 他にすることがなかったんですよ。
山岸 私も。まさかここまでね、描いているとは思わなかった。
大和 仕事が来なかったら、おそらく辞めてたなって気はしますけどね。
山岸 私も。あとは、ちょうど漫画が隆盛になっていく、その時流に乗ったんですよね。私達、いい時に漫画家になりましたよね。
大和 刺激もあったしね。同世代に本当にいい漫画家さんが多かったというのもあるし、時代もよかった。
山岸 高度成長期に乗っかりましたものね。漫画雑誌がどんどん増えていきましたからね、描いてるうちに。初めは本当に少なかったのに。
大和 漫画読者も増えて。
山岸 年齢層が上がって大学生が増えたりね。
大和 今はもう大人でしょ?
山岸 そうですねえ。大人になってますね。でも私は逆に、
大和 いやいや、山岸さんのは子ども向けの内容ではないでしょう(笑)!?
山岸 そう? 私、これでもせめて中学生が読んでわかってくれるように描いているつもりよ。だからルビもつけてるし。
大和 そうだったんですね。
山岸 そうしないと、これから先、読んでくれる人が大人ばっかりになっちゃうからね。子どもの時に漫画を読んでいたからこそ、大人になっても読むんですよ。子どもの時に漫画を読んでいない子が、大人になったら読まないよ。それが心配。
大和 そうだね。でも、子ども向けの漫画を描く漫画家も、新しい人がたくさん活躍していますから。そういう人達が、大人向けの漫画にも読者を引っ張ってきてくれてもいますよ。
山岸 私も、中学生にも読んでもらえるようにがんばります。
大和 『舞姫 テレプシコーラ』のように、小学生が主人公だといいかもね。
漫画の魅力とは
―では最後に、お二人が考える漫画の魅力を教えてください。
大和 硬い表現になりますけれど、表現としての漫画って素晴らしいなと、いつも思います。なんでも漫画にできるよね。
山岸 できる。たとえばハウツーものだって漫画で表現すれば理解しやすいですし。
大和 哲学なんかでも、全部漫画に、コマにできる。日記ももちろんできるけどね。紙の上にペンで、ふき出しとコマを描いて世界を作り上げていくものですけど。山岸さんなんて、時空を超えますからね! 時空を超えて、語りかけることができる。すごい表現だし、難しいものから、幼い子どもが読めるものまで、ジャンルは幅広いよね。これからもこの表現方法は続いていくだろうし、自分が求めるおもしろいものは必ず漫画のなかにあるので、探して、読んでみてください。
山岸 どんどん私も子どもの読者から離れていますけれど、漫画を表現するためには、第三者にエピソードを語ることができるくらいまで理解しないと、人には伝えられないのですね。そこまでかみ砕いて、「そうか、この真実はこういう理由があったのか」と自分のなかに落ちた時、それを作品にすると、すべての読者が「その通り」と言ってくれるんですよね。そこまで自分が理解しないと、作品にはできないので、これを維持していくというのは、本当に、並大抵じゃないです。理解の度合いが深くなければ本当の読者はつかめないと思います。と偉そうに言ってるけど、今の私はどんどんそこから、外れてきているようで、恥ずかしいんですけれど。
大和 でも、本当にそうですよね。深く理解していないと描けない。表現方法は簡単に読み取れるものでなくてはいけないから、そこまで消化するっていう作業がすごく大変ですよね。私は『日出処の天子』をはじめ、山岸さんが描く異能者の物語がとても好きなので、これからも『レベレーション』、楽しみにしています!
山岸 ありがとうございます。私こそ、
―ここでしか知ることのできない数々の貴重なお話、ありがとうございました!
藤壺と源氏の黒髪と指先が絡まり合う逢瀬シーンにドキドキした10代、自信に満ちた朧月夜に憧れた20代、生霊となるほどの情を抱える六条の御息所に心を寄せる30代。母から借りたmimiKC『あさきゆめみし』が、初めて読んだ大和和紀作品でした。
シリーズ累計1800万部超の不朽の名作『あさきゆめみし』は、『源氏物語』入門本という印象もありますが、世代を超えて愛される女性漫画です。かつての少女達が集まると必ず始まる、「どの女人が好きか」「どのシーンが最高か」という、熱々の「ベストオブあさき」トーク! 息をのむ美麗な絵、禁断の恋模様、過去に傷を持つ訳ありヒーロー、そして可憐さ、気高さ、弱さと強さを持つ女性キャラクター達……。時を超える作品の力を改めて感じます。
そんな『あさきゆめみし』をはじめ、自由でしなやかなヒロイン達の物語を生み出した大和和紀先生が、2021年、画業55周年を迎えました! 『モンシェリCoCo』のような初期作から始まり、大人気作『はいからさんが通る』、そして最新連載作『イシュタルの娘』まで、多くの作品を今回コミックDAYSで大プッシュ!
ぜひこの機会に、大和和紀作品をお楽しみください! (担当編集)
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