第25回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の「マンガ大賞」を、『ランド』(山下和美)が受賞!

山下和美氏のご受賞を記念して、 担当編集が今までの山下和美氏の作品の中からおすすめエピソードを厳選レビュー!! 該当エピソードを無料公開いたします!!

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第25回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の「マンガ大賞」を『ランド』で山下和美氏が受賞されました!! おめでとうございます!!

 

2020年9月18日に完結を迎えた『ランド』。2020年は山下和美氏にとって画業40周年の年でもありました。大学教授である実の父をモデルにした『天才柳沢教授の生活』、著作家マーク・トウェインの作品にインスパイアされた『不思議な少年』などの代表作から、今回の受賞作『ランド』など90点以上の貴重な生原稿を展示した原画展も開催し、大好評を博しました。

 

受賞記念!『ランド』5月1日より14話まで毎日無料連載開始!!

さらに今回は、『ランド』の無料連載に先立ち、山下和美氏のご受賞を記念して、
担当編集が今までの山下和美氏の作品の中からおすすめエピソードを厳選レビュー!!

該当エピソードを無料公開いたします!!(~5月11日)

この機会に是非みなさま、山下和美氏の世界をご堪能くださいませ。

 

 

『天才柳沢教授の生活』

34話35話「希望行きのバス」

本作には、心温まるお話が多いですが、この話は「ウルトラQ」や「トワイライトゾーン」のようなちょっと怖い雰囲気があります。

教授はふつうなら遠ざけてしまうような「変なおじいさん」にも、分け隔てなく接します。その結果、不思議な世界に迷い込んでいってしまうのですが、そこには人間や社会を問うような問題が渦巻いていたのです…。

確固たる自分を持っている教授だから帰ってこられたけど、自分だったら…と考えるとヒヤっとします!

 

61話「教授刮目」

教授もだいぶ変わった人ですが、本作にはたくさんの個性豊かなキャラクターが出てきます。このお話に登場する西洋美術史の潮田教授は、目を3倍くらいに見開いたアインシュタインのような強烈な容貌で、プロセスを大事にする柳沢教授と反対に結論をまず見たいという性格。正反対のふたりが「いつもは細くて見えない柳沢教授の目」について話しながら散歩するだけのお話なのですが、「モノをどう見つめるか」という大きなテーマが根底にあり、とても印象に残っています。そして果たして最後には「教授の目」は登場するのか?
ご期待ください(笑)!

 

『不思議な少年』

7話「レスリー・ヘイワードと山田正蔵」

永遠の生を持つ不思議な少年。彼は時代を超えて「人間」の光と闇を見つめます。人間に対して愛を持ちつつも常に冷静な彼が、世界中の誰よりも熱く激しく動き回ったのが、本作「レスリー・ヘイワードと山田正蔵」です。レスリー・ヘイワードがいるニューヨークと山田正蔵がいる日本を少年が必死に翔けたのは「人類が誕生して最初で最後の奇跡の日」をつくりたかったから。その奇跡の日の正体を知った時、間違いなくゾワッとします!

 

8話「末次家の三人」

「隣にいる人と出会うこと」。「その人と別れてしまうこと」。「すべてが奇跡で成り立っていること」。「自分の人生が大切だということ」。言葉にするだけだと陳腐かもしれません。ですが、山下和美さんが形にした「末次家の三人」は違います。凄いです。心を揺さぶります。平凡な家族から見えてくる世界の真理。今見ている風景がより素敵なものになる本作、是非とも一読してほしいです! また、唯一無二な見開きの使い方もお楽しみください!

 

11話「由利香」

私たちは他人の「今」しか見ることができませんが、少年は過去・現在・未来、すべてを見ることができます。だからいつも悲しげなのかもしれません。

主人公は小さな田舎町に暮らす、犬やお花が好きな、私たちとなんら変わらない普通の女の子。しかし、少年は彼女を探していた、それはなぜなのか――。

この話を読むたびに、自分の「あったかもしれない未来」や「消したい過去」を思い、心の奥に恐怖とやるせなさが押し寄せます。それでも読まなくちゃ、考えなくちゃと思わせてくれる作品です。これからも何度も読むと思います。

 

19話「NX-521236号」

手塚治虫さんの名著『火の鳥』が好きな方は『不思議な少年』を好きだと思います。特に本作「NX-521236号」は「人間」「機械」「未来」「心」を少年の目線を通して描き、手塚さんの世界観に近いです。でも、そこは山下さん。太陽系外惑星の地球化のために作られた半永久的に働き続ける100万体のロボットで独創的な物語を紡ぎます。担当である僕はこの作品を何度も見ていますが、毎度泣いています。そのうえ、ロボットが可愛いんです(笑)。

 

36話「トム・ベイツ」

少年は時に人をどこかへ導いてくれます。

貧乏で恵まれない男の夢にはいつも謎の少女が現れる。その隣には少年が。彼女はだれなのか、どこにいるのか。いつしか少女に恋をした男は、彼女を探すために人生をかけていきます。そして最後に男はどこへ導かれるのか。ひとりの男の不思議な人生の波乱万丈を1話に詰め込んでしまうのはすごすぎます。ぜひ皆さんも少年に導かれて、この男の人生を体験してほしいと思います! 少年のラストのセリフは何度読んでもしびれます(笑)!

 

『スカイブルーへようこそ』

本作の登場人物たちは新築の青空マンションに引っ越してきた少年少女。夢見てキラキラしていた彼らが、悩みに直面しながらも次第に大人になっていく瑞々しい青春物語です。

彼らのすれ違っていく恋心が甘酸っぱく描かれています。ですが、人間を丁寧に描く山下さん、幼なじみの関係性やキャラクターにほのかな生々しさがあります(笑)。山下さんが描く子供はとても可愛い! 2021年6月から連載開始の新作にも子供が登場予定?です!

 

『ゴーストタウンに星が降る』

夜の住宅展示場に築かれる虚像の生活。そこには失踪中の大女優が住んでいる…。すごくキレイな話で読んでいてとてもドキドキしました。都会にある住宅展示場。何か『ランド』の世界に繫がる、日常から非日常に飛んでいくワクワク感があって、恋愛漫画好きもそうじゃない人も楽しめます。山下さんの少女漫画時代の作品には、山下さんが好きな音楽や、その時代の流行が散りばめられています。音楽ネタを探すのもとても楽しいですよ!

 

 

気になったエピソードはぜひ今すぐチェックしてみてくださいね!

 

さらに、2021年6月から新連載をモーニングで連載開始予定!!

コミックDAYSでももちろん公開予定ですので、お楽しみに!!

 

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